鹿児島市交通局  600形
 
  「朝晩の救世主がいる!」は地方の路面電車あるあるですが、鹿児島市交通局ではこの系列ではないでしょうか。昭和30年代に製造された600形です。今回は昭和35年に製造されたグループの紹介になります。
昭和30年代のナニワ工機(アルナ車両)製造なので、全国各地で見られた路面電車の表情で、黄色と緑が眩しい塗装が懐かしささえ感じられます。前照灯がおでこについた車両はそう多くないので、遠くからの判断もしやすいのも嬉しいです。
冷房改造は昭和59年から行われ、車体補強を伴う改造もその後行われています。車齢に対して若さを感じるのはこのあたりの手入れが入念に行われているからかもしれませんが、近年「ユートラム」の増備も進み、今後の展開がそろそろ気になるところです。
(取材・撮影 鹿児島市交通局2系統 鹿児島駅前〜市立病院前)

 

 

 


車内全景です。これぞ昭和30年代の路面電車!といった趣きですが、天井周りや床周りが相当きれいで、それこそ座席周りや窓枠を少しいじれば昭和50年代生まれに間違えられそうな感じです。前中扉でロングシートの車内です。
画像では側面の薄緑が地味な発色ですが、実際に乗ると少し薄緑が目立つかなぁという印象です。それでもかつて国鉄、JRで用いられていた薄緑よりも薄い感じです。


乗務員室周りです。広告枠が賑やかで、他の系列にあるような次駅案内や液晶ディスプレイの類が見当たりません。他系列では設置されている車両が多いので、ちょっと降りる駅に自信が…という方は1本見送るのも手だと思います。
運賃箱が端からやや中央寄りに設置されていて、乗務員スペースへの通路を確保しているのがポイントです。その脇にはこれも鹿児島市交通局名物「かえるの傘」の傘立てがチラリ。そのあたりの鉄の組み方がなかなか武骨です。


天井です。スッキリ見えるのは中吊り広告がいないからかもしれません。webサイトを見る限り中吊り広告も承っているようで、ぶら下がる場合の金具が点在しています。高さ11cmとのことなので、歩く分には支障なさそうです。
冷房の吹き出し口をセンターに、剥き出しの蛍光灯が左右に配置されています。その下の吊革はバンドの長さを変えたり、優先席部分の取っ手を黄色にしたり、細かい工夫がなされています。


床です。登場した時代を考えるとここに木がチラチラするケースも想定できますが、ツルンとしたベージュ1色の床に落ち着いています。掃除の手前を考えればなるほど納得の選択です。

 
ドア周りです。昭和30年代の車両では黄金の組み合わせというべき2種、どちらも片開き扉です。ここも細かい工夫がなされており、特に前扉は手すりが増設されたり、ステップを深めに切ったりする工夫がされています。ドア自体はどちらも周りに合わせた薄緑色です。入口・出口の表記があまり目立ちませんが、中扉が入口、前扉が出口になります。前扉の周りには運賃の表記が多数…(^^;;


中扉のステップです。九州では西鉄バスや長崎電気軌道でも見られる補助ステップを採用していますが、補助ステップの色が水色、そして足跡…これほどわかりやすい表記はありません。一応「踏台」としてのご案内です。


側窓です。いわゆる「バス窓」ですが、下窓も開かないようになっています。一応保護棒はあるのですが…。
降車ボタンは緑色で下から押すタイプです。押すと正面の「つぎ・とまります」がつきます。

 
座席です。ドア〜ドア間は長めのロングシート、ドア〜車端部は短めのロングシートですが、どちらも肘掛けがついた格好で、ヒーター部分が出っ張っているのがポイントです。左右両側ともドア〜ドア間のうち中扉に近い1席は優先席扱いで、座面のモケットを変えています。もうモケットの変え方が上から巻きましたみたいな格好で可愛いこと可愛いこと(^^;; これはもういつまでもこのスタイルでいてもらいたいですね。
背もたれ薄め、座面の奥行き浅めは昭和30年代の路面電車ではまずまず見られますが、あまりくたびれた感じはみられませんでした。ただ、ドア〜ドア間の長いロングシートは座面、背もたれとも分割されている分、ドア〜車端部の座席の方が居心地いいかな?という印象です。


ここは以前車掌が立っていたスペースかと思います。鹿児島市交通局のワンマン化は早く、特にこの形式は製造後10年も経たずにワンマン化改造が始まったのでこの形式でも面影程度ですが、ドアコックもあることから座席を設けるほどではないという判断だったのでしょう。
肘掛は金属の外側に握りやすいような柔らかいカバーが設けられています。


最後に「つぎ・とまります」です。
点が入るのがお洒落です。
 
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