JR西日本  207系
 
  JR東日本の新世代通勤電車として衝撃的なデビューを飾った209系に対し、国鉄時代からの通勤電車の正常進化という印象が強い207系。それでも車内外におけるクオリティの高さは205系には無い大きな特徴で、関東在住の私としては鉄道ファン1996年4月号を早々に手に取るなど「あこがれの通勤電車」だったわけです。
その鉄道ファンの特集から早15年が経過しました。207系は初期車の他に1000番台、2000番台と勢力を拡大し、京都線、神戸線、宝塚線、東西線などアーバンネットワークの主力の一形式として活躍を続けています。その間色々な出来事があったわけですが、それを経て登場した「モケット変更車」を取り上げます。
(取材・撮影 JR神戸線・西明石)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。4ドアロングシートの車内は幅広車体と座席周りのあっさりした装飾から今もなお広く開放的に映ります。後継の321系のような液晶モニターのまぶしさは感じませんが、吊革の多さ、そして目立っている様に驚きを隠せません。吊革の交換も座席モケット交換の後に行われており、「優先席=黄色い吊革」という式が成り立たない状態になってしまっています。尤も優先座席の座席モケットが目立っているからそれはそれで構わないのですが…。
深い緑色のモケットはご近所の私鉄を参考にしたかどうかはわかりません。しかし、開放的な車内の雰囲気を暗くさせてしまっている気がします。もう少し鮮やかで明るい、JR東日本205系のようなモケットが似合いそうな気がするのは私だけでしょうか?

 
登場時はこの中心から少し寄った貫通扉のスタイルに注目が集まりました。妻面の窓を開閉可能にした上で、空調故障時に必要な換気量を一気に妻面の窓でまかなえるようにした結果、このようなデザインになったという経緯があります。確かに換気の確保を側窓でやってしまうと窓の固定化ができなくなってしまうので悩ましいところですが、貫通扉がある位置は通路としてはちょっと片側の座席に寄りすぎで、座っている人は通るたびに足元を気にしなくてはいけません。すなわち、車端部で座るなら妻窓のある方です。
左の画像が通常モケット、右の画像が優先座席の青いモケットですが、現在優先座席のモケットも緑色のものに変更した車両があるようです。青だからわかるものの緑になったらもう…妻面にも優先座席のステッカーが欲しいところです。

2000番台はこの車端部に車椅子スペースがあります。他の車両への改造・取り付けは行われていません。

 
乗務員室との仕切りです。吊革は仕切りまでズラッと伸びています。左の画像が京都方の仕切り、右の画像が姫路方の仕切りになります。優先座席の位置を揃えなくてはいけないことから、ドア〜ドア間の座席にも優先座席バージョンがあるのはJR西日本の通勤電車ではお馴染みです。
前面展望はなかなかのもので、地下区間が長いJR東西線を走る車両でこの窓の配置は立派です。一方で、仕切り扉が若干中央より助手席側にセットされており、一旦気が付きだすと気になって仕方がありません(^^;;


吊革以外は特に変化が見られない天井周りです。最大の特徴はカバーつきの蛍光灯。国鉄の通勤型車両でここまでやった車両はありませんでした。JRになったからこそ見られる変化です。
ラインデリアは吸い込み口の部分が中央で広く確保されています。これも実は室外機を大きい物一つから小さいもの二つに変えたことによる変化になります。従来網棚の上にあった吸い込み口が中央に来たことにより、車内の角からスミまで明るくなった格好になります。広告主にも嬉しい配慮です。


今のモケットだからこそ合っていないと断言できる、床の模様です。

 
ドア周りです。画像の差は鴨居部分にLED表示機があるか無いか…の他に座席周りにももう一つあります。
この部分もとにかく吊革の数が気になってしまうわけですが(^^;; ドア下側に設置された滑り止めのシートも要チェックです。窓の大きなドアは半自動機能が搭載されており、開閉はなかなか静かです。化粧板も貼られており、安っぽさを全く感じさせません。
近年注意喚起のステッカーが増えてきてしまったのが残念ですが、注意してナンボな世の中ですから流れに沿っていると言われれば仕方がありません。


その半自動ドアのボタンです。内側、ボタンの下にあるプレートの意匠は221系のそれと同じデザインを感じます。使い回しではないとしたら221系で作り上げたイメージを207系でも踏襲したかったのでしょう。現在はスイッチに色がついています。

 
一方、鴨居部分のLED表示機は221系とは位置、仕様ともに大きく異なります。LED表示機自体は千鳥配置で、LED表示機が無い鴨居部分と同じ大きさの広告が入るようなサイズに収まっています。
言い換えると…見難い文字の大きさ…ということになってしまいます…。

流れる情報は行先や次駅案内から広告まで多彩です。


側窓は見事な固定窓です。1枚窓でそれに対応するロールカーテンをつけている点がお見事です。窓の解放感だけは向かい側に停車している223系の方が窮屈に見えます。
なお、車端部の開閉可能な窓については開閉できる旨ステッカーで表示されています。

 
ここからは怒涛の座席ステーションシティ。まずはドア〜ドア間の座席からです。
詰め物や構成はそのままにモケットを張り替えて左の画像のような深緑色になっています。右の画像は姫路方先頭車の一番乗務員室に近い区画の優先座席7人掛けバージョンのモケットです。初期車はシートヒーターが床まで伸びていますが、2次車以降は片持ち式に変更されており、やたら大きな袖仕切りが片持ち式の甲斐もあって目立つ仕様になってしまっています。
バケット形状ではなく、柔らかい座面の座り心地が大きな特徴です。片持ち式もわりと違和感なく移行できた印象があります。

 
車端部の座席も通常仕様の座席と片持ち式と二通りに分かれています。左の画像の通常モケット、右の優先座席モケットともに中途半端な長さになってしまっていますが、これはシートピッチが従来の車両よりも長くなったことの証明です。ただ、これだけ居住性を追求しながら車端部の座席に対する居住性が何も考えられていない点についてはいただけません。
片持ち式のヒーターですが、出っ張りはそれなりにあるように感じますが角度が足元というよりも床を指しているような格好になってしまっています。冬場207系に乗ったことがありませんが、ヒーターの効果やいかに?!

…ちなみに、どちらの座席に乗るかはある種の運次第です。


クローズアップ袖仕切りです。袖仕切りの内側も緑色のモケットになっています。独特の形状は立客がつかめる縦に伸びるポールを設置していないからできる形状です。国鉄で用いられてきた形状ではなく、関西私鉄のイメージが沸いてきそうな袖仕切りにワクワクドキドキしてしまいます。


最後におまけの一枚。
外に設置されています。
321系では「これでもかっ!」と大きく書かれたピクトグラム、この車両ではまだまだ存在感が足りていません。
 
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