JR西日本  123系[両開扉車]
 
  バリエーション豊富な123系、このページでは123系シリーズの中で両開き扉、そして「田の字窓」を持っているクモハ123の5・6の2両の車内をご案内します。
元々1987年にクモニ143から改造され、登場したときは阪和線にいました。現在は改造されて見られなくなっていますが、荷物車の車体を活かしたため独特の扉配置が斬新でした。
1995年に岡山に2両とも移籍、旧型国電の足回りを使ったクモハ84形の置き換え、さらに2002年に下関に移籍、後にクモハ42形を置き換えます。1両編成という条件の下で活躍していた旧型国電を2度も置き換えた車両、故に「忘れられない」車両だという認識の方も多いのではないでしょうか。とはいえこの車両も捨て難い愛嬌があります。置き換え役としては適任だったのかもしれません。引き続き宇部・小野田線内で活躍中です。
(取材・撮影 JR小野田線/長門本山)

 

 

 


車内全景です。2ドア・ロングシートの車内で、手前が小野田方、奥が宇部新川方になります。2ドアロングシート、乗務員室と側扉の間にロングシートが挟まっているのは123系ではこの2両が唯一です。
今でこそ座席モケットがJR西日本標準の青い柄になったためあまり感じさせませんが、床や化粧板の色合いは201系や205系にかなり近いものが使われており、そのためでしょうか、最初この車内に踏み入れた瞬間はさほど違和感がありません。故に「特派員が見たものは?!」などといったドッキリ驚きポイントはさほど無いような気がします。・・・でも大丈夫です。乗って少ししてからじわりじわりと普段乗っている通勤電車とは何かが違うなぁ…と感じるようになりますから…(^^;;;。

 
1両編成の車両なので両端ともに乗務員室との仕切りがあります。左の画像は宇部新川方の車端部、右の画像は小野田方の車端部になります。側扉から仕切りまでの距離は宇部新川方の方が長めで、座席も4人掛けの物が使われております。
さて、小野田方の車端部ですが、良く見るとドアと仕切りの間の化粧板の貼り方が不自然です。なんとなくかつて窓があったような縁取りをしています。実はこの場所、昔は窓がありました。今は座席の手前にある扉がもう少し中央に寄っていた分、ドア〜仕切りにかけての車内スペースも今よりも多かったようです。しかし、用いていた窓が田の字型の大きな窓だったため、側扉を移設する際にその田の字窓もドア〜ドア間に移設、ここにあった窓は埋められてしまいました。
そのため、この区画は通勤電車では珍しく病院の待合室のようなちょっとした閉鎖感のある空間になっています。すぐ側に扉があるので机の下のような、大袈裟な閉鎖感ではありませんが、風景そっちのけで化粧板を鑑賞したい方はぜひ。

移設された側扉があった場所は車内から一発で分かりますが、その模様はまた後ほどです。


ワンマン設備です。同じ山口地区のキハ47のように厳重に運賃箱の周りに鉄の囲いを設けたり、北陸地区のキハ52のように収納スペースを設けずに常設になっているため、かなり簡素な、なんとなく設置したようなイメージを受けます。とはいえ整理券発行機から運賃箱を経て乗務員室の仕切りまでケーブルカバーが床に設けられていたり、吊革を支える棒が整理券発行機のすぐ脇に設けられたりとちょっと物々しい雰囲気にはなっています。きっと乗客の動線と乗務員の操作性を考慮した位置がここだったのでしょう。
画像では潰れてしまって文字が読み取れませんが、運賃表示機には宇部線・小野田線の駅名がズラリ並んでいます。このうち新山口に関しては黒いテープで上からペタリと貼ってあるようで、ちょっぴり目立ちます。思わぬ駅名変更効果ですね(^^;;;


天井です。改造当初から冷房が設置されているのもJR西日本の123系の特徴。
JR東日本や東海の123系とは違い、全面フラットまでとはいかないものの、スッキリとした天井が楽しめます。
吊革は三角形の物を使用しています。


床は薄い茶色一色。色としては201系や205系と同じ物を使用しています。試験的要素も盛り込まず、上と下は定番中の定番であっさり引き締めています。


ドアです。なんというか…周りのベロンと貼られた化粧板にポツンとある両開き扉に寂しさを覚えずにはいられません。これこそ乗った後からじわじわ沸いてくる違和感の主なのかもしれません。これが先ほど取り上げた中央部分から端の方に移設された扉になります。ドアそのものは103系あたりでも見そうな無塗装の両開きモノ。鴨居部についてもごくごく普通の化粧板仕上げの物が使われています。なのに、吊革をぶら下げている棒の位置が座席部分と変わらず、扉の部分だけ吊革を撤去したのに、撤去の仕方が不自然…(^^;;

移設されずに改造当初からずっと同じ位置にある扉は・・・

ちょっと角度を変えての撮影ですが、このようにドアの部分だけ吊革をぶら下げている棒が若干高くなっています。
ということで、移設した扉と元々あった扉の見分け方は吊革にアリ、ということのようです。
それにしても元々設置してある扉の方も戸袋部分の化粧板の張り出し方がスゴイ…。何か白い煙と共に「挑戦者の方どうぞー!」なんて声が聞こえてきそうなくらい豪快なドア周りです。
いやはや、吊革といいドアといい、実は必要最低限を極めた改造を何度も施しているのかもしれません。


ちなみにこちらが元扉部分。長めの吊革を増設していますがぶら下げている棒の形状で「ここに元々扉アリ!!」というのが簡単にわかってしまいますね(^^;; それにしてもかなり中央に寄っていたことがわかります。
なぜ中央に寄っていたかというと、種車の構造に原因があります。この車両の種車はクモニ143という荷物電車。その扉の構造が車端部とほぼ中央部に1箇所ずつ大きな扉を設けていました。他の123系はキレイにドアを車端部に寄せるなどの加工をしましたが、このクモハ123-5・6に関しては種車のドア構造をそのまま使ってしまいました。だからドア配置が偏っていたのです。
その後、下関地区に移籍の際に運賃収受を車内で行うワンマン運転をこのクモハ123-5・6でも行うために、移籍前にドアを移す工事が行われ、現在のように車端部に近い位置にドアが設けられています。いわば乗客視点の動線で考えた時により自然に運賃箱に寄れるように配慮したんですね。
それにしても、意外なところに「跡」が残っているものです。


座席は怒涛のロングロングシート。とはいえJR東日本や東海の2ドア車に比べるとインパクトは薄いでしょうか?
片側4人・3人・3人・3人・4人の組み合わせで都合17人が一度に座れます。青いモケットは京阪神のJR西日本の通勤電車に見られる物ですが、袖仕切りはパイプ構成ながら少々独特な物になっています。
戸袋の関係でしょうか、窓と背もたれの間に少しスキマがあり、一応化粧板で埋まってはいるものの窓と背もたれが離れた感覚は埋まっていません。日頃頭を窓枠にぶつけながら寝ている方は少しいつもと違う様子にはっと驚くかもしれません。そんな方にはぜひ、けがの防止に帽子を・・・(以下自主規制


小野田方の車端部には3人掛けのショートショートな座席があります。例の窓無し区画です。
定員通り3人座ると周りの雰囲気も含めて少しきつく感じるかもしれませんが、モケットの跡の具合を見ると3人座る機会はあまり多く無さそうですね。

 
優先席は4人掛け、宇部新川方の車端部にあります。こちらも4人で座るときついかもしれません。気持ち3人掛けくらいがほど良い感じでしょうか。モケットはお馴染みの優先座席柄で、小さな窓には優先座席のステッカーが貼られています。
画像右はワンマン機器を絡めて真正面からの画像です。こうして撮ると足元が窮屈に見えますが、普通に座るには十分なスペースが確保されています。ただちょっと乗り降りの時に足を引っ込める動作が必要になる場合もあります。そういう事もあって中々座る人がいないのか、単に貼り替え時期が違うのかは正確に判断できませんが、他の座席のモケットで見られたくたびれ具合を一切感じませんでした。
 
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