JR西日本  12系客車
 
  旧型客車は今でこそアイドルでしたが、当時は電車やディーゼルカーにサービス面で遅れを取っており、特に手動ドアや非冷房、老朽化といった問題に直面していました。
それらを解決するために作られたのが12系客車です。当初は波動用として万博輸送に明け暮れ、後に急行形レベルの内装を活かして続々と客車列車に充当、後年はジョイフルトレインなど数々の改造も行われ、国鉄を代表する客車の一つとして勢力を保ち続けています。
JR西日本にも在籍しており、主に臨時列車、特にSL列車の客車として機関車共々活躍しています。今回取材したのは2008年夏に山口線で運行された「SLDCやまぐち号」。SLだかディーゼルカーだかよくわからない名称ですが(^^;;;2両というコンパクトな編成が本家「やまぐち号」よりもローカルな雰囲気を出していました。
(取材・撮影 JR山口線・新山口〜山口)

 

 

 


ずいぶんと整然とした車内全景です。デッキを抜けるとこのような光景が広がります。
SLというと哀愁を求めてくる人が多いだけに、明るい雰囲気と都会的な雰囲気も漂うグレーの座席に戸惑う人もいるかもしれません。でも、客車列車の旅を楽しみに来た人には全く不足のない役者です。窓も開きますし。
2ドアオールクロスシート。各車両に洗面所と便所が配置された車内です。


乗務員室側のデッキとの仕切りです。反対側の仕切りには便所お知らせ灯などが備わり、情報が一手に集まってきていますが、こちら側は実にすっきりとした佇まいになっています。広告が入ったらまた違うように見えるのかもしれませんが…
扉越しに蒸気機関車の後ろ姿が見えています。半室構造の乗務員室だからこそこのような画もお手のもの。最後尾も展望が楽しめそうですが、この時はあいにく車内販売準備スペースになってしまっていました。


天井です。分散冷房のため所々にクーラーがあり、落ち着いた感覚は特急形を思い浮かべそうですが、左右の蛍光灯にカバーが無いだけに、特急と同じモノ!と言い切ってしまうことはできません。このあたり、座席共々この形式が登場した時の用途を大いに感じる事ができるわけですが…「急行形」「万博時の波動用」といった用途がすぐに出てくる人はどれくらいおられるでしょうか?

荷棚はパイプ状。すっきりとした使いやすい形状はこの形式の特徴そのものにつながっています。


床はツートンカラー。茶系の帯を通路部分に通し、座席部分はベージュ。国鉄時代とは違った色和えは木目調の床を求めた結果なのでしょうか?

 
ちょっとデッキに出てみました。扉はちょっと珍しい折り戸で、ステップの中で折り畳まれてドアが開く格好です。ステップには特にライトがなく、「段差にご注意ください」とのシールが貼られていますが、これは最近貼られたもので、北陸地区の一部ローカル列車にも同じようなシールが貼られています。
折り戸は客室面積をより広くとり、戸袋部分を考えなくてもいいことから、583系、キハ65系など当時の国鉄特急・急行用の車両では頻繁に用いられていました。ただ、ドアの開口面積が小さくなってしまう事がローカル輸送時の障害になってしまったことから晩年ではあまり歓迎されず、現在は専ら引き戸が主流になっています。

でも、自動ドアがついたことは快挙!でした。悲願に近いモノがあったかもしれません。


デッキ周りはアイボリーに囲まれています。画像は乗務員室との仕切り周辺になります。先述の通り、走行中に一番機関車が間近に見られるポイントになります(^^;;

 
洗面所やトイレは乗務員室とは反対側、横に細長い窓が目印です。
洗面所の設備そのものは従来のキハ58系などの急行形ディーゼルカー車と同じもので、右の画像向かって右側にあります痰壺も当時同様に残っています。あ、飲み水ではありませんので念のため(^^;;
スタンプはDCやまぐち号のために設けられた物で、スタンプ台の写真が若干色褪せており、「やまぐち号」シリーズがいかに長く愛されているかが伺えます。


ユニット窓と横長のテーブルも軽快な印象を与えますが、このユニット窓も12系客車で取り入れられたモノです。それまでの客車にあった丸みを帯びた窓や木枠の手作り感溢れる窓から一気に進化、居住性も向上しています。

  
座席です。左の画像は4人1組のもの、右の画像は端の席のものになります。どちらもこの頃の国鉄急行形車両で多く見かけるスタイルで、いかにこの座席が大ベストセラーだったかが伺えます。
急行形ということもあって近郊形電車よりも横幅に余裕のある座席を設置しており、窓側の肘掛けもその最たる設備です。ただし、端の席にはデッキとの扉の関係上それが無く、手すりも特に設けられていません。この割り切りっぷりもなかなか気がつかない部分ではあります。

しっかり腰をサポートしてくれる座り心地もさることながら、ディーゼルカーよりも窓側の足元が広くなっている事はもっとアピールしてもよかったのではないでしょうか。客車が持つ「ゆとり」の大きなアピールポイントになったと思うのですが…


おまけ。旅情をかき立てるセンヌキ、一部のテーブルにはプレート共々現役で残っています。灰皿は時代の風潮で撤去されてしまいましたが、往年の旅気分を味わい方はぜひ瓶のコカコーラを持ち込んで頂きたいところです。
 
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