JR西日本  117系100番台
 
  この塗装が懐かしく感じるのは私だけではないと思います。2013年12月、山口県内の山陽本線で活躍していた117系100番台の模様を取り上げます。
昭和61年にフリークェンシー運転の充実を目的に登場しました。0番台の登場から7年の歳月が経っており、既にステンレス車体が初々しい211系が登場(!)する中、これまでどおりの重厚かつ丸みを帯びたスタイルで登場しました。
外観は窓配置に大きな変更が見られ、一段下降窓のスマートさはこの画像のとおり多少霧が出ていてもよく目立ったものです。
2005年、下関に300番台2編成とともに転属しましたが、10年後、100番台3編成は岡山に転属、山口県内での活躍は10年に留まりました。今も岡山地区の山陽本線を中心に元気な黄色い姿を見ることができますが…新型車置き換えの話もあり、果たして…。
(取材・撮影 JR山陽本線・厚狭 他)

 

 

 


車内全景です。2ドアでクロスシートの車内は細かいところに手が加えられている様子が伺えます。とはいえ座席配置は原型のままで、よくぞここまで…!と泣いて喜びたくなってしまいます。
100番台は車内では妻面の壁の厚みが若干薄くなったほか、木目柄を若干明るいものに変更、座席のバケットシート化、側窓の変更などが登場時点でありました。床の色や吊革、モケットの変更はJR後の変化になりますが…最初の焦げ茶色のモケットの方が周りの雰囲気が締まって格好良く、落ち着いて見えたと思うのはサンライナーと乗り比べて思っちゃったことです。

 
乗務員室との仕切りです。運転士側、つまり仕切り扉の左隣の窓が登場時点で追加されています。木目調化粧板の面積が減ってしまった格好ですが、化粧板そのものも木目が若干明るいものを用いています。網棚の上の機器箱は恐らく山口地区に転属後設置されたものかと思われます。優先座席は各車両の大阪方にあります。
吊革が伸びている様子が画像からも伺えますが、仕切りとは直結していません。広告枠の手前で切れています。広告枠に配慮したか、仕切りに穴をあけるのに躊躇したかはわかりません(^^;; ただ、ドアから仕切りまでそれなりに長さがあるので、吊革が設置されているのは賢明な判断だったと思います。見た目はさておき。

 
車端部です。妻面の壁の厚みが若干薄くなったほか、0番台から化粧板の木目柄を若干明るめにしたそうですが、唯一無二の117系の車端部に違いありません。0番台との違いは化粧板…というよりも、貫通扉周りの照明のあたり方の方がわかりやすいかもしれません。
吊革は若干伸びていますが、妻面まではカバーしていません。この部分の狭さが気になるシチュエーションがあったのでは…と思う一方で、よくぞここまでこの配置で…!と感動している私がいます(^^;;
そして、優先座席の座席転換を忘れているおバカな私もここに…(^^; 言い訳すると、取材直前まで呑んでました(^^;;

 
トイレは下関方先頭車に備わっていました。全席クロスシートなのであえて特別な配置にすることなく、クロスシートを2席分抜いて妻面を手前にずらし、トイレを設置したような格好です。近郊形電車ではトイレの隣にロングシートが配置されることが多く、画像を見ても撮り方に戸惑いを感じます(^^;;
枠をブロンズにして目立たない工夫を施している点はさすがで、便所使用知らせ灯もなんだか奥ゆかしい感じです(^^; 後年、画像のとおり何よりも非常通報機のボタンの在り処を示すピクトグラムが大きくなってしまいました。時代の変化だけでは片付かない問題と思いが私の心を二分しています。


天井です。0番台に続き平天井を維持し、蛍光灯にはカバーがつきました。実に上品な設えで、近郊形電車特有のゴチャゴチャした天井とは一線を画す仕様です。左右の壁と天井が交わる部分のカクカクした仕様こそ221系には引き継がれませんでしたが、端から端まで連続した蛍光灯にカバーをつけて美しく魅せる手法はJR西日本に引き継がれていると思いますし、LED照明が登場した後も美しい意匠の天井が実に多いと思います。


床です。アイボリーの明るい床にリニューアルされています。
色の好みは人それぞれだというのは理解できますし、登場時から年月が経ってくたびれている様も理解できますが、床のリニューアルで点検蓋がかえって目立ってしまったのは残念なところです。恐らく普段どおりの施工でリニューアルしたものと解されますが、美しさを保つには何にせよお金がかかることをここで悟ったような気がします…。

 
一方、117系のドア周り、特に鴨居部のカバーの美しさは100番台でも健在でした。とともに、117系100番台のドア周りの狭さに改めて驚いているところですが・・これは撮った場所が乗務員室のすぐ後ろのドアだからで、他のドアは右の画像のようにある程度立客が収まるようなスペースを設けています。
半自動ドアで、山口地区では冬季を中心に半自動扱いになることもありました。ドア窓にはその半自動ドアのお知らせを貼ったり、弱冷房車の案内を貼ったりとなかなか賑やかですが、2013年の時点で既に戸袋に手を挟み込まないよう注意喚起するステッカーが貼られていたんですね…。このあたりもセンスが問われるであろう白い化粧板が美しいドアが最後まで居続けてくれていることは嬉しいものです。

 
半自動ドアの取っ手です。ここは0番台から変化ありません。昭和、平成、令和と駆け抜ける中で取っ手で開け閉めする列車というのも実に少なくなっていきました。ドア自体重たいのでボタンの方が手軽なのは嬉しいものの、ちょっと寂しくなるお年頃です。


何より100番台の魅力はこの側窓にあるのでは、と思います。2段窓の狭さ、特に横方向の桟の鬱陶しさを一気に解消しています。隅のRが可愛い外観から見るのがお気に入りですが、車内側から見るのもなかなか軽やかで素敵です。縦方向の細い桟にも化粧板を貼っている上品さには唸る一方、撤去された灰皿の跡がそのまま残っているのは…。


ここからは怒涛のお昼はZETTAIザセキTIIME。まずはドア〜ドア間の転換クロスシートです。
この100番台からバケット化が図られ、座面、背もたれともに縫い付けが入った座席になりました。0番台と比べると座面のフォルムがシャープになっているのがこの画像からも伺えます。座り心地もフワッとした沈み込みが少し抑えられたものになりましたが、バケット形状はそこまで大胆なものではありません。むしろ背もたれにメリハリがついたので座りやすくなったのでは、と思います。

 
ドアに近い座席は仕切りを兼ねて固定クロスシートになっています。背面は柄がついた化粧板と手すりを設けていますが、この手すりの位置が座っている人のことを考えた、なかなか良い位置だと思います。
そして、固定クロスシートと転換クロスシートを対にしたものが右の画像ですが、ちょうど背もたれ上の段の縫い込みから上が立ち気味になっています。頭を座席に預けて寛ぐには良い形で、なるほどこの座席を狙って座る方がいるのも納得ですし、この形状自体0番台から引き継がれています。

 
右の画像、窓越しの列車の方が気になる指数高めという方も多いと思いますが、もう少しお付き合いを…。
乗務員室後ろの座席は4人1組の固定クロスシートです。右の画像は優先座席で、ヘッドレストカバーで区別しています。117系には純白のヘッドレストカバーが似合うところですが、山口地区の100番台にはありませんでした…。
バケット形状の採用は良いのですが、100番台になってからやたら座面と背もたれの間の隙間がハッキリ見えるところが気になります。意外とこういうところに物を挟んでしまったり、ポケットから物を落とす人、いたのではないでしょうか…。清掃される方、今日もお疲れ様です。


トイレの隣も4人1組の固定クロスシートです。0番台からの地味な変化として、窓側の肘掛けが座席フレームから伸びている点は見逃せません。0番台は内壁に肘掛けがくっついていましたが、なんだか見慣れた形状に落ち着いた格好です。
 
車端部は固定クロスシート、転換クロスシート、固定クロスシートの順に展開される区画です。右の画像は優先座席の指定区画で、6席中4席が優先座席でした。必要最低限の座席数だけ優先席に…との考えだったと思いますが、ドアに近い2席が通常仕様で、座ると目の前に優先座席が…という構成に居心地の悪さを感じたのは多分私だけでしょう…(^^;

 
車端部の座席を横から。足元が広くなった転換クロスシートと妻面とピッタリフレーム幅が一致している固定クロスシートのデュオです。通路側の肘掛けをご覧頂くとわかるのですが、その妻面幅に合わせて座席自体コンパクトな設えにしているのが伺えます。それでも窓側の肘掛けを省かなかったということは…この細かい設計に頭が下がる思いですが、積極的に座るかどうかは別です(^^;
メリットがあるとすれば転換クロスシートの通路側の脚を回避して足元の空間を満喫できることでしょうか。広さは変わらないので、気分の問題です…(^^;;

 
取材中、懐かしい標記も見つけました。右の画像に至っては懐かしいどころかツッコミどころ満載ですね…(^^;;

鉄路の名優は今日もキビキビ走っていることでしょう。
朝晩のラッシュに勤しむ姿も頼もしさを感じますが、できることなら、また、陽に照らされ、瀬戸の島々を眺めながらゆっくり移動できる、そんな贅沢な時間を堪能したいものです。
 
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