JR西日本  キハ121形
 
  鳥取、島根両県をまたいで行われた山陰本線の高速化事業。特急形も投入されましたが、近郊ローカルにも新しい風を吹かせました。まず登場したのがキハ126形、そして今回紹介するのがキハ121形になります。
両者の違いは運転台の数で、キハ121形は両運転台になります。鳥取県から資金の補助を受けて製造されたため、基本的には鳥取県内の運用に従事していますが、両運転台という身軽さを活かして高速化した山陰本線の浜坂〜西出雲間以外にも境港線、伯備線に1両編成で顔を出しています。この系列の増備によりキハ58系が一掃されましたが、需要と供給のバランスがより近づいた感じがします。

…新型車両にしてスパッと切妻で落ち着いているからでしょうか、前面がプラモデルっぽい気がするのは自分だけでしょうか?
(取材・撮影 JR伯備線・生山〜米子)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。島根県の補助を受けて製造されたキハ126形の初期車から適宜マイナーな改良が加えられ、鳥取県補助分のキハ126形ともども「見た目は一緒、中身は…」といった車内に仕上がっています。
両運転台車は2ドアで全席クロスシート。それだけ見ればキハ58系列を彷彿とさせるスペックですが、吊革の配置や車体幅の関係もあり、キハ58系列よりもかなり狭い、窮屈な印象を受けます。
ただ、雰囲気はキハ58系列よりもだいぶ明るくなっており、木目調の柄が暖かみをもたらしてくれます。この暖かみを通学時に大事にしてくれれば良いのですが…。


新見、浜坂方の乗務員室の仕切りを奥に見て頂いています。
ワンマン運転だけにこぢんまりとした乗務員室で、運賃箱は使わない時は乗務員室との仕切りとして活用できるようになっています。その先、黄色と黒のシマシマもなかなか目立っています(^^;
画像左手前にあるボックスは排気管で、この形式では消化器入れをこの場所に設けています。その奥は左右各4人1組ずつ優先座席の指定を受けています。


米子方乗務員室の仕切りを奥に、トイレや車椅子スペースがまとまった空間をご覧頂いています。
単行ディーゼルカーにトイレを設けるとどうしても乗務員室からの死角ができてしまったり、通路が狭くなってしまったりするのですが、後者に関してはトイレの反対側を車椅子スペースにすることによって狭さをフォローしています。ただ、前者に関しては…正直、フォローしきれていないのではないでしょうか。

 
左の画像はトイレの仕切り、右の画像は車椅子スペースになります。トイレの仕切りは周りと同じような色を用いており、角も丸みを帯びています。ただ、JR九州ほどではないですが後からユニットをつけた雰囲気が感じ取れます。
車椅子スペースはゴミ箱しか付帯設備がありません(^^;; どちらかと言うと立席スペースとしての役割の方が強そうです。


さて、運賃表示機はワンマン運転なので乗務員室の脇に設けられていますが、LED表示機も兼ねて作られており、次駅案内や行き先案内、広告などをスクロールで流しています。なかなか高機能な表示機ですが、運賃の表示コマ数のメガトン級の多さにはさすがに目が回ってしまいます…。柔軟な表示が可能な液晶ディスプレイの導入は考えなかったのでしょうか(^^;


天井周りは程よく落ち着いています。中央には電車を思い起こさせるラインデリアを設けています。
その両側には剥き出しの蛍光灯。昼白色でセッティングしているようですが、電球色に近い色でも良いムードがでるのではないでしょうか。
そうそう、吊革の設定も特筆できる事項ではないでしょうか。ちょっと通路から座席側にセットされているので立客と座っている客との気分的な干渉が気になるところですが、ラッシュにも耐えうる車内作りという点ではキハ58系列から一歩進化した点でもあります。


床は暗めのベージュ色。一色のみ、シンプルに決めています。


ドア周りです。片開き扉で段差も小さくなりました。幅自体はあまり広くないものの、半自動ドア用のボタンがつき、ドア周りにも幾分余裕があることから、特にワンマン運転時には無駄な開け閉めがなく、整理券の取得など乗り降りがしやすいという点で威力が発揮できるドアではないでしょうか。
ドアそのものは化粧板を貼って周りとの違和感がないようにまとめられています。惜しむべくは周りの銀枠。ここも木目を意識した茶色に塗ってほしかったです。


ドアのボタン、左の画像は室内側のボタンで、右の画像は室外側のボタンになります。同時期に製造されたキハ187系でも見られるドアボタンで、この地区の利用者の方には使いやすいのではないでしょうか。
LEDの縦書きも斬新です。ワンマン運転時に「締切」「ドア→」などと必要最低限の表示をそつなくこなしています。


測窓です。木目調の化粧板を窓周りに配しています。固定窓なのは見た目としてもスッキリしているのですが、窓枠の止め具が窓の下辺にあるのは少々頂けません。


座席はすべてクロスシートになります。クロスシートだと背面には化粧板を貼るケースが定番ですが、この系列は一貫して背面も茶色のモケット貼り。一歩間違えると「どーもくん」そのものです(^^;; また、座席下ヒーターは背面にも小さなスリットが開けられており、車椅子スペースなどの立客にも配慮しています。が、もう一方を塞いでいないので空気の通り抜けがスリットを介して行われている状態で、着席している人にとってはあまりメリットがないように思えます。

 
固定クロスシート、まずは端席からです。三角形の肘掛けがユニークで、ヘッドレスト部分をご覧頂いている通りバケット形になっています。座って驚くのが足元の広さ。特に窓側の席はこれまでのディーゼルカーよりも足を置くスペースが格段に広くなりましたし、シートピッチも改善されています。
ただ、座席そのものは奥行きがなく、座面が真っ平らで背もたれが垂直というダメダメなセッティング。長距離移動には姿勢的な部分でなかなか辛いものがあり、「とっとりライナー」で長距離運用もこなすこの系列にこの座席を投じた理由がまるでわかりません。修行でもさせるつもりなのでしょうか(^^;


4人1組のクロスシートはこのようなスタイル。肘掛けが大形なのでそれを支える脚の形状がY字形になっています。
茶色のモケットが上品な色合いで、この後登場する優先座席の焦げ茶色モケットとのバランスも良く考えられています。ただ、この色合いのモケットと独立したヘッドレストを見るとヘッドレストカバーが欲しくなってしまいます。

 
さて、キハ121形最大の見所はこの優先座席。ロングシートでもお馴染みのピクトグラムを賑やかに散りばめた焦げ茶のモケットです。クロスシートはヘッドレストカバーにピクトグラムを記す格好で優先座席の意思表示をしていますが、この系列はヘッドレストカバーがないため、このような破天荒かつ目がちかちかする方法で誰でもよくわかる意思表示をしています。

…イルミネーションをずっと見ているような、目がちかちかして落ち着いて座ってられません(^^;; これならJR東日本E217系の「赤いちゃんちゃんこ」の方がまだ耐えられます。

 
4人1組のクロスシートも、半分優先座席、もう半分が通常のモケットという座席が1組だけあります。境目が気になるところですが優先座席モケットは表面だけのようです。また、優先座席の背面は通常の茶色モケットを用いています。裏側まで優先座席のモケットだったらインパクト絶大だっのですが…(^^;;

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