JR西日本  115系[クハ115−165]
 
  東の横綱が新潟であれば、西の横綱が広島であるとつくづく思います。今回はJR西日本のクハ115-165という特定の車両を紹介します。
この車両はJRになってから間もないうちに車両保全工事を行い、その際に車内が大きく変わった経緯があります。同様の工事は冷房化とともに行った115系550番台が有名ですが、取材班はなかなか撮る機会に恵まれませんでした。それから○年経ったある日、一人とぼとぼと岩国駅界隈を歩いていたらいきなり「あの車内」が4両中1両だけ組み込まれていた編成が目の前に…!!もっと国鉄時代の面影を残す車両が3両くっついていたにも関わらず、この車内を撮りたい!と短い停車時間で無我夢中に取材した次第です。
この車両は現在廃車され、この車内も見納めになりましたが、類似品は七尾線415系800番台で堪能できます。試食はお早めに。
(取材・撮影 JR山陽本線・岩国)

 

 

 


車内全景です。七尾線415系800番台とも異なる味付けですが、座席の個性が強すぎて早くもひっくり返りそうな車内です。3ドアでドア〜ドア間はクロスシート、車端部はロングシートを主に一部クロスシートも残っています。昔はモケットが緑で補助席がついていたとのことで、この画像とは印象がだいぶ違っていたことでしょう。それでもほんの一瞬流行ったバケットタイプのクロスシートの意匠が大変いい味出しています。
115系550番台の無理矢理冷房改造を行った車内とは異なり、天井周りがスッキリしているのもポイントです。


乗務員室との仕切りです。ここに妙な古さを感じる方が多いことでしょう。半室構造の運転台、そしてしっかり折り畳める仕切り壁が真ん中から右にかけて展開しています。その手前のロングシートは仕切り側にも袖仕切りがあります。これが薄緑であればご昭和モノですが、保全工事の際に117系「サンライナー」でもお馴染みだったこげ茶の化粧板に貼り替えています。この木目調の化粧板の雰囲気が私はすごく好きで、115系550番台は山口に来た時のささやかな楽しみだったのですが…体質改善工事ではあっさりした味付けになりました。
仕切り扉の上にはトイレの位置を示すステッカーが貼られていますが、これには深い理由がありまして…。


こちら、連結面の車端部です。ドア〜ドア間のクロスシートは座席が変わったのに、妻面に近いクロスシートはそのまま…というのがお約束でした。このクロスシートはさすがに置けそうにはないですね…。550番台は妻面までロングシートが展開されていました。詰め込みは効きますがトイレの設置を見送ったことが引退へのカウントダウンが早まった理由の一つと聞いています。

妻面のこげ茶木目調の化粧板がここでも大活躍。隣の車両の薄緑の化粧板とは全く違う雰囲気、どちらのやさしさに包まれたら良いのか実に悩ましいところです。


広島方先頭車にあたることから、トイレブースは囲いだけ…です。下関の115系4両では割とお馴染みでしたし、慌てて反対側の先頭車に行く人も多かったと思います。窓は無いものの床はつながっているので、立席フリースペースのような格好でした。その昔は自動販売機が置かれていた車両もありましたが、この車両が該当するかどうかまでは確認できていません。
この取材の前に長沢ガーデンで一泊していたこともあり、うどん・そばの自販機が似合う木目調の化粧板に思いを馳せていたわけですが…唸る車内で回転湯切り!しびれます!!
照明はトイレのものをそのまま利用しています。


天井です。115系の冷房車でよく見る吹き出し口を中央に展開するものです。550番台にはない魅力で、さぞホッとしたことかと思います。そして吊革はロングシート周りの設置ですが、ロングシートの袖仕切りを撤去した部分は吊革の支持棒が天井と壁から垂直に交わるように出ていて、なかなか強引にくっついている点は見逃せません。その吊革自体は223系などで使っているアイボリーのものを使っています。


ベージュ一色の床です。ドア周りの広さにもついつい注目してしまいますが、補助席があったことを考えるとこのくらいの空間は必要だったことでしょう。立席スペースの広さはラッシュ時に本領を発揮しますが、12人座れた従前の座席配置を思い出すと、なんとももどかしい気持ちになります。


ドア周りです。ステンレス無塗装のドアはHゴムを黒に変えて耐久性を上げています。昔ながらの鴨居部、ドアで、私が特に好む狭い幅の戸袋窓もそのままです。この時はまだ戸袋窓を埋める発想には至っていなかったようです。
晩年は戸袋に手を持って行かれないようなステッカーも貼られました。もう老体を隠してなんとか広島家族に入りたかった気分をひしひしと感じます。

 
半自動ドアの時に大活躍するドアの取っ手です。あの重たいドアのガラガラ…を愉しめる車両でした。力が入りにくくて開け閉めしにくかった記憶も蘇ってきます。


窓周りです。面白いのが窓の下のつぎはぎのような部分で、こちらは灰皿の跡になります。これとは別にテーブルも撤去されています。そそ、七尾線の415系もテーブルや座席番号の表示はありません。その灰皿の撤去跡が晩年まで残っていました。
窓は上段、下段共に開け閉めができるものでした。

 
ロングシートです。岡山方車端部が優先座席に割り当てあれていますが、奥行きの物足りなさ、座面下の囲いの直方体っぽい仕様が初期の115系そのものです。仕切りに隣り合う袖仕切りもシンプルなもので、どちらも415系800番台にはない115系ならではの仕様でした。その座席のすぐ脇に灰皿の設置跡がありますが、なるほどこの車両でもロングシートでタバコが吸えた時代があったわけですね…。その時はまさかこのポジションが優先座席になるとは思わなかったことでしょう。

 
車端部のドア付近のロングシートも115系らしさを残したもので、座席幅の狭さを晩年まで楽しめる仕様でした。ただ、モケットは下関ではお馴染みのベージュに貼り替えられていました。このモケットのもっさり具合があまり好きではなかったのですが…この車内では当たり障りのない空間に仕上がっています。
トイレだった部分の隣のロングシート、その上の帽子掛けが折り畳み式になっています。このあたりの窓配置が好きです。


トイレの脇のクロスシートはなかなかキレイに撮れないものですが、元トイレのこの車両であれば落ち着いて真横から撮ることができます(^^;; シートピッチ狭め、半月状の取っ手、アイボリーのフレーム…うーむ、新しいような、レトロなような… 座面の奥行き浅め、腰の部分の張り出しも少なめで切り立った背もたれ…ベストセラー故にあ、こんなもんだべって感じになります…(^^;; 妻面は狭い座席がさらに狭くなっています。
この車両に限って、ドア〜ドア間のクロスシートが窓側にも手すりが設けられている分ちょっと窓側に寂しさを覚えます。否、近郊形なのでこれで良いのですが…。


そしてドア〜ドア間のクロスシートです。見事に素敵なバケットシートで、JR北海道のキハ54形を先輩に、後輩に415系800番台という少数派です。余談ですが、415系800番台は金沢支社の方が広島のこの車両の座席&座席周りを見て導入を決めたとの逸話が伝わっているそうです。であれば、手すりの軽快さも北陸に持って帰って欲しかったものです。
ドア側のヒーターの吹き出し口、そしてバンパーのようなカバーはその昔補助席があった名残です。この形態の座席が当たり前だったので、補助席がついている画像を見た時はびっくり仰天!

で、補助席が無いと着席人数が8人…立てば地獄、座れば天国の椅子取り合戦は特に2両編成で朝ラッシュの山陽線をひた走る550番台で顕著だったことかと思います。


肉厚濃厚ボディにもかかわらずひじ掛けが軽やかなクロスシートです。このゆとりのシートピッチも魅力です。柔らかく、無理のない構成でお気に入りの座席の一つです。先ほどもチラッと触れましたが、窓側にひじ掛けがあるのも嬉しいポイントです。
北海道のキハ54形が短命だったので、最後の砦は415系800番台。しかしヘッドレストの意匠や手すりなど細かい部分が異なりますし、モケットも蘇芳色でバッチリ決めています。そう、私はこのバケットシートはもっと鮮やかな色の方が似合うと思うのですが、キハ54形も115系も結局地味な色に貼り替えられました。そして…


 
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