JR西日本  117系300番台
 
  京都駅から発着する湖西線や草津線は近郊型が「何が来るかな♪何が来るかな♪」状態で利用者からすると迷惑この上ない話ですが、私のようなたまに乗る旅人には愉しいガチャでもあります。昔は通勤型も涼しい顔して運用に就いていたと聞いた日にはさすがに開いた口が塞がりませんでしたが… 駅の案内表示で2ドアのマークにつける車両と言えばこちら、117系300番台です。
福知山線運用時に一部座席をロングシートにしたことなどから300番台がつくようになりました。福知山線の運用終了とともに京都地区での運用が始まりました。現在は緑一色の塗装に統一され、里山を走る時は周りの緑と同化して走っていることがバレないような忍術を覚えたとか(^^;; 今回は湖西線運用での6両編成を取り上げます。
(取材・撮影 JR湖西線・近江今津〜近江舞子 他)

 

 

 


車内全景です。ロングシートが目の前に飛び込んできますが、ドア〜ドア間は転換クロスシートを中央左右各8席だけ残し、あとの前後6席をロングシートに改造しています。しかし、床が綺麗なこととロングシートも製造時期を考慮したようなデザインになっていることから、あまり改造したという違和感はありません。むしろ荷棚周りの吊革の支持棒が鬱陶しいくらいです。
往年の新快速で117系のアグレッシブな走りを体感した方は転換クロスシートや車端部のこげ茶の木目柄化粧板に思いを馳せることができます。外観から思い出すのは…ちょっと難しそうです。

 
乗務員室との仕切りです。乗客が集中しそうな位置ですが、車端部はクロスシートの配置がそのまま残っています。右の画像は優先座席で、各車両近江今津方の左右各4席が指定されています。
クロスシートの配置がそのまま残っていても混雑については敏感に対応していたようで、吊革は乗務員室の仕切りまで伸びています。ただ、2009年に取材した和歌山の117系はドアから乗務員室にかけての吊革が無かったので、京都地区の117系独自の対応だったのか、ここ10年の対応だったのかしれません。この区画の吊革は照明からスマートに設置されています。
運転席の後ろに広告枠が設置されているのが0番台の特徴ですが、この姿は今も昔も変わりません。

 
車端部も転換クロスシートが左右各6席の配置です。京都方先頭車の優先座席はトイレつきの車端部で、1枚下の画像になります。こちらもしっかり吊革が伸びています。この車両の座席構成と投入線区の混雑状況を考えるとあって然るべき設備だと思いますが、少し通路から内側に入った位置にぶら下がっており、座っているお客さんから見ると少し気になりそうです。
妻面は木目調化粧板の楽園、同年代の阪急車よりも濃いめの味付けは全く色褪せません。一寸窪んだ位置に貫通扉がありますが、消火器はこの窪んだポジションに置かれています。


トイレ付きの車端部です。今の車両であればドアから妻面までぎっちぎちの大型トイレと車椅子スペース…という展開がお馴染みですが、この頃のトイレのコンパクトさが左右の座席配置から伺えます。
照明が一体型になっていることもあり、座席周りはあまり暗さを感じることがありません。とはいえ景色が見難いのも事実であり、優先座席に指定こそされていますが、私だったら「最後の選択肢」にしてしまいそうです。


トイレの仕切りです。トイレ使用お知らせ灯の周りがやけに賑やかですが、側方に回ると木目調化粧板がツルンと。この重厚感がたまりません。今に始まった事では決して無いですが、中吊りの広告枠とトイレのドアの動線がちょうどぶつかっていて、広告枠の影で少し通路の天井周りが暗くなっているように感じます。乗っている時はたいして気にならなかったのですが…通路を行き来する時に気になりそうな気がするのは私だけ…?


天井周りです。つり革の支持棒が壁からニョキッと伸びている点にご注目です。初めて見た時に壁から伸びた棒が妙に新鮮で「ここまでやらないと強度が保てないんだぁ…」と驚いたものです。恐らく蛍光灯や天井周りの造作と吊革の位置がうまく合わなかったのでしょう。その吊革の奥の荷棚にはロングシート部分も座席番号が振られています。つくづく律儀ですが、何か座席指定車として使いたかったのでしょうか?
そして117系のカバーつき蛍光灯をはじめとする余計な隙を全く見せない造作はお見事です。


床はベージュ一色です。ロングシート化に合わせて貼り替えたようですが、さすがにそれからも年月が経っているようで、あちらこちらに補修の跡が…現場の皆様、頑張ってください。


ドア周りです。117系の落ち着いた雰囲気には吊革がどうしても不釣合いですが、これも300番台ならではの図です。この形式くらいでしか見られない独特の素材の鴨居部に少し時代を感じます。化粧板が貼られたドアは今でこそステッカーがバシバシ貼られていますが、ドア窓とドア本体の大きさのバランスが絶妙で、なかなか美しいと思います。

 
ただ、意外だったのは手で開閉する半自動ドアの運用をやっていたことです。取材したのは2018年7月。113系や115系も相当数、キハ40系列に至ってはすべての車両で半自動ドアのボタンがついた昨今、まさかこの車両で手掛けを使うことになるとは…(^^;;
国鉄末期の車両ということもあり、窪みに手をかけるタイプのみくっついています。閉めたつもりが微妙に開いてしまう様子は115系で経験した苦い記憶をそのまま呼び起こします。
他社の状況を見ていると…「手で開ける」半自動ドア選手権、JR部門では最後の1両になるかもしれません。


窓周りです。2段窓ですが下段は開かないようにレバーを撤去しています。
転換クロスシート部分は従来の窓周りを踏襲した座席配置を行っているため、窓割と座席位置がズレた席はありません。中途半端な位置に広告ステッカーが貼られていますが、営業的には3ドア車と同じ枚数の広告枠を確保したいのでしょう。


ドア〜ドア間の座席配置です。焦げ茶色のロングシートがドア〜転換クロスシート間で6席展開しています。転換クロスシートとのデッドスペースはちょっとしたひじ掛けにもなりそうな造作で埋めていますが、この部分は上に帽子掛けを設けていてロングシートでもちょっとだけ設備の良い席になっています。一方端の席は半自動ドアとはいえ…長く使うかどうかはわかりませんが、大型の袖仕切りがあっても良いのでは、とふと思いました。琵琶湖からの風…結構冷たいですょ。

 
その6人掛けロングシートです。窓からはほんの数cmですが離れており、寝ている最中に頭を窓にぶつけそうになる方は普段よりも深い位置に窓があるので要注意です。
座席自体は3人掛け×2で、意外とくたびれた感じはありません。座面と背もたれは他形式のものを持ってきたような印象を受けるのですが、同時期のJR西日本の車両の中でこの画像のロングシートをねん出できる車両が思い浮かびません…。101系や111系あたりだともう少し平べったく奥行きが浅い座席だと思いますし…もしかして、この系列に合わせて作ったのでしょうか。

 
転換クロスシート、そして端の固定クロスシートです。117系ならではの深く沈み込む座面はどちらも健在で、足元の蹴込みの関係でちょっと狭さを感じる点以外はまずまずの設備です…なんてケロッと言ったら怒られそうですね(^^;;
特筆すべき事柄は窓枠下のひじ掛け。これ、近年の転換クロスシートで忘れられるケースが度々ありますが、窓側も通路側もひじ掛けあって初めて快適な空間をお約束できるもの。窓枠の桟で誤魔化してはいけません。
特に端の固定クロスシートのひじ掛けと窓まで伸びた座面・背もたれの位置関係にまつわる美しさはお見事です。

 
乗務員室背後のクロスシートです。こちらは従前どおり4人1組の座席になります。なぜこういう混みそうなところをロングシートにしないかが疑問ですが(^^;; 窓枠の間の太い桟もそのままです。


トイレと側ドアの間も座席もこちらの4人1組の固定クロスシートがスタンバイ。こちらは座席の上、トイレとの仕切りに握り棒を設置しています。

 
車端部、3列クロスシートが並んだ区画では間の2人掛けが転換クロスシート、両端が固定クロスシートになっています。この画像から見てもわかるくらい端の座席の横幅が狭いこと、優先座席を6席中4席だけ指定したところが気になります。特に後者は…通常仕様の座席と優先座席がご対面♪という状態になっているわけで…(^^;; 各車両で優先座席の座席数を揃えたかったのでしょうか、この形式だから感じるモヤモヤです。


この区画では窓際の灰皿撤去跡も車両によっては見ることができます。…なんて話と瞳をそらさないで、改めて妻面に接したクロスシートです。
肘掛けが大きいことが災いして座席幅が短いことがよくわかる状況ですが、見た目は他の座席と幅以外の違いはなく、窓側のひじ掛けもそのまま残っています。115系のような車端部が跳ねるような乗り心地でないのが救いです。

そそ、座席は良いのですがテーブルが一切ありません。窓枠に少しは物が置けそうですが、席によってはそれも望めません。湖西線や草津線では基本的に「テーブルは無いもの」という心構えで列車を待った方が良いかもしれません。
 
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