京浜急行  2100形
 
  沿線住民のみならず首都圏で鉄道を使いこなしている人にはその俊足ぶりと快適な設備ですっかりお馴染みでしょう。京急のフラッグシップトレイン、2100形です。
1998年に登場し、泉岳寺始発の快特や「ウイング号」などに充当されています。快特で泉岳寺から三崎口まで約1時間のクルーズは特に前半の横浜までの目まぐるしい景色の変貌に「唄うインバーター」も加勢してメロメロになりっぱなしですが(^^;; 時折2ドア車の運用に3ドアのロングシート車が充当されることもあり、その時の落差たるや…さしずめ会いたかった人に会えなかったくらいのガッカリ感があるのではないでしょうか(^^;;
8両編成10本が在籍しており、その後の増備は汎用性の高い新1000形に移行していることから、4両編成が今後出てくることは無さそうです。
(取材・撮影 京急久里浜線・京急久里浜〜三崎口)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。2ドアで全席クロスシート。2000形にはあったロングシートは消え、吊革もドア付近を除いてありません。この光景に良い意味でしびれる方が多い反面、ラッシュ時に快特などの優等列車に起用しづらい弱点でもあります。
ドット柄の座席モケットがビビットな色遣いですが、カラフルなモケットが増えてきたせいか、はたまたこちら側が慣れてしまったせいか、あまりしつこい感じやチラチラ目に入ってくることもありません。

それよりも目に入ってくるのが広告。私企業だから仕方がないとはいえ…この手の車両に「中吊り広告」は思った以上に視覚に入ります。視界に入る広告は騒音そのものだと思うのですが…。


乗務員室との仕切りです。神奈川方面の私鉄だと江ノ電にも同じような車内構成が見られますが、昼間の下り快特はとにかくここが特等席。大きな仕切り窓の下には足元を広げる蹴込みもありますし、窓が大きいことが幸いしてその後ろの補助席からも前面展望が堪能できます。
また、化粧板の色をグレーに変えることによって単調になりがちな車内の色彩にアクセントを与えています。


その乗務員室の近くには車椅子スペースが。座席との仕切りは補助椅子になっているので使用可能の時間帯では足元広々の状態で座ることも出来ます。握り棒が短めにセッティングされているのは補助椅子の展開時に邪魔にならないようにするための配慮になります。

 
車端部です。左の画像が優先席の車端部、右の画像は通常仕様の車端部。ヘッドレストカバーでの区別に留めているため、座席単体では両者にあまり差が感じられません。
車端部にもドア付近から吊革が伸びており、近年他の車両に倣って優先席部分の吊革が黄色になっています。しかし、通路幅の狭さに合わせているため吊革の左右の間隔が狭まっており、中吊り広告にすっぽり覆われてあまり目立っていません。優先席を目立たせるのであれば荷棚をそれっぽい色で塗った方がこの車両では効果がありそうです。


天井です。車内中間付近から見るとこの景色。吹き出し口は目立つことなく設けられており、その左右には蛍光灯がカバーつきで設置されています。関東のJRはもちろん、他の私鉄でも運賃以外の料金を払わないと拝めない天井が、2100形は運賃だけで拝めます。素晴らしい。


床はアイボリーをベースにした柄物を採用。京急では初の柄物チョイスとのことで、床にも気合いが入っています。


吊革の多さが2100形の別の表情を映し出しているドア周りの様子です。全てのドアの上にLED表示器が設置されています。はんなりと開くドアそのものも窓を大きく確保し、補助椅子からの景色も確保しています。その補助椅子の関係もあってドア脇の握り棒が短くなっている点が可愛くも見えます。

LED表示器です。鴨居部と一体になった、スマートな表示器はこれまた小さな字の路線図に短い文字数設定で設けられています。そもそもオールクロスシートの車両に対してドアの上というポジションが気になるのですが(^^;; ちょっと列車の置かれている立場にしては情報媒体としての能力が不足気味で、もう少し一度に表示される文字を多くしても良いのではないでしょうか。


窓周りです。連続窓かつ大きな窓で、横引きカーテンもキリッと決まっています。
ただ、窓枠の下辺は斜めに切られており、物は置けないようになっています。忘れ物防止、ゴミ放置防止、背もたれ転換時の邪魔にならないための配慮など、様々な推測ができそうです。

 
ドア〜ドア間の座席を覗きながら、まずは仕切りも兼ねた補助椅子からです。
座席そのものはドア〜ドア間10列、車椅子スペースのあるドア〜ドア間9列で設定されており、その前後や車端部に補助椅子がいます。補助椅子だけあって復帰力の強いジャンプシートで、実用的なデザインが他の座席とのバランスを保っています。
補助椅子にしては背もたれが高めという点と座面の緩やかな窪みがなかなか良い方で、車椅子スペースによくあるロングシートの補助椅子よりも居心地は良いと思います。


なお、ラッシュ時は使えません。このあたりは車掌さんのさじ加減です。


ドア〜ドア間の転換クロスシートです。背もたれが自動転換する装置、背もたれが中折れする装置も持ち合わせているので転換クロスシートっぽくないシルエットになっています。手動での転換はできない設定になっています。
モケットは背もたれを中心にバケット形状になっていますが、座面がやや真っ平らな印象で、もう少し背もたれとの接合部分の角度がいじれたら良いなぁと思います。あと、肘掛けだけがデザイン的に古くさいので(^^;;次に取り替える時期が来たらぜひ取っ手並みの大胆なデザインを期待したいところです(^^;;;


乗務員室背後には2人掛けの固定クロスシートが設置されています。後ろに補助椅子が無く、肘掛けもそれに合わせたデザインになっています。背面もモケットに覆われており、足元の空間まで丸見えになっています。丸見えだからこそ脚も肘掛けよろしく紺色で塗って欲しかったところです。

…この後ろからのスタイルが良い意味で「エロい」と思った私はほとんどビョーキです。合掌。

 
車端部は乗務員室背後でも使われていた固定座席に加えて妻面用の座席と補助椅子の組み合わせになります。白色のヘッドレストカバーが優先席用になります。他でも使い回しができるこの周知方法はJR西日本でもよく見かけます。
ドア〜ドア間では2人掛けのみの設定になっており、4人グループが利用する時も背もたれの手動転換ができませんが、車端部にはこのような4人1組の座席が備わっているわけで、一人でもグループでも使いやすい特徴が強く表れています。上手い座席配置です。

 
車端部、妻面に接した固定クロスシートです。
このポジション限定の座席は背もたれの斜めの隙間を化粧板で覆ったもので、特に座り心地に影響はありません。右の画像が優先席仕様、若干大人しい印象を受けます。
座席によってはこの斜め化粧板ポジションに消化器が格納されています。文字もきちんと「消化器」と書かれたフタを開けると消化器が出てくるわけですが、正直気づかれにくいと思います。都営5300系のそれよりもウォーリー度高めです。

逆サイドの座席は乗務員室の背後で用いられている座席と同じ物になります。優先席はヘッドレストカバーのみ異なる格好です。固定座席は固定座席である装置によって座面のシルエットが若干不自然で、座面のカーブと背もたれのカーブが合っていないような気がします。もう少し背もたれの張り出しは押さえ気味の方がしっかり身体を預けられそうです。

シルエットはいいんですけどね、良い意味でエロくて(^^;;;;



さて、固定座席のお約束がこちら。手で座面を跳ね上げることが出来ます。
これは羽田空港に乗り入れる運用を想定し、荷物置き場として車端部が活用されることをイメージして作られた物になります。同様の装置はキハ75形も持っていますが、決定的に違う点はこちらは全ての跳ね上げ装置が1つずつ独立していること、そして用途が車椅子スペースではなく荷物置き場だということです(^^;;

 
左の画像の通り両側とも上げてみると…キョンシーの手つきを想像させるシルエットに早変わり(^^;;; 座席趣味者ならびに車内学人としては座席下のヒーターを間近に眺められる絶景が現れます(^^;;;

手動で座面を上げたり下ろしたりでき、上げるとそのまま復帰しない!なんて顔面蒼白な事態はありません。さすがにこの状態で走っているシーンは見たことがないのですが(^^;; 空港運用で実際に跳ね上げられてスーツケースがピッタリ入っているシーンをいつか見てみたいものです。

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