京浜急行  新1000形[ステンレス車]
 
  京急の次世代を担う新型通勤車としてデビューした新1000形。見慣れた顔と伝統の塗装にホッとしていたのもつかの間、コストダウンに迫られた結果ステンレス車体とステッカーによる帯の表現という、これまでの京急には無い仕様で登場する事になってしまいました。これも新1000形、2007年以降の増備車になります。
ステンレス車体化に伴い、側面は勿論前面も全面的に変更になり、これまでの表情よりものっぺりとした印象を抱かせる表情になりました。2100形や新1000形でお馴染みだったワイパーカバーも廃止されています。これを果たして「すっきりした」と言うべきか、はたまた…(^^;;
運用範囲は従来の新1000形同様、都営地下鉄浅草線や北総線、京成線にも顔を出します。
(取材・撮影 京浜急行久里浜線・京急久里浜〜三崎口)

 

 

 


車内全景です。以前よりもすっきり見えるのは「オールロングシート化」の副産物。アルミ車の車端部にあったクロスシートはなくなってしまいました。これもコストダウンの一環なのでしょうか…。
3ドアロングシート、18m車の車内は、京急らしい個性を見つけるのがなかなか難しい車内になってしまいました。

 
車端部の様子を先にご覧頂きます。右の画像は優先席の模様で、左の画像が通常モケットの車両になります。後者は中間車のうち偶数号車の品川寄り車端部と奇数号車の三崎口寄り車端部が該当し、それ以外は優先席になります。
どっかで見た事がありそうな銀色の貫通扉は片側のみの設置で、車内を明るく魅せるのに一役買っているのかもしれませんが、ちょっと味が無さ過ぎです…。一応傾斜を利用して自動的に閉まるようにはなっているようですが…連結器上の踏み板のぶつかりあいが車内に響き渡らない事を願うばかりです。


先頭車、乗務員室との仕切りです。ドアの手前には車椅子スペースがあり、京急ではお馴染みの構成になっています。新1000形は仕切りの背後に乗務員室に視線を注げるクロスシートを設けて前面展望をぜひ!という空間だったのですが、ステンレス車になってからは乗務員室が拡大された事により座席が省かれています。ナンの変哲もない立席スペースになったのが悔やまれますし、折り畳み梯子を入れた関係で運転席背後の窓が小さくなってしまったことは残念です。
青いフィルムが貼られているのが仕切り越しでもわかりますが、これは京急の伝統。観光バスのような装飾を思い浮かべてしまいそうです。


乗務員室の背後には車椅子スペースがスタンバイ。非常通報機や止め具など充実の設備に握り棒もしっかり完備。車椅子スペースの折り畳み座席設置が流行る昨今、折り畳み座席では実績豊富の京急はこのスペースへの折り畳み座席設置には踏み切っていません。スペース上難しいものがありそうです。

 
天井です。所々ラインデリアがついており、その周りをプラスチックのような素材が覆い、両脇には剥き出しの蛍光灯が並んでいます。この姿は京急以外にも見るだけに、他社他車との部品の共通化やコストそのものを下げる動きも見え隠れしています。
吊革は右の画像のように色こそ優先席部分のみ黄色くしているものの、基本的には丸形を使い続けています。優先席付近の吊革は高さに差をつけており、より多くの人がつかまれるような配慮が施されています。


床です。ドア付近は黄色、優先席付近は紺色で他の灰色と区別しています。この紺色は意外と存在感があり、モケットの色とも合わせてうまくまとまっているように感じます。

 
ドア周りとLED表示器です。基本的に右の画像のLED表示器がすべてのドアの上に設けられており、ドア周りの仕様はすべて同じものになります。
ドアそのものは無塗装の銀色で、京急では久々の登場ではないでしょうか。内側、ゴムの隣に黄色い帯を貼っており、ガラスと共に巻き込み防止を図っています。このあたりもちょっと……何か算盤をはじく音が聞こえてきます。

LED表示器は行き先、次駅案内などの情報を出していきます。ちょっと表示幅が短く、文字を追いかけづらいと思うこともあります。2008年度増備車まではLED表示器を何のためらいもなくつけていましたが、2009年度増備の前に600形で液晶ディスプレイが採用されたため、今後ディスプレイが設けられるのか、現状のままLED表示器で案内を行うのか、その動向が気になるところです。


側窓です。画像ではまったく写っていませんが、巻き上げ式のカーテンが設置されています。これぞ京急クオリティ。これを省略した日が来ない事を願うばかりです。


座席です。バケットタイプのロングシートで、ドア〜ドア間は8人掛けが基本。途中には肘掛けも入るなど、かなり定員着席に力を入れているムードが感じられますが、定員着席と座り心地を両立させた京急、一度座って頂くと座面の厚みに驚いてしまいます。形状はそれなりについているのですが、低反発ながらもしっかり着座位置に導けるだけの沈み込みと厚みがあります。故に座った時の座席の高さがちょっぴり高く感じる事があるかもしれませんが、「バケットシートはすべて座り心地が悪い!」という先入観を気持ち良くかき消してくれる車両でした。


車椅子スペースの隣は5人掛けで展開。スタンディングポールは2人分と3人分に分けられるようになっています。
肘掛けは入りません。また、手前の袖仕切りは車椅子スペース脇のオリジナルになります。
この低い袖仕切りに座っている人はあまり感じないかもしれませんが、片持ち式の座席のため、シート下にへばりついたヒーターが寒さにどこまで耐えられるか、千葉県のだだっ広い北総線で試し…たくはありません(^^;;;

 
車端部はいずれも5人掛けになっています。優先席のみスタンディングポールを設け、紺色のモケットを使用しています。優先席の判断が付きにくいことが多い京急で明確に色分けされているので、この形式では一目でどこに優先席があるかがわかります。
妻面は特に窪みなどはなく、ストンと壁が設けられています。かつて京急の主力だった1000形などは妻面を3面に折って快適な斜め肘掛けを設けていただけに、車体の標準化は効率性と企業の個性を奪っていくんだなぁという気がします。
でも、車端部の5人掛けが一番余裕がありそうかなぁ…と思います。スタンディングポールが無い分、ゆったりくつろげる余裕がありそうです。


再びドア〜ドア間の座席です。5人掛けと3人掛けに分けるために途中でスタンディングポールと肘掛けが入っています。肘掛けをわざわざ設けるのは珍しく、できれば優先席にも欲しいところです。この肘掛けが訴えているとおり、スタンディングポールはあくまでも立客のための設備なのです。「肘掛けと一緒」と見るのはタブーのようです。
袖仕切りと色を合わせていますが、窪みは肘掛けの方が薄めになっています。

それにしても、なぜ「5人掛け」と「3人掛け」なのでしょうか(^^;;;

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