京阪電鉄 5000系 | ||
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言わずと知れた日本初にして日本最後の5ドア車です。多扉車が必要だった背景や沿革については語れば長くなりそうですが、特急車と同じくらい注目を浴びていた車両ということは京阪側も承知していたようで、2023年春、くずはモールの中にあるSANZEN-HIROBAにて5000系に関する展示が始まるとのことで…座席昇降装置は?どこまで原型に復元しているのかなぁ?などなど、3000系であれだけ気合を入れた復元がみられただけに、今回もかなり期待しているところです。 今回は7両固定編成の車内の模様を中心に、2013年、2018年に取材した晩年の姿をお届けします。特に座席モケットの変更は登場時から何回変わっているの?!とツッコミを入れたくなる有様ですが、恐らく最も多くの方の記憶に残っている姿ではないかと思います。 でも…この形式に関していえば、旧塗装の方が好きです。 (取材・撮影 京阪電鉄中之島線・中之島 他) |
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![]() ![]() 車内全景です。左の画像は昇降式座席が上がっている状態、右の画像は昇降式座席が下りている状態…つまり、左は5ドア、右は3ドアの状態です。 登場当初から車内の様子はガラッと変わっており、化粧板はアイボリー、床はベージュのコルク柄、そして座席は風流の今様をモチーフにしたモケットを用いています。しかしまぁ…その変更後のモケットも2種類存在する有様、それも帰ってから気が付くオチ…もはや円弧は沼への誘いの波紋ではないか…と思ってしまうくらいです(^^;; 昇降式座席が下りてくると見事に3ドア車に見えます。違和感があるかどうかは人それぞれですが、周りとの一体感は見事です。 ![]() ![]() 乗務員室との仕切りです。1人掛けが好きな取材班としてはこのポジションに短い座席を置きたくなるような空間ですが、ここに座席はありません。 他の形式と同じような引き戸、そして大きな仕切り窓で、運転席背後の窓は下の方が曇りガラスになっています。右の画像は車椅子スペースがついた大阪淀屋橋方車端部で、左の画像の出町柳方車端部とは手すりの配置が若干異なります。また、お約束のお札も右上にチラリ…。 ![]() ![]() 車端部は大きく分けて2種類あります。まずは乗務員室との仕切り同様座席が無い車端部です。右の画像は京都出町柳方車端部で、車椅子ペースが備わっています。片側の妻窓は先頭車のみ開閉可能で上段のみ開きます。もう片側は先ほどの乗務員室との仕切り同様、下の方が曇りガラスになっている戸袋窓で、駆動部分を見せない配慮を施しています。 ![]() 一方、中間車の京都出町柳寄りの車端部に限り、このように座席や側窓を設けていました。後々東京で登場する京王や東京メトロの5ドア車は車端部をなるべく他の車両と合わせるような設計を施していましたが、京阪5000系は両端でその姿を大きく変えていました。 ちなみに、淀屋橋方もこの座席や側窓がある車端部を有していた編成もあり、運転台撤去車として京阪のる人にはお馴染みだったようですが、取材班は引退までその姿を捉えることはできませんでした…。 こちらの車端部では消火器入れも備わっています。 ![]() ![]() 運転台撤去車の車椅子スペースはそこそこの奥行があるようですが、元々立席スペースだった部分に整えた車椅子スペースは大変ショート・ショートな空間と化しています。最晩年ベビーカーのマークも追加されましたが、ドアから妻面までの長さは図面ベースで700mm…ベビーカーでギリギリ、車椅子だと少々はみ出してしまいます。 また、右の画像の中間車にある車椅子スペースでは手すりが戸袋部分にしか備わっていませんでした。妻面方向にも1本あると良かったと思うのですが…(^^; ![]() ![]() 天井です。右の画像は回転グリルで、京阪の社章が入っています。回転グリルに加えてラインフローファンも端から端まできっちりフォロー。鉄道趣味誌を見てもアルミ車体や昇降式座席とともにこの冷房体制をしっかりアピールする記述が目立ちました。なんでも、回転グリルは京阪と東芝で特許を取得したとかで、東芝と言えば阪急でみられるローリーファン…もしかして、何か素敵なつながりがあるかもしれません。 京阪ではお馴染みのカバーつきの蛍光灯も、昇降式座席の設置に合わせるためか若干間隔をあけて設置しています。この間隔が、デビュー当時の図面と若干異なるような気がしますが…途中で配置し直したのでしょうか。 ![]() 床です。こちらもキレイに張り替えてベージュを基本としたコルク柄に整えています。 9000系に合わせたチョイスです。 ![]() ![]() ここからはドア周りです。各車両の前、真ん中、後ろの左右計6か所のドアは通常仕様としてスタンバイ。とはいえドア幅は1200mmで若干スリムな印象。それにしても、5ドア配置するのにここに苦労を要していたとは…。 千鳥配置でLED表示機と路線図が配置され、広告枠は鴨居部の上にへばりついています。もはや天井といって差し支えない位置で、化粧板も側面のものではなく、天井の柄を用いています。 ドア自体は化粧板が貼られたもので、裾絞りの無いストレートなボディが1200mmとともに京阪らしかぬ風情を醸し出しています。 ![]() 各車両左右計4か所ある昇降式座席が備わったドア、いわゆる「ラッシュ用ドア」がこちらです。 いずれのドアもLED表示機の設定はなく、鴨居部に広告枠が設定されていますが…座席収納時は上が少し隠れてしまいます。 座席昇降機や暖房用のダクトの出っ張りが目立つのは致し方がないところですが、立客向けのスペースや跳ね上げ式の吊革に見るように、2つの利用を想定した時にどちらも居心地良く過ごせるように工夫を重ねる姿勢には脱帽です。 導入当初、ここのドア窓には熱線吸収ガラスを導入していたそうです。今でもどうでしょうか…ちょっと周りの窓よりも暗く感じますでしょうか…。 ![]() ![]() ラッシュ用ドア、昇降式座席のアップダウンで2枚出してみました。小池清さんは出てきません(^^;;; 実際に昇降している所をじっくり見たことはありませんが、やがてSANZEN-HIROBAで見ることができるのでしょうか。画像には写っていませんが、このレールの奥、荷棚の上に駆動装置が設置されています。 そしてこの画像、仕切りの出っ張りが違います。後期に製造された編成では出っ張りを若干引っ込めることができたようです。また、編成によっては袖仕切りの厚みが異なるなど、5000系は7編成それぞれ個性溢れるグループだったようです。私からすると…泣かせです(^^;; ![]() ![]() 元に戻って、各車両前、真ん中、後ろのドアの鴨居部です。LED表示機は中之島開業を機に整備されたようです。他系列でも見ることができますが、いかんせん文字が小さい…次駅案内、行先案内などを率なくこなします。 多彩な種別の確認はLED表示機が設置されていない鴨居部でどうぞ。 ![]() 窓周りです。側窓は2段窓で、上下とも開きます。荷棚の上に見えるのが昇降式座席の装置になります。 先頭車は側窓の数よりも扉の数の方が多い…というのはデビューの時から散々言われ続けた5000系あるあるになります(^^; ![]() ![]() ここからは怒涛のウラのウラまで座席です。まずは車端部の3人掛けです。 モケットの張り替えの時期の関係で、左の画像のような13000系に準拠したモケットに貼り替えた車両と右の画像のような6000系などでみられた仕様のモケットに貼り替えた車両が編成によって混在していました。 バネの効いた座席は座面と背もたれの間に温風の吹き出し口を設けています。背もたれの形状によってなかなか目立たないものですが、導入当初から設けられています。 ![]() ![]() ドア〜ドア間の座席です。4人掛けのロングシート、左の画像はラッシュ用ドアから見ていますが、袖仕切りに座席を受け止める出っ張りがあったり、温風の吹出し口が見えます。右の画像は別モケットで昇降式座席が下りた状態です。意外と昇降式座席と座面の高さ、背もたれの大きさがピッタリ合っていることが伺えると思います。 奥行きもそれなりにあり、沈み込みの深い座席はラッシュが終わった後の時間でもある程度寛げる座席に仕上がっているのでは、と思います。今同じようんな座席を設けるのであれば、きっとバケットシートなんだろうなぁ…という妄想と共に。 ![]() ![]() 各車両の大阪淀屋橋方に設置された優先座席は、各車両ともドア〜ドア間の4人掛けに設定されています。左右合わせて8席設けられていますが、いやはや、このポジションの優先座席も珍しいのでは、と思います。こちらは通常仕様のモケットの変更に左右されることなく同じ柄のモケットを用いています。背もたれの円弧が昇降式座席と揃うと格好良いと思う一方、背もたれの黒が幅を利かせていて優先座席柄が目立っていないように感じるのは…気のせいですよ、ネ(^^;; ![]() ![]() 昇降用座席です。4人掛けですが他の区画よりも幅が狭くなっています。右は収納状態です。 背もたれと座面の間に隙間がみられます。座面にヒーターを設置した編成もありますが、冬は少し冷たい風が入ってくることも予想されます。 左右の仕切りが寄りかかるのにちょうどいい、という意見には大いに頷きたくなる一方、袖仕切りを肘掛け代わりに使う人の争奪戦は起こらなかったのかしら…と余計なことまで心配してしまいます。そして、空席に座る人が増える度に揺れてしまう仕様はどうしようもないものの、補助席にして必要十分な座面の詰め物はさすが京阪、お見事京阪。 ![]() 袖仕切りです。ラッシュが激化している頃に投入された車両…とのことですが、いわゆる立客の手すりとしての機能は持ち合わせていないのが不思議でした。京阪電車に乗って、降りて…を繰り返すうちにこれが京阪の伝統なのか、と一人納得した思い出が蘇ります。形状は伝統で解釈するとしても、袖仕切りの金属の縁が座ると腿に当たるのは正直、なんとかならなかったのかなぁ…という心の叫びが乗車中漏れていなかったかどうかが心配デス。 ![]() ラッシュに立ち向かった雄姿は鉄道史を語る上でも外せないトピックだと思います。 その雄姿に一瞬でも立ち会えることができたのは本当に良かったです。 ホームドアによる制約は車両の没個性化に拍車がかかりそうですが、5000系を通じた無理難題に立ち向かう姿勢が京阪やこの業界に宿っているとするならば、やがて「ちちんぷいぷい〜」と需要にスミまでマッチした逸品の出現に出会えるのでは…と思っています。 心を込めて、花束を。 |
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