京浜急行  700形
 
  晩年は大師線専用という役割だった700形。しかし登場した時は本線の「普通車」の切り札という役割でした。1967年に京急初の4ドア車として登場し、1980年代に入ると冷房化が行われます。その後も本線系統ではラッシュ時の切り札として朝ラッシュの12両編成の優等列車にも投入されますが、それが見られたのも2003年まで。そして大師線からも2005年の11月に引退。現在は神奈川から「な」を抜いた香川県で一部の車両が活躍しています。今回は京急時代の晩年、大師線運用での最後の頑張り模様をお届けします。引退直前には引退記念のヘッドマークが掲出されたり、幼稚園児が書いた700形の絵が車内に飾られるなどのイベントが催されました。そして、このアングルで700形を撮った方も多いと思います。携帯での撮影姿も時折見かけ、時の流れを再認識したものです…しみじみ。
(取材・撮影 京急大師線/京急川崎〜小島新田)

 

 

 


車内全景です。700形製造当時の社長さんが片開き扉にこだわったことから(尤も両開きとの比較実験を行っているそうなので単なるワガママではありません(^^; )片開きの4ドア、ロングシートで18mの車内になります。4ドア車のため都営地下鉄浅草線への乗り入れ基準には適合しておらず、当初から京急線内のみの活躍に絞られてきました。
車内の色合いは当時製造中の1000形に合わせたのでしょうか、京急らしさをひしひしと感じます。また、高校生の頃初対面を果たした際、1980年代生まれの西多摩育ちとしては袖仕切りと網棚を結ぶ手すりが設けられていないという点が非常に新鮮に映りました。開放感のある車内はこのようなところから生み出されているのかもしれません。


乗務員室との仕切りです。この700形は先頭車と中間車の長さが異なっており、客室部分の長さを全ての車両で統一した結果、先頭車はこの乗務員室の部分がはみ出してしまった格好になっています。ということでこの区画にも逆サイド車端部同様3人掛けの座席があり、混雑時には仕切りギリギリまで乗客が入ることができるように吊革もしっかり備わっています。また、仕切り窓はしっかり3枚備わっており、前面展望もそれなりに座高があれば座ったまま楽しめます。

 
逆サイド、車端部です。右の画像と左の画像の違いは優先席の有無などですが、「携帯電話OFF」を訴える黄色い吊革は優先席に指定されていない紺の座席の方の列にも設けられています。
元々3両編成として運用する案があったからでしょうか。1000形には一部の車両にある貫通扉が700形では全車両に設置されてなく、端から端まで見渡せるようになっています。また、1000形ほどの大きさではないにしても左右に開閉窓も設けられ、開放感溢れる車端部になっています。その反面、発車時には貫通路を通じて風が車内を駆け抜けることもしばしあり、特に晩秋の夜は寒かったかなぁなんて記憶があります。

さて、この車端部の特徴ですが・・・

車端部の壁、中でも妻窓とその下にある機器スペースに注目してみました。この700形の車端部は端から中央に向かって斜めになっており、その関係で機器スペースの上面も台形になっています。いわば、食パンのような切妻ではなく、上から見ると"〔"になるように折り目をつけるような妻面になっているのです。京急では1000形の一部の車端部などもこの形状の上、京成などでも似たような形状が見られた車端部なので沿線住民の方にとってはどうってこと無いかもしれませんが、やはり切妻に慣れた自分には新鮮でした。略して新妻…(殴
肘掛としての側面だけで見ると実に良く出来た形では無いかと思います。


天井です。冷房改造は80年代に行われたのに、実にスマートに、フラットな天井を作っています。天井そのものが低くなったり、吹き出し口もシンプルなものですが、実にうまくまとまっています。吊革は線路と平行するように設けられたバーに丸い取っ手のものが設置されています。ドア付近にも備わっています。

その冷房装置を補助する役目を果たすのはこちら、扇風機。実に頼もしい存在であります。
カバーの部分、それも乗客からも見える部分ですが、三菱のマーク、そして「KHK」という文字が入っています。「KHK」は京浜急行を表す文字で、三菱電機製の扇風機のようです。同じ三菱製の扇風機を使用していた小田急4000形でも「OER」という小田急を表す文字が入っていたことから、三菱製のカバーは企業名入りの物がデフォルトだったようです。
薄い水色がいかにも爽やかさを演出しています。この色、扇風機にはピッタリだと思います。


床はシンプルに一色で決めています。青みがかった灰色をチョイスです。


ドア周りです。もうとにかくこの大きな片開き扉に圧倒されます。1200mmの横幅を誇る大きな扉。これが1両辺り4箇所、軽やかに、そして素早く開く動作はかなり迫力がありました。これもまさに京急の「こだわり」ではないでしょうか。
ドアそのものは無塗装のもので、窓ガラスにはドアに注意などとかかれたステッカーが貼られていますが、これとは別に指から血が出ている非常に火曜サスペンス的なステッカーが戸袋に近い位置に貼られているドアもあります。

 
さて、700形の側窓も非常に特徴的でした。ドア〜ドア間において戸袋窓と開閉窓が一つずつ。以上。・・・といった具合で実にシンプル、しかも無駄の無い窓配置でした。窓の大きさこそ1000形よりも小さいですが、後々他の私鉄で登場するような縦長の窓ではなく正方形の窓なのであまり小ささを感じませんでしたし、扉の方が目立っているなんていう事態もありません。開閉窓のほうは下段に保護棒が取り付けられており、晩年は保護棒が残っている数少ない車両としてもお馴染みでした。

 
さて座席へといきます。まずはドア〜ドア間の6人掛けから。右の画像は袖仕切りから見た座席の様子になります。
特に右の画像のような視点で見るとそう感じてしまうのですが、実にコンパクトな作りだと感じてしまいます。座った時の感覚もそれに近いもので、座面の高さが若干高いのと奥行きが浅く、背もたれも画像ほど厚みを感じなかったからでしょうか、あまり深々と腰掛けているような気分になれない、少し姿勢が良くなってしまいそうな(^^;;座り心地でした。座席の占める面積を少しでも立席面積に回したかったのかもしれません。それだけ通勤に特化していたのでしょう。
紺1色のモケットは京急では1000形の他にも旧600形、800形などでも使用されています。

 
次に3人掛けの座席です。左の画像は乗務員室背後の3人掛け、右の画像は車端部の3人掛けになります。どちらも真横から見てみました。
まさに6人掛けの短縮版といった形で、座面の位置などもそのまま。ただ、車端部の方が座席の周りの余裕があるかな?なんて思います。ヒーターの一番下の部分に金属の枠がありますが、これはドアから仕切りの端、あるいは車端部まで続いているものです。一体感を見事に生み出しています。


最後に優先席の模様。基本的には3人掛け、1両辺り1箇所がこの銀色のモケットになっています。今度はいつもの角度で撮影です。紺に比べるとやや地味な印象で、化粧板の薄緑に色が近い印象さえしますが、シルバーシートを色で表したとなれば納得です。


通勤ラッシュに「決め手」になりうる対策がオフピーク以外に挙がらない状態はここ最近続いています。そんな中ラッシュ以外の事情があったとはいえ、通勤ラッシュに対応できる車内作りを始めて取り組んだ車両がその抜本的解決を見る前に全車廃車となってしまったのは車両の気持ちからすれば全く以って悔しいことなのかもしれません。機会を見つけて香川で活躍する姿を見てみたいものです。長い間、ラッシュ時の頼りの顔として、大師線の顔として、お疲れ様でした。

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