JR西日本  加古川線103系3550番台
 
  103系っぽくない103系を輩出してきたJR西日本ですが、この顔も「103系」なんです。3550番台。2004年の加古川線電化開業時から主力としてエメラルドグリーンの塗装で登場しました。
種車は全車体質改善車で、モハに運転台を取り付ける改造を施して列車によっては2編成つなぐ事もあるので貫通扉も装備しました。また乗車区間が長いのでトイレも設置、長い距離を走る広島地区を抑えて103系では初のトイレ付になりました。そして、播但線に続いてJR西日本の103系では2線目となるワンマン設備も搭載しました。結構改造箇所は多そうで、もはや103系の面影なぞ無さそうですが…ご安心ください、一つ走り始めるとそこはもう103系ワールド。ほっと一息つけそうです(^^;
運用はやはり加古川線。主に加古川から西脇市の間を走っています。
(撮影・取材 JR加古川線・加古川/西脇市)

 

 

 


ちょっといつもよりもショートショートな視点ですが、まずは車内全景から。大阪環状線などで走っている体質改善車と比較してもドア周り、車端部、乗務員室との仕切りなど相違点&見所満載。最後までお楽しみください。
構成そのものはちっとも変わらず4ドアオールロングシート。ワンマン運転時には1両目の前から1つ目のドアが降車用に、4つ目のドアが乗車用にそれぞれ開きます。

雰囲気に関しては「国鉄」103系の面影をいっぺんに吹き飛ばすような具合で、JR西日本のリフレッシュに対する真摯な取り組みが見事に反映されてる感じです。リフォームの匠も驚いている…ってその番組終わっちゃったんですよね(^^;;;


早速乗務員室との仕切りです。全景の画像の時は運賃箱が出ていませんでしたが、こちらは運賃箱が出たとき、すなわち最前部の模様になります。
化粧板をベージュのものに交換して周りとの調和を図ったのかもしれませんが、ちょっとごちゃごちゃしてしまっている感じがします。また、運賃箱を収納するスペースが運転席背後の窓下に設けられて(左右にスライドする形で出し入れします)窓のサイズが小さくなったのと、ワンマン運転時のお客さんの動線から前面展望がしにくくなったという鉄道ファン的な「ガッカリ」も少しはあるかもしれませんが、仕方が無いと言われれば仕方が無い、ですね(^^;;

 
左の画像は運賃箱です。青の部分で両替をして、赤の部分で運賃を払うしくみです。この運賃箱も少しずつ全国共通アイテムとして普及してきているような気がします。そして右の画像はいきなり昼の画像ですが(今回は昼夜がごちゃまぜに登場します…すみませんorz)運賃表示機はこのような具合で、これまたJR西日本ではよく見かけるタイプ。ただ、書いてある駅名は全て加古川線の駅名になっています。「加古川線専属車」という肩書きについて身を以って知ることになります。

ちなみに加古川駅では中間改札方式をとっています。山陽本線から加古川線に乗り継ぐ場合で加古川からの清算が必要なときには、ホームに上がる前に加古川線乗り場の改札脇で乗車券を購入する必要があります。最近関東圏でも関西圏でも中間改札が増えてきたなぁ〜なんて思うのは個人的な感想です(^^;;


車端部、まずはトイレの無い側からです。優先座席の指定を受けていないこの区画、化粧板を丸ごと取り替えたため、第一印象は「きれいにまとまっているな」なんて具合でした。乗務員室の仕切りとは違ってさっぱりしていますよね。
そして直線的ながらもすっきり下まで伸びている長い窓が洒落ている貫通扉はJR西日本の十八番。ワンマン運転時は乗り降りに車両間を通り抜ける事も多々あるので、どちらかというと「開きっぱなし」ということが多いようです。ただ、重いことは重いもののあまり音を立てずに「すーっ」と閉まるのは改造の賜物以外何者でもなく、好感が持てます。


反面こんなアホな設計をかましたのもJR西日本だから・・・なんて言ってしまうのは言いすぎかもしれませんが、トイレがある側の車端部はこのような構成です。
国鉄時代は「トイレに出入りした人と視線が合わないように」との配慮で、オールロングシートの車両でもトイレの反対側の座席をクロスシートにしたり(Ex.キハ30系・211系など)最近でもJR東日本の車両などではトイレの反対側を車椅子スペースにしていたのですが…この車両は違います。トイレに出入りした人とばっちり視線が合うようにロングシート、それも優先座席扱いにしているのです。

・・・これはトイレでタバコを吸うな!とお怒りの先生が大股座りをするための座席なのでしょうか(^^;; それとも下り超特急をご利用のお客様優先の座席なのでしょうか(^^;;;; とにかく個人のプライバシーが話題になる世の中において、こんな配置にしたのはブラックユーモア以外の何者でも無いと思います…。ぜひ、クロスシートか立席スペースへの切り替えをお薦めします。

左半分、トイレの様子。化粧板は妻面のものをそのまま使っていて違和感無く仕上がっています。「体質改善車」から改造の末設置されたという経歴がわからないくらい。2004年の加古川線電化に合わせた改造なのに車椅子対応になっていないのがちょっぴり残念。そのあたりのスペックが逆に「改造車」としての宿命なのでしょうか。同じ加古川線を走る125系は車椅子対応設備がバシッとついているだけに、比較するとちょっと見劣りしてしまいます。


天井です。まず手前に大きく見える丸は扇風機のカバーになります。いや、ここではファンデリアと言っても差し支え無いかもしれませんね。その奥には冷房の吹き出し口、これは一定方向しか吹き出せないものです。その両脇には吊革とカバーつき蛍光灯がJR西日本っぽい味付けで並んでいます。
103系の体質改善工事では天井のフラット化もメニューの一つでした。画像を使って説明すると、元々中央部分が低くなっていて左右が高く丸みを帯びていたのですが、その左右の部分を埋めるなどして天井を低くした結果、フラットな天井に仕上がりました。
従って加古川線ではあまり関係ないかもしれませんが、天井に広告の金具がへばりつくように設置されています。これ、立っている人が見るのは大変そう・・・。


床はつやが美しいベージュ一色のものを採用。これだけつやが出ていると蛍光灯がフットライン代わりに見えそうです。体質改善を行って床の色を明るくして全体も明るく見せよう!という作戦は見事に成功と言っても過言では無いと思います。


ドア周りです。2両とも先頭部分から4つ目のドアはこのように整理券発行機が備わっています。
また、半自動ドアの押しボタンに広告枠も加わって、埋められた戸袋部分はなかなか賑やか。しかしながら、ドアのくたびれ具合が103系っぽいなぁという気もします。
整理券発行機はちょっと位置が低そうですが、これは半自動ドアの押しボタンの位置関係が絡んできます。しかしながら…左右両側に設置するあたりはさすがJR西日本。用意周到です。

その整理券発行機本体の模様は後ほどです。


一方それ以外のドアには半自動ドアのボタンはありますが整理券発行機はありません。画像は先頭部分のドアの様子です。
体質改善工事によって少し鴨居部がカーブしましたが、それにあわせた部品に取り替えてあります。そのせいでしょうか、ドアそのものを除けば103系らしくない気がします。自分がJR東日本の住民だからかもしれませんが…。


ドア周りということでまずは半自動ドアに対応するボタンのご紹介。左が車内、右が車外のボタンになります。車外の方は「開」のみのボタンなのですが、説明書きや記号が書かれていないのはちょっと不親切かなぁ…。
一方車内のボタンは「開」「閉」完備。「ドア」と赤文字で点灯中に使うことができるという説明書きもしっかりあります。
JR西日本の車両ではごくごく標準、よく見かける設備なのですが…ちょっとボタンが小さいかなぁという気がします。


そして鴨居部。ちょっと小さいですが、加古川線沿線案内図が掲げられている部分もあります。
イラストがふんだんに使われていて沿線の楽しさが伝わってきます。日本のへそ公園という公園や梅吉亭というレストランなど、様々な「名物」が集積している西脇市を抱えていることだけの事はあります。鍛冶屋線の廃線探訪や染物工場が並ぶ町並みをふらり訪れるのはいかがでしょうか。なかなかいいムードの街でしたよ。


そして整理券発行機。黒にオレンジのステッカーと非常に見やすい機械が投入されており、それを支えるために袖仕切りの厚みを倍にしています。袖仕切りを活用したため、先ほども触れたとおりちょっと位置が低いかなぁという印象はありますが、無理矢理くっつけた感じがしないという一面もあるのではないでしょうか…。


側窓は上3分の1が開くようになっています。画像は優先席部分の窓で、堂々窓ガラスの中央部分に「優先座席」のステッカーが貼ってあります。また、その上には「7人掛け奨励」をさりげなく言っているステッカーが貼られていますが、これは「ここだけ!」というわけでは無いようです。
優先座席のステッカーは網棚部分にもさりげなく貼ってあります。一生懸命アピール。

しかしながらカーテンまでには優先座席ステッカーは貼られていないようです。ちょびっとカーテンを下ろした図です。
カーテンはなが〜い物が使われていて、その長さは確か2m。座席では約5人分にあたる長さです。
フリーストップではなく従来どおり金具を引っ掛けて止めるものなのですが…その長さ故にサッチー:「私はこの位置で止めたいの!」チャーチル:「いんや、俺はここ!!」トルーマン:「やっぱ自分全開っすかね〜」なんて具合でカーテン論争が起こらないことを願うばかりです。あ、登場人物はフィクションで(^^;;

 
座席です。まずは通常の青いモケットの座席からです。ドア〜ドア間は長めの7人掛け、車端部は3人掛けになります。
どうやら体質改善工事の時に詰め物を交換したようで、103系にしては疲れがあまり見られませんでした。また、バケットシートには改造されていないものの袖仕切りが化粧板つきのものに交換されていることから、なんか別形式に乗っているような錯覚を起こしました。しかしながら、足元のヒーターはどうみても103系を物語っていますね。
モケットの青も画像よりももう少し鮮やかな感じで、座り心地も混んで窮屈な状態でなければ加古川から西脇市までの1時間は結構ラクに移動できるかなぁという印象でした。


お約束のクローズアップ袖仕切り。整理券発行機の裏側も全部見せます。
整理券発行機はすぐ隣に着席すると視覚の邪魔にはなりますが、肘掛に置いた腕の邪魔にはならないかなぁといった具合でした。ちょっぴり余裕な幅取りのおかげです。
袖仕切りそのものは外側に化粧板、内側に青いモケットを貼って高級感を演出しています。

 
そして優先席の様子です。3人掛けが右の画像、左は7人掛けの画像になります。さて、優先席は各車両の一番西脇市よりの座席に設置!という法則なのですが、その厄介な法則のせいで・・・

←谷川・西脇市                      加古川→
[  総座席数:48 うち優先座席数:14(7人掛け×2)  ][ トイレ[有] 総座席数:45 うち優先座席数:3(3人掛け×1)  ]

と、優先座席数が大きく異なる結果を招いています。つまり譲ってもらえるチャンスに差が生じているんです。せめてトイレがある車両も7人掛け×2つ(計14席)くらいは優先座席に指定してもいいのでは、と思うのですが…。
その優先座席の柄はピクトグラムが散りばめられているもの。紺の地でかなり鮮やかに、はっきりと目に飛び込んできます。わかりやすいです。


しかしながら・・・くたびれつつあったJR東日本の103系を日々利用していた者にとって、この内装と103系を結びつけるのにはちょっと時間がかかりました。このリフォームはやっぱり見事という一言に尽きます。今は201や近郊型でリフォームを手掛けているようですが、そろそろ在来線の特急や夜行列車でもその実力を見てみたいものです。
 
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