JR西日本  キハ58形[高山本線]
 
  全国各地でその姿を見る事ができたキハ58形。華の急行運用からローカル輸送まで幅広くこなしていたのもすっかり昔話になってしまいました。
ローカル輸送についても徐々に新型気動車へのバトンタッチが進み、2007年に九州、2008年に四国といった具合で引退が続きます。四国の引退劇があっという間だったのには驚いたわけですが、富山県の高山本線にラッシュ時のみ運用に就くキハ58形がいた事実を知った時も驚いてしまいました。何せ、行政が行った列車増発実験に伴う運用増加をカバーするための登板だったわけですから奇跡としか言いようがありません(^^;
国鉄色への塗装変更などで話題を提供することも多かった富山のキハ58形も2011年3月のダイヤ改正で引退となってしまいました。気がつけば最後のローカル運用への充当だったんですね。お疲れ様でした。
(取材・撮影 JR高山本線・富山〜越中八尾)

 

 

 

 
早速車内全景からご覧頂きます。
左の画像は乗務員室に向けて撮影しました。右の画像は洗面所・トイレに向かって撮影したものです。乗務員室側にはロングシートが設置されていますが、左の画像をご覧頂くと整然と並ぶクロスシートの多さに往年の輝きを思い出す方もいらっしゃるのではないかと思います。変則配置ですが、2ドアセミクロスシートとしておきたいと思います。

ただ、このキハ58形、セミクロスシートの改造だけではなく、ワンマン機器の設置、そして化粧板の変更などにより、原型とは随分異なった仕様になっています。特に化粧板が貼られるべき側窓周りの内壁にFRPを用いており、キレイだった反面過剰なツヤに対して複雑な気分になったのも良い思い出です。FRPを用いた壁に変えても、クロスシートの網棚や帽子掛けなどはそのまま設置されていたのは何よりの収穫でした。


デッキと客室を仕切る壁も木目調にリフレッシュしています。デッキとの仕切り壁こそ残ったものの、それを完全に仕切る扉は確か無かったと記憶しています。トイレがある部分とドアのある部分の仕切り扉は残っていました。
それでも仕切り壁までしっかりクロスシートが展開して、通風孔から非常灯まで往年のアイテム勢揃いの姿に「よくぞこの光景が…」と当時は思いませんでしたが(^^;; 今振り返れば目から涙がこぼれていたことでしょう。
面白い点として、優先座席が対面4人ずつの指定になっているので、奥から2列目の座席は緑のヘッドレストカバーだけつけて、ピクトグラムは一切示されていません。いったいその席はどっち?!


反対側、乗務員室とデッキの手前には仕切りを挟んでロングシートが展開しています。おおよそ8人掛けずつのロングシートですが、仕切り窓の高さにクロスシート時代の名残を見ることができます。えぇ、キハ40形よりも高い位置の仕切り窓はどう見ても不自然ですからね(^^;;
ワンマン運転の設備も備えているため、ドアの無い仕切りの先には運賃箱や運賃表示機が備わっています。後者は客室からは相当見難いですが、車内学ファン(^^;;;の視点からは煩い位置ではないので嬉しい限りです。


クーラーを茶色に塗った天井です。茶色に塗るリニューアルはキハ181形などでも見ることができます。尤もその周りも含めて大きく手が入った様子はなく、吊革が増設されたくらいでしょうか。もちろんキハ40形の冷房改造車みたいな武骨さは一切ありません。
 
扇風機です。あわせて手動のスイッチもどうぞ。晩年まで扇風機も活躍していました。内壁を改良してもスイッチはそのままで、押すと首を振ってスイッチの頭上付近にある扇風機が回りだします。扇風機まではさすがに色を変えていないようですが、お約束のようにカバーには「JR西日本」の記載があります。


床は灰色一色。お隣のキハ28形は柄が付いており、必ずしも床だけリニューアルしていない…というわけではなさそうです。

 
ドア周り、そしてデッキ部分を撮ってみました。左の画像は妻面側、右の画像は乗務員室側になっています。ワンマン運転時の「入口」「出口」にそれぞれなることから、前者ではゴミ箱の上に整理券発行機を、後者は運賃表示機とはみ出した配線をドア上に見ることができます。狭いデッキにもかかわらず、ゴミ箱や整理券発行機が飛び出しているのは通行上なかなか邪魔な存在で(^^;;撤去した洗面所の跡に置けばいいのに…と思ったものです。
ドアそのものは塗りドアで、晩年も薄緑色の塗り跡に光が当たると素地の微かな凸凹具合がはっきりと感じ取れました。


その洗面所の撤去跡がこちら。座席か?!と思いたいところですが、座席ではありません。
北陸地方では475系や419系でもこのようなデットスペースがありましたが、結局客室スペースに転用されることなく廃車が進んでしまいました…。


怒涛のおわら座席の盆、まずは乗務員室背後のロングシートからです。
おおよそ8人から9人掛けといった趣でモケットこそ茶色でクロスシートに合わせていますが、座面は若干高め、座面の設置方法が古いことから改造当時廃車が進んでいた113系あたりから移植したものではないかと思います。
座席下ヒーターの網が2種類に分かれており、なおかつ奥の方で凸凹している部分もあるなど、今見てもなかなか見ていて楽しい物があります。この手の座席だとキハ40形のロングシートが挙がりますが、あちらは細い脚が見えていた座席なので、やはり見た目においてもボリュームがあります。


続いてクロスシートです。
全て4人1組のクロスシートで、ロングシートとの仕切り部分にはキレイな化粧板が貼られています。座席配置的にこの化粧板は当初からあったものを移設している物かと思われます。そこに吊革の支持棒をくっつけ、取っ手を立客対応に大型の物に変更しています。パッと見キハ40形のようなスタイルにがっかりしてしまうところですが、座席に座るとちゃんと急行形の余裕が見られます。
 
その余裕がこの窓側の肘掛に表れています。クロスシートの斜め撮りです。
肘掛がある窓側ですが、窓側の足元に配管があり、あまり足元が広くないのはこの頃のディーゼルカーのお約束。できれば満席では座りたくなかったかなぁ…という身勝手な思い出が湧き上がってきます。この配管だけはどうしようもないですからネ。
ロングシートとは異なり、座面が若干低く、柔らかい座り心地が心地よい揺れをつぶさに拾ってくれました。

 
優先座席の模様です。モケットは変更せず、ヘッドレストカバーで対応していました。こちらの方が高級感がある反面、緑と茶色の合わない感じが悲惨でした。
端の席もクロスシートですが、この部分は肘掛がありませんでした。単純に幅が狭かったわけです。この部分を優先座席にするとは!と思いつつ、確かにドアからのアプローチが一番短いクロスシートだったので頷けてしまう位置ではあります。

肘掛は座席の骨格よりももう少し濃いめの茶色でした。画像によっては気持ち悪いくらい同化していますが、見た目はキチンと分かれていました。この肘掛の整然と並んだ感じがまたキリッとして良いんですねー。


栓抜きつきのテーブルや帽子掛けも備わっていたクロスシート部分。
この窓から眺める汽車旅も思い出になってしまいました。
そして、ロングシート部分には網棚が無かったことも思い出になってしまいました…。
 
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