JR西日本  キハ40形「ベル・モンターニュ・エ・メール」
 
  ねぇ奥さん…という出だしは私の中では「水曜どうでしょう」ですが、みのもんたを思い出す人も多いのでは…という書き出しで、「うわ、おもいッきり遠い所から前説に入ってる!」と頭を抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。ズバッ!と言うと城端線・氷見線の観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」略して「べるもんた」です。
この深緑のお洒落で上品な外観が素敵で、乗れば風光明媚で美味がウリの富山ケンミンショーそのもの。予約制とはいえ、お客さんの胃袋とウィークエンドをつかまえろとばかりにお寿司や地酒もスタンバイ。こういう楽しい列車に乗ると今日のホームランばりのハイライトシーンが脳内でぐるぐる再生されるわけですが、くれぐれも車内での珍プレーだけは避けたいものです。

(取材・撮影 JR城端線・高岡〜城端)

 

 

 


車内全景です。キハ40形をリフレッシュして装いをそこそこ改めました。車内の見取り図が公式サイトに出ているのでそれと突合させるとより分かりやすいですが、この画像は氷見方から城端方向に向けて撮影したもので、画像左側は海側になります。クロスシートは山側です。2ドアですが、氷見方のドアは業務用で基本的に城端方ドアからの出入りになります。
車外も深緑なら車内も深緑で勝負!とばかりに、木目の柄と深緑の色が見事にマッチしています。照明も変えて観光列車の雰囲気を十二分に…といきたいところですが、座席や扇風機、冷房あたりを見ると種車の面影が色濃く残っています。この手の車両を世に放つときの「ちょっとだけ手を加えました!」という改造はこの時期のJR西日本のお家芸です。


城端方にはトイレと手洗いが備わっています。また、トイレの向かいは優先座席に指定され、ロングシートもトイレとクロスシートの間に挟まっていますが、こちらはあくまでも「一時的にくつろぐための席」ということで、補助席でも自由席でもありません。
深緑と天井の低さを感じられる部分で、照明の配置こそ変わっていないものの、周りに合わせてちょっとした網カバーを新たに被せています。また、ワンマン機器として整理券発行機や運賃箱も見られますが…撤去しないのはワンマン普通列車としての運用を考えたのでしょうか?

 
氷見方の車端部は営業中は寿司カウンターになります。職人さんが寿司を握るブースで、ここも照明の配置に種車の面影がみられます。
クロスシートの先は左手がお土産コーナー、右手はカウンターテーブルとして地酒のメニューなどが置かれています。その先の仕切りを撤去したのが右の画像になります。こちらもワンマン設備をひととおり残した状態で、運賃早見表の前で握る寿司職人というのもなんだか雰囲気が出し切れません。


なんか鉄道模型の車両セットの箱を見ているような…深緑で覆われたトイレ周りです。手洗いは後付けで設置されたものになります。元々寿司や地酒を堪能できることもあって必須アイテムだったわけですが、時代が進んでここまでこの手洗いが重宝される時代がくるとは思いませんでした…。奥には緑のゴミ箱もチラリ。
トイレブース自体は種車から大きさの変更はありません。故にドア幅は車椅子対応ではありません。


天井周りです。扇風機や冷房はそのままに照明器具を変更してきました。このような円形の照明はなかなか珍しく、周りの枠とのバランスも良い感じですが…なんか雑然とした雰囲気が拭えません。
吊革は種車の時と同じようにロングシート周りのみの設置です。そのため手すりがクロスシート部分に長くなって付け替えられましたが、車内でちょっとよろけた時につかまる部分が少ないかなぁという印象です。一応窓向きの1人掛けシートにも手すりがありますが、背面と手すりの間があまり離れていないので、ちょっと座っている人がよっかかるとつかみにくいかなぁ…という印象です。

 
扇風機です。手動ですが、右の画像のとおりボタン周りが木目柄のデザインに一新されています。また、扇風機カバーにも「べるもんた」と書かれています。「べるもんた」の自己主張よりもこのスイッチが何を作動させるものかを書いてください(^^;;

吊革です。この吊革の工芸品も含めた格好が非常に可愛いです。これなら自分の愛車の車内でもぶら下げたいくらい。持手は銅箔をイメージしたそうですが、この工芸品とバンドがナイスアシストしています。


床はフローリング調の柄です。周りの雰囲気にも合い、適度に清潔そうに見えるチョイスはお見事です。欲を言えば木のぬくもりが伝わる様な無垢材でも…と言いたいところですが、だったら他に…!という声が聞こえてきそうです。


ドアです。こちらも種車の雰囲気を色濃く残しています。この手の車両は第一印象がカギを握ると思うのですが、客室を見るまでは「あれ、いつもの車両と変わらない…」という戸惑いをついつい想像してしまいます。なお、画像は城端方のドアですが、業務用の氷見方ドアもほぼこのスタイルです。
様々なステッカーが貼られていますが、そのうちの2枚はワンマン運転に関するステッカーです。

 
半自動ドアなのでこのようにドアスイッチがありますが、こちらもJR西日本ではお馴染みのスタイルです。始発駅ではフル活用していますが、停車駅があまり多くないので、中間駅ではあまり効果を発揮していた記憶がありません。きっと季節によって柔軟な運用を組んでいることでしょう。


海側の固定窓です。横に長く、ワイドな眺望が楽しめるようになりました。一方、ロールカーテンが撤去され、荷棚もなくなったので荷物が多い方には不向きの座席です。また、氷見線を午後走る便は日差しが心配です。
窓配置が独特ですが、冷房の配管などの関係でこのように…と内側から見て初めて分かる配置です。それでも座席に座るとででんと窓枠…という席が何席かあります。改造車故の悩みですが、どうやら能登半島の方に目を向けると…おっと誰かが来たようです(^^;;


トイレとクロスシートの間に挟まれたロングシートです。3人掛けで、座面下の展開がなかなか新鮮です。座面も背もたれもモケットの色がちょっと珍しい深緑という点…以外はキハ40形のロングシートそのものです。柔らかい座面にちょっと深めの奥行き…どこかの鉄道会社であればどうどうと「自由席」としていそうですが、あくまでもこちらはラウンジのような扱いの「おくつろぎいただける席」です。

そのように考えると、この座席の説明がつくような、つかないような…トイレの向かいの優先座席です。尤もモケット以外は優先座席である表示がないので、「たまたま緑の優先座席」→「じゃぁそのままにしておくか」という議論の結果かもしれません。取材した列車では基本的にカゴが座席の上にのっていて「あ!」と気が付きましたが、大きい荷物を持っているお客さん向けの荷物スペースとして活用しても良いかもしれません。

 
海側の1人掛けの座席です。全部で13席あり、7A・7B席から13A・13B席が指定されるとこの席です。なお、9B席はありません。
海側に向かった固定座席で、最近は座面に座布団が置かれるようになりました。確かにこの座席では木の硬さだけが悪く目立ってしまいます…。座面だけでも少し背もたれ側に傾斜をつければ多少は違ったと思うのですが…。
足元は種車の暖房配管がそのまま残っています。故に足元は狭めですが、後述するクロスシートに比べればまだ足元の空間に余裕が残されています。

 
キハ40形らしいフレームが目に飛び込む4人1組のクロスシートです。通路側のひじ掛けを撤去したのは大きいテーブルを設置して出入りに難儀しそうだから…ということかと思いますが、それにしてもテーブルの脚と暖房配管で特に窓側の足元は狭くなっています。テーブル展開時に膝をテーブルにぶつけないかどうか、ひやひやしてしまうのは私だけではないはずです。
手すりが大きくなったのは嬉しいですし、フレームを活かしたリニューアルは安心の座り心地をゲットしたようなものです。


14A・14B席は2人1組のクロスシートで、テーブルは背面固定テーブルのみです。4人1組のクロスシートに比べれば幾分か足元に余裕があります。窓配置はシートピッチに合っていますが、単純に進行方向が逆になる場面もあるので、購入の際には公式サイトで座席配置図を事前に見ておくことをお奨めします。それにしても…この部分のこの座席が残るとは思わなかったです。

 
車内には伝統工芸品などの展示も充実しています。どちらかというと大人向けの展示が多いので、子供でも楽しめる仕掛けがあると良いなぁというのが2016年秋の感想。あれから数年が経過しましたが、またいつか美味しいお寿司を目的に乗りに行きたいと思います。


あ、お土産コーナーです。氷見方にあります。
この配置、右側の袖仕切り…ムムム、この棚の下には何かが潜んでいるに違いない。こうなったら気になるのでみのもんたに生電話で聞いてみよう(^^;; 「私に隠していることがあるか不安なんです。」「それはねぇ奥さん………。」お後がよろしいようで。
 
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