梅小路蒸気機関車館  50系客車
 
  画像は梅小路機関車館が閉館する3年前の画像です。レッドトレインの名に相応しい出で立ちは運行当時…を想像するにはボリュームが足りませんが(^^;; 変な色に塗り替えることなく原型を保つ姿勢には嬉しいものがあります。
50系客車は昭和50年代の通勤・通学輸送の切り札としてJR西日本では山陰線、播但線などに投入されました。全国的に見ても九州から東北、派生形式は北海道まで見ることができました。客車列車の減少とともにあっという間に消えてしまい、実際に乗車できるのは真岡鉄道のSL列車とJR北海道のノロッコ号の控車だけになってしまっています。
京都鉄道博物館にも展示されて欲しい車両ではありますが、屋外施設の休憩室としてのポジションだっただけに、果たして再び会うことはできるのでしょうか?

 

 

 


車内全景です。セミクロスシートにデッキつきの2ドア、トイレと車掌室がついたオハフ50形になります。車掌室はデッキの外にあり、客室内の出っ張りはトイレになります。キハ40形にデッキの仕切りをつけたような格好です。
非冷房車だったこともあり、休憩室として設置された際に冷房化改造を受けていますが(^^;; それ以外は室内も原型を保った格好で、旧型客車の暗くて古い車内と比較すれば昭和50年代に好評を以て迎えられたのもわかる、そんな車内です。


トイレが無い側のデッキとの仕切りは両開き扉でラッシュ時の強い味方でした。ガラスが真っ黒で目隠しを兼ねているのは一時期授乳室としてデッキ付近を利用していた経緯があるからで、取材時は室内・室外ともにこちらのデッキに立ち入ることはできませんでした。
戸袋部分にドアノブのための切欠きがあるのが形状として面白く、国鉄形車両がたまに魅せる思いやりポイントでもあります。
そういえば吊革が見当たりません…。遊具になってしまうので撤去したと思うのですが、金具的には吊革が設置されていたような跡が見当たりません。もしや…。


50系客車とは関係ない「SLやまぐち号」の写真が掲げられたトイレ周りのデッキとの仕切りです。こちらは片開き扉で乗り降りに差が出てしまいます。同時期に製造されたキハ40形もこのトイレが客室に出っ張る構成ですが、キハ40など多くの近郊型気動車・電車は画像で指し示すところの「右側」がトイレ部分になります。向きを揃えれば排泄設備も片側だけ設置すれば良かったのに…と思うのですが、当時のトイレのことなので、それよりも左右均等に垂れ流し…と沿線に考慮?すべき事情があったのかもしれません。

 
トイレ周りです。取材時点では水道関係の配管がつながっていないことから、開かずの間になっていました。停車中は使用しないでくださいという文言が時代を感じます。きっと走行中は走行音が便器から盛大に聞こえていたことでしょう。


天井です。確か扇風機は使えたはずですが、現役の設備に混ざって家電製品がチラチラと…(^^;; 非冷房車が極めて少なったJR西日本において、貴重な光景になっていることは間違いありません。いや、この車両も厳密には冷房車、ですね…。画像からはだいぶ遠いですが、網棚の上から天井にかけて方向幕を設置するスペースが残っていた点も要注目です。外からは板で塞がっていますが、方向幕が回っている様子も見てみたかったものです。

 
扇風機、そしてスイッチです。このタイプの扇風機、スイッチ自体はまだJR西日本管内でも見ることが出来ます。


床です。つくづく失敗したのが画像中央、蒸気暖房の調整用のフタを大きく撮らなかった点で、京都鉄道博物館で再会できた暁にはこれでもか!とばかりに撮影したいものです。なお、床の色は灰色一色、どのモケットにもだいたい映えます。

 
ドア周りです。デッキつきにも関わらず大き目の取っ手がつけられています。半自動対応だったのかもしれません。ステップがついており、低い位置に縦方向の握り棒を設置している様子もうかがえます。ドア自体は片開きで、無塗装のステンレスです。
車掌室は画像向かって右側です。ドアコックが画像右側に見えますが、なかなか面白い位置についています。


窓周りです。網棚は一部撤去されていますが、片側、つまりエアコンが無い側は全体にわたり設置されています。休憩車なのであまり意味は無いとは思いますが、下段は開かないように調整されています。また、座席番号の表記も一部の座席では撤去されています。休憩車としての役割を果たすのであればテーブルが欲しいところですが、ゴミの問題もあるのでしょうか、設置されていません。梅小路は外のベンチなどがなかなか見つけにくいこともあり、ここでまったり寛ぐお客さんも多かったのですが、原型を考えれば止む無しといったところです。そうそう、灰皿の撤去跡も要チェックです。

 
セミクロスシート配置になりますので、デッキに近い側はロングシートが展開されています。蘇芳色のモケットも鮮やかで、現役時代を思い起こすのも悪くないところですが…右の画像、ロングシートの座面の構成が若干いびつです。左から2人掛け、2人掛け、謎の5cm幅のスペーサー、2人掛けの布陣で、JR北海道や真岡鉄道の車両では見かけない構成、特に右から2つ目の謎の5cm幅スペーサーはこの車両以外には見かけません。
個体差もそれなりにあることから、この部分の座面だけ他の車両から持ってきた可能性が高いと思われます。謎のスペーサーはJR西日本では415系などのロングシートでも見ることができますが……他のJRでは見たことがありません。規格は統一されていそうな気がする国鉄型車両において、なぜスペーサーが必要なのでしょうか?


トイレが無い側、元授乳室側のロングシートです。この座席の長さ、実はトイレ側の長いロングシートとは異なります。この部分の座面をトイレ側に転用することはできません。尤も収まりはこちらの方が自然で、他の国鉄型車両に倣って「5人掛け」だと瞬時に判断できるのですが…先ほどの座席は複雑です(^^;;

 
クロスシートです。4人1組で左右6組ずつ展開しています。この車両もご多分に漏れず窓側の足元は配管の関係で狭くなっています。これも休憩車なのでなんとかなりそうな気がしますが…きっと撤去は大変なのでしょう。子供が載りたがりそうな高さですが、あまり奥行きは無いのでバランスを崩さないように注意が必要です(^^;;
往年のクロスシートの座り心地は健在で、保存車両にありがちなゴワゴワした硬さはありませんでした。窓側の肘掛けが無いのが近郊型としての格を感じます。

 
さて、ここからがお約束。走らない車両なのでこのような増設も簡単にできます。家庭用の霧ヶ峰をなんとか使ってきた様子が伺えます。4台フル活用したら…さすがに冷えますって(^^;;
なお、かつて家庭用エアコンを隠さず使っていた特急型があったようですが……あちらのように配管や室外機をうまく処理できなかったようで、機関庫側から写真を撮った日にはもう……


こちらは交換してからまだあまり経っていないような外観です。で、この換気扇はどちらにつながっているのでしょうか?使っていない授乳室と直結だとしたらちょっと嫌だなぁ。


梅小路は「京都音楽博覧会」で過去3回訪れていますが、参加アーティストの中で話題になるのが度々聞こえる汽笛でした。50系客車を話題にするアーティストは誰一人いませんでしたが、弊webサイト管理人は静かに、密かに京都鉄道博物館でのカムバックを期待していますよ。 その時にはぜひ車内も原型に戻して頂きたいものです。

なお、画像後ろのトロッコは取材しないまま、梅小路蒸気機関車館は閉館になってしまいました。合掌。
 
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