JR西日本  419系
 
  「食パン」という愛称でも知られる419系。余剰となった583系や581系などの寝台特急形電車を近郊形電車に改造し、北陸本線の旧型客車を置き換えました。鉄道雑誌が583系の転用について大いに盛り上がっていた時期でもあり、劇的ビフォーアフターが始まる何年も前に国鉄がこのような「華麗パンから食パンへの変身!!」をやってのけていたかと思うと、当時の財政状況がいかに逼迫していたかが伺えます。
419系になってからは北陸本線の米原〜直江津を中心に活躍、一部で廃車が出ているだけに今後の行く末が気になって仕方がないと言う方もいらっしゃることかと思います。
今回は左の画像、両先頭車とも運転台を増設した通称「両食パン編成」を中心に取り上げたいと思います。
(取材・撮影 JR北陸本線・富山〜泊/直江津)

 

 

 

 
車内全景です。元々昼は座席車、夜は寝台車というコンセプトで登場した車両です。なのでまず入って驚くのが天井の高さ。そしてその脇にあるもう2度と展開されないであろう(否、そうでありたいと願う(^^;;)コンパクトにまとめられた寝台です。この寝台の下にはクロスシートが特急で活躍していた当時と同じ構成、シートピッチで並び、ドアや車端部にはロングシートが配置されています。
画像は同じ車両を車端部側から撮った画像と、乗務員室側から撮った画像になります。構成としては2ドアセミクロスシートの構成ですが、見る位置によって、車両によってかなり印象が変わってくると思います。このページではほんの一握りだけですがその変化についても拾えるといいな、なんて思います。

それにしても……何回見ても「スゴイ」というコトバだけではとても収まりきれません。

 
先に乗務員室の仕切りだけ見ておこうと思います。
左の画像は外観の紹介でもでてきました切妻スタイルの先頭車における仕切りです。手前からドア、ロングシート、仕切りという順序になっており、前面展望も昼間であれば可能です。ここでも天井の高さが確認できると思います。
一方右の画像は特急形でよく見られる上部に運転台があるスタイルの仕切りになります。奥にちらっと見えているピンクの壁が乗務員室とデッキを隔て、デッキ部分にはドア、そして画像向かって左側に壁、右側に袖仕切りを設けて左右両側にロングシートを1窓分、今度は右側に壁があってクロスシートという流れになります。この説明で自分は車内の様子が浮かび上がる気配が全くありませんが、みなさんはいかがですか?
配電盤やドアの位置などの関係でこうなってしまったようで、早くも改造の壮絶さを見せつけられています。

 
車端部も怒濤のラインナップ。こちらも一掴みだけの紹介になってしまいそうですが、まずは富山方先頭車の車端部の様子です。ここにはかつて洗面所と便所がセットであり、現在も便所があるのですが…あれ、便所の隣に同じような扉で「業務用」とあります。この設備は一体・・・ 洗面所の後は吊革さえ無い単なる空間と化していますが、419系の中には洗面台にカバーを被せただけで撤去さえしていないグループもあるだけに、この編成についてはそれよりも若干前に進んでいるようです。

 
次にこちらの車端部。低い天井と大きくとられた機器スペースが目立ち、デッキがしっかりあるのでしょうか、側扉の存在がこの位置からは確認できません。こちらは中間車の一部の車端部になります。この機器スペースは先ほどの「業務用」とは違うようで、中に向かって「もしも〜し」なんて呼びかけることはしませんが(^^;;;果たして中に何が入っているのでしょうか。これも改造車両故の謎でありますし、ラッシュ時の詰め込みが効かない要因の一つにもなりそうです。


こちらも中間車ですが、今度は機器スペースとデッキの間にロングシートが設けられています。こちらは詰め込みも先ほどより効きそうですが、ロングシートに座れるのは両側合計わずか4人(^^;;; ロングシートの袖仕切りには透明の板が設置されており、実際見た目よりも狭そう。でもちょっぴり客席本体と切り離されている印象を持ちそうな区画です。


仕切りシリーズラストはこちら。トイレの無い直江津方先頭車の車端部は片方だけデッキと隔てられた壁が設けてありました。この何とも言い難い中途半端さが419系の魅力なのかもしれませんし、色々注文がつきそうなツッコミポイントになりそうです。
吊り広告は「青春18きっぷ」のポスター。これで取材時期がバレますが(^^;;; 果たして青春18きっぷを使って旅をする方に419系はどのように映るのでしょうか。

一番手前の吊革は改造してからしばらく経って設置された物です。寝台を収めてある分、網棚が中央に向かって飛び出しているので網棚の一番手前に設置してあります。これは改造の後の設置になります。

 
天井です。基本的に一部を除いて蛍光灯にはカバーがかけられ、冷房も寝台使用時を意識してか、小さな吹き出し口を多く設置しています。ここは一切手が加えられておらず、同線を走る475系などの急行形車両には見られないちょっぴり豪華な仕様です。右の画像はパンタグラフ部分の天井が低い中間車の様子です。蛍光灯の列が中央部分だけ1段高くなっています。寝台使用時は「パン下」として知る人ぞ知るお得な区画だったのですが、近郊形改造後は中央の寝台が残っている部分の方が「乗り得」のようです。

より開放的な天井を楽しみたい方、ぜひ先頭車をチェックして下さい!


床はせっかくなので元々洗面台があった部分も含めてご覧頂くことにしましょう。ベージュ一色に塗られています。これは国鉄末期に作られた、あるいは改造された多くの車両で見かける色になります。北陸本線の普通列車でも見かける機会が多いかもしれません。ちょこっと車端部にコンセントのような物が見えますが、使用禁止とのステッカーが貼られています。

 
側扉の様子です。幅は改造前と同じで、近郊形電車にしてはあまりにも狭く、あまりにも珍しい折り戸になります。旧型客車の危なさは回避されたものの、意外と馴染むのに時間がかかったのではないかと思います。
左の画像はデッキを彷彿とさせる壁が残っている部分、右の画像はそうでない部分ですが、ちゃんと同じ距離から撮っていたら「どっちのドアの幅の方が狭かったでしょうか?」なんて心理テストができそうな環境ですね。

この形状で冬は手動で開け閉めできるようになるらしいのですが、その使い心地も気になるところです。


消化器やくず物入れが入っている「壁」もあります。改造前からあった設備ですが、こちらは改造後も重宝しそうですね。それにしてもこれらの設備がドアのすぐそばまで迫ってくる中、順調にラッシュが捌けきれたのでしょうか…。


窓については後ほどふれますが、このような種車を生かした小さな窓も所々に見られます。
その下にはこれまた気づきにくそうな存在の消化器。その位置も車両によって違うわけで(^^;; 統一できるような余裕、無いですよねきっと・・・(^^;;;;


さてさて怒濤の座席コーナー、でもこれでもまだ「ごめんなさい」一部ダヨ編です。長めのロングシートからスタートです。窓2つ分が当てられていますが、一部区画は小さな正方形の窓が用いられていることもあります。6人から7人がけで、座席のうち半分が優先座席になっていたり、逆に全部茶色のモケットだったり、ちょっとした四角いスペーサーがクロスシートなどとの間に入っている部分もあります。
バケット化などはされていない座席は奥行きがあり、混んでいなければ通勤形では体験できないゆったり具合を得ることもできます。ですが、この形式に限って言えばクロスシートの存在感がとにかく大きすぎるので(^^;;; ちょっとロングシートの肩身が狭いかな…というような気もします。


切妻形の先頭車、乗務員室背後の5人掛けになります。こちらも優先座席柄が茶色モケットになっている部分もあります。
ドアのそばに座席があるのですが、仕切りや風よけの板が無いため、ドアの隙間からわずかながら冷たい北風を直撃したり、ドアの開け閉めの度にタイガーロープが視界に飛び込む席があるなど、他のロングシートと比べるとちょっぴりハズレ要素が強いかもしれません。


こちらは便所などの前を中心に配置されているだいたい3人掛けの座席になります。
この形式におけるロングシートの強みは多彩な着席人数構成。一部優先座席になっている部分もありますが、「お友達6人並んで座りたい」「いや、たまには2人きりがいい!だって…2人がいいんだもん(^^;;」そんなニーズにそれとなくなんとなく答えてくれます。どこが何人掛けかはある意味その日その時までの楽しみですが、このだいたい3人掛けや2人掛けはこの形式では遭遇率が高そうです。


ということでロングシート最後は2人掛けです。クロスシートと袖仕切りに挟まれています。
袖仕切りは棒を主体にしたものもあれば化粧板を使った所もあり、これもバリエーションを増やしているパーツにカウントできそうです。また、一部区画には透明の風よけの板を設けている所もあります。

そして、これら以外にもまだまだ種類がありそうな気がします(^^;;;;


一方クロスシートはドア〜ドア間に左右4組ぐらいづつ設置されていることが多いようです。車端部には配置されません。近郊形電車の象徴「トイレの向かいのクロスシート」は元々洗面台だったこともあり、この形式では見られません。
かつてはちょっと出た壁が生み出すセミコンパートメント感覚がこの車両のかつての急激な変化を、灰皿の跡が日常の変化を淡々と表してくれています。

 
本体に移るとその頑丈なフレームにまた驚きです。特急で活躍していた頃の座席からシートピッチまで、ほぼ全てそのまま使用しています。昼は座席、夜は中・上段を支える下段役の寝台という使命を帯びていたことからそのシートピッチは広く、角度や座面の奥行きも上々、これではいくらモケットの色を合わせたところでロングシートとの差が目立つばかりです。
かつては座面を引き出すと寝台になったのですが、その機構はロックされているようです。

左の画像は4人1組の部分、右の画像は端の座席になります。すぐ後ろに扉がきていますが、ロングシートが設置されている場合もあります。


この形状は取っ手としてはとっても珍しいですが、これも種車のおかげではないでしょうか。


最後に419系の醍醐味、窓を見ながらこのページを終わらせようと思います。
こちらは無理矢理開閉窓に改造したタイプ。これ以上細いフレームはなかったのでしょうか、かなりゴツい印象です。
そんなゴツい印象の下にソフトな印象の肘掛けがあるわけで、このギャップにもやはり驚きです。
その間にはテーブルがあり、ちょっとした物が置けるのは旅人には嬉しいですよね。センヌキが一部の車両で健在していることも嬉しいです。これで窓側の足下がもう少し広かったら文句のつけどころはなかったかもしれません。


そして固定窓はさらに旅情をかき立てます。緩やかなカーブにカーテンをセット。乗り慣れた地元の方には怒られること承知で言い切ってしまいますが、これぞトラベラーズキャンパス。このフレームごしにどんな景色が見えるかと思うとなんだかワクワクしてきませんか……?

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