JR西日本  113系3800番台
 
  この顔は一度見たら忘れられないインパクトがあります。山陰本線や福知山線の一部電化区間における輸送力適正化やワンマン化のため113系から改造された3800番台。城崎温泉方先頭車は比較的原形を留めた顔なのですが、中間車から改造した福知山方先頭車はごらんの有様・・・おかげでとある画像掲示板では人気を博し、JR西日本福知山支社も青春18きっぷ購入者プレゼントにこの顔の缶バッチを作るなど、ちょっとした名物車両になりつつあります。
現在も城崎温泉から福知山線の篠山口まで広い範囲を走っています。人気があるからかどうかはわかりませんが(^^;;個人的には昼間も結構お客さんが乗っているなぁという印象があります。
車両そのものの強度を高める動きが広まりつつある中、この旧型国電をも彷彿とさせる切妻顔がいつまで楽しめるかが少しずつ気になる今日この頃です。
(取材・撮影 JR山陰本線・福知山〜城崎温泉)

 

 

 


車内全景です。見た雰囲気は転換クロスシートに変わった113系よりも113系オリジナルに極めて近い雰囲気に仕上がっています。3ドアセミクロスシートという配置もオリジナルそのまま、ワンマン化や半自動化に関してもごちゃごちゃした改造を行っていないようです。
今回取材した車両はJR後に冷房改造を行った車両で、分散クーラーが各車両3台ずつ乗っています。JR西日本に限らず東海・東日本もJR化後よく見かけた冷房化改造を行った113系ですが、最近はすっかり廃車も進んでしまっており、見かける機会も減ってしまいました。

 
車端部の様子です。トイレは編成中に一ヶ所あり、トイレの無い福知山方先頭車の車端部は両側とも座席が、城崎方先頭車の車端部はトイレと座席がセットされています。
ワンマン化の際に通路越しの見通しを良くするためでしょうか、貫通扉が交換されています。ただ周りが113系の雰囲気を保っているため、ちょっと貫通扉だけ浮いて見えてしまっているような感覚になっています。

トイレ自体の大きさは前から変わっていないのですが、回路が増えたのでしょうか、配電盤が前にせり出したためトイレの手前のロングシートは撤去されてしまっています。


そのトイレボックスです。飾り気のない白い箱にはドアが一杯・・・さて、どのドアを開ければトイレにたどり着けるでしょうか(^^; 側ドア付近はちょっとした立席スペースになってしまいました。


気になる前面の仕切りです。まずは城崎方、原形の顔の仕切りからです。
ここも実は手が加えられており、ワンマン化にあたってロングシートが5席分撤去され、代わりに大きな箱と仕切りが用意されています。この箱の中にはワンマン運転時の運賃箱が収まっており、城崎方面行きのワンマン運転時にはその箱からスライドさせ、右のパイプの仕切りとともに先頭部分は立ち入り禁止といった格好になります。
両開きドア、そして乗務員室と少し離れてしまっていることから苦肉の策というコトバがあてはまりそうなワンマン化改造、でもキハ47形と比べれば客室面積の減少はやや少なく抑えられています。

 
そしてこちらが福知山方の乗務員室との仕切りになります。先頭の顔にも驚きですが、この改造にも驚きです。左の画像を見れば納得ですが、客室をパーテーションのような間仕切りでするっと仕切っただけ。たったこれだけで乗務員室のできあがり。お手軽簡単な乗務員室の作り方に驚いていると共に、乗務員室の居心地が大変気になるところです。

ただ、運賃箱は仕切りの奥に収納されている関係で、実にスマートになったのは評価できると思います。

右の画像は集中型クーラーを載せた車両の仕切りです。天井の形が異なっていますが、それでも冷房のダクトが乗務員室へにょきーんと伸びています。この一心同体ぶりに、やはり驚きです。

 
天井のご案内も兼ねて、間仕切りの空き具合を観察しようと思います。右の画像は集中型クーラーの場合で、かなり仕切りに近寄っての画像となります。左の画像に至っては乗務員室に客室と同じ扇風機が設けられている始末で、なぜこのような仕切りが生まれたかが非常に気になります。

どちらも乗務員室内に灯りを煌々と照らしており、種車そのままにレールと垂直方向に蛍光灯を設置し続けています。その蛍光灯は減灯できますが、それでも客室内から少し漏れる灯りが気になる運転手さんもいらっしゃるのではないでしょうか。


扇風機です。シーズンオフだったのでカバーがかけられていました。
スイッチも昔ながらのスタイルでついています。


床です。茶色一色、ただそれだけです。国鉄時代の灰色の落ち着きをそのままに、ちょっと明るさが増しています。

 
ドア周りです。改造が施された仕切りに一番近いドアをピックアップしました。
半自動ドアに改造されており、取っ手をつかんでガラガラと開けるような形になっています。挟み込み注意のステッカーが目立つくらいで、あとは至っておとなしい作りですが、その隣の狭い戸袋窓は機器スペースや間仕切りによって客室内からの眺望が望めない状態になってしまっています。ここまでして、さらに「埋める」という選択肢はなかったのでしょうか(^^;;


外からはこの取っ手で開け閉めします。この形状の取っ手、個人的には会社が違いますがJR東日本の103系3000番台をつい思い出してしまいます。このドアの重さは結構気になるところですし、ちょっとイライラ度を高めそうな「構造上ちょっとだけ開いてしまう」仕組みになってしまっていますが、他の113系のようにボタン操作で半自動化という選択肢はなかったのでしょうか(^^;;; 


再び車内に入って側窓です。ちょっと小ぶりなテーブルが用意されているのも113系ならでは。

その下に視点をずらして怒濤の座席ずくし。ドア〜ドア間はクロスシートが片側8席分、ロングシートが外側に2席ずつという陣容になっています。典型的な配置ですが、モケットや化粧板の貼り替えが近年行われたのでしょうか、見た目はくたびれた雰囲気を感じさせません。

 
クロスシートは車端部にも設置してあります。トイレのある城崎方先頭車の車端部クロスシートは優先席にも指定されており、右側の画像のようなヘッドレストカバーがかけられています。後ほどロングシートの優先席の模様をご覧頂きますが、その力の入れ具合の差にガッカリするのは自分だけです。
福知山方先頭車の車端部クロスシートはそのようなカバーが無い、純粋な物になっています。


さらに踏み込んでみます。フレームのアイボリーが目立つドア〜ドア間の真ん中にあるクロスシートです。
座面と背もたれが分離している、近郊形電車お馴染みのスタイルをシンプルな茶色のモケットで保っています。見た目はバランスのとれた形だったのですが、いざ走り出すと車輪からのダイレクトな乗り心地が座席を通じてリアルに伝わってきました。この乗り心地を作り出す座り心地、自分のようなたまに乗る旅人には良いのですが・・・。

 
背筋がシャンと立ったロングシートの隣のクロスシートです。右の画像は優先座席モードです。トイレの壁にもたれかかって、精一杯引いても自分の腕ではこの角度が限界でした。
優先座席のピクトグラムがそのまま定員着席につながっているような格好になっています。色も大きく異なるので非常にわかりやすく、かえってロングシートのモケットにもこの方法を採用した方が・・・と思ってしまいそうですが、ロングシートにはロングシートのやり方がある!というのがJR西日本流なのかもしれません。

 
ピタッと壁についたクロスシートは通路幅の関係で取っ手が省略されています。また、座席幅も若干短くなっています。優先座席のヘッドレストカバーもそれに合わせた物になっています。その奥には扇風機のスイッチが見えます。

ラッシュ需要と長距離需要のバランスを備えたこの配置はロングセラーという面から見ても成功でしたが、クロスシート部分のシートピッチが少しずつ狭く感じているのは、きっと自分がデブになったからという理由以外にもあると信じたい今日この頃です。

 
ロングシートは3人掛けと2人掛けの2種類があり、どちらもドア〜クロスシート間の配置になっています。
座席下のヒーターが垂直になっていますが、座面はそれについ追随することなく、奥行き若干広めで設けられています。セミクロスシート特有の「袖仕切り周りの取り回しの狭さ」が気になりますが、これ以上のロングシート削減を進めてしまうといよいよ非難の嵐になりそうな気がしますので、案外座席数の現状維持が実は一番重要なのかもしれません。


そして気合いの入った優先席はあの福知山方先頭車、仕切りのすぐそばに展開中です。他のモケットともバッチリ雰囲気のあった仕上がりになっています。これとヘッドレストカバーを比べてしまうと・・・やはりこっちの方が優先座席らしいという漠然すぎる理由で個人的には良いなぁと思いますが、いかがですか?




客室から助手席側を覗いて見ました。カーテン閉めっぱなしでしょうか、かつて客室だったことを示すような縦長の開閉窓までしっかりあります。この不思議な空間、電車区の一般公開など、合法的に入れる機会があったら入ってみたいです。
ある意味「お客さんとの距離が近い」乗務員室・・・いや、「かつてはお客さんが乗っていた」乗務員室に、ちょっとした身近な感覚を覚えました。

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