JR四国  キハ185形3100番台
 
  特急列車の間合い運用は「乗りドク列車」として地味に歓迎されるケースが多い一方、特急形車両を普通列車用の車両に改造するのはちょっと躊躇してしまうことが多いようで、あまり例を見ません。
とはいえ、探せば四国にいました、松山地区を中心に活躍しているキハ185形3100番台です。
元々国鉄末期に特急形として登場しました。しかし、クルマとの競争が激化した結果足の遅さがネックとなり、1999年に普通列車用として改番の上使われるようになっていったのでした。
外観上はあまり特急時代と大差はなく、ドアの幅や位置などもそのままです。ただ、いずれの編成もトイレ無しの車両だけで編成を構成しているため、顔を見てホッとするとちょっと痛い目に遭います。
2両1編成、松山から宇和島までの予讃線で活躍中です。
(取材・撮影 JR予讃線・松山〜伊予大洲)

 

 

 


客室部分全景からスタートです。
落ち着いた雰囲気の車内は中吊り広告の金具がついたり、吊革が無造作についたりすることはなく、極めて特急列車の頃に提供していた「手慣れた落ち着き」をそのまま色濃く残しています。良く言えば特急並みのサービスを乗車券だけで提供しよう!という意欲が表れているのでしょう。しかし、元特急車としては「必要最低限の改造で十分間に合う」という悲しい現実を受け入れた故の結果なのでしょう。地方で見かける「くたびれた元観光バス」を今なお頑張らせる路線バス車両のような哀愁がひしひしと伝わってきます。
2ドア固定クロスシートの車内です。

 
車端部は2種類あります。なぜか四国の地図が左右に入っている左の画像が中間側のデッキとの仕切りになります。右の画像は乗務員室側とのデッキの仕切りになります。画像は出庫直後なので4人1組のセットで座席が配置されていますが、座席を妻窓に向けると前面展望が容易に楽しめます。恐らく「車内の見通しを良くできるように」とのお達しがあったのかと思いますが、窓の有無は列車以外のところで開放感の増幅に大きく貢献しています。えぇ、自分も相当愉しみました(^^)
扉はコバルトブルーに塗られ爽やかさを押し出しており、ここも前面展望を考慮してかガラスの大きさを変えています。


客室部分の天井です。先ほどもチラッと言いましたが、特急車でさえもアンパン●ンのしわしわシールを容赦なく貼るご時世において、中吊り広告の枠も設置されなかったのはこの車両のプライドを死守したかったのでしょう。いやはや立派です。
蛍光灯もカバーつきのまま、冷房ももちろん完備しています。


床は青一色・・・に見えますが、座席部分はクリーム色。味のある組み合わせはクールな装いも見え隠れします。


デッキ部分に出てみました。デッキから客席への入口もコバルトブルーの扉。床のコルク色とともに精一杯のお化粧ですが、いかんせん周りの雰囲気がカクカクしすぎています。良くも悪くも堅実さが出ています。
なお、この編成にはトイレがありません。従ってデッキも細長さは全然ありません。

 
デッキ部分、角度を変えてドア周りです。
左の画像が上の画像でご紹介した運転台の無い側にある側ドアです。
右の画像が乗務員室脇にあるドアです。
どちらもカバーつきの蛍光灯がお出迎えし、ちょっぴり変わった形の窓が特徴的ですが、開放感は大きく異なります。左の画像は空間的な広がりがありますが、四方はすぐに壁で囲まれています。一方乗務員室の背後のデッキは立ち入り禁止のものの乗務員室脇の壁がなく、柵で仕切られただけの仕切りになっています。ワンマン化したかったのかもしれませんが、特急形でここまで開放的な運転台周り、見たことありません(^^;;

ドアも折り戸、なかなか見られないアイテムですが、通勤ラッシュにはちょっと不向きのような気がします。


側窓はもちろん固定窓。小さめで下辺が高い位置にきているのが国鉄クオリティ。
荷棚や座席番号札もそのまま活かされています。横引きカーテンはもはや普通運賃だけで乗れる車両にして破格のサービス!・・・と言い切れる時代でなくなってしまいましたが(^^; この手の車両ならではの設備です。

 
その下、座席です。固定クロスシートでリクライニング機能は使えなくなっています。座席の回転ができるようになっていますが、出庫時は4人1組の向かい合わせでセットされています。
後ろ姿も背面テーブルが除かれ、ヘッドレストは取り替え不要のビニールタイプになり、取っ手もとっても大きなものに変更されています。スタイルはキレイなバケットシートですが、ちょっと寂しげな空気が漂っています・・・。

座面の位置が若干低いのが気になるところです。ただ、元特急車と言うこともあり、進行方向に座席を向ければシートピッチはまずまず。何より窓側の足元が普通のディーゼルカーよりも薄いのは嬉しい特権です。


端っこにちょこっと見えますが、優先座席のステッカーは小さい物が控えめについています。座席モケットはおろか、ヘッドレストカバーも区別していません。区別するものでもないのでしょうか・・・(^^;;;



 
特急形ということもあり、洗面所やトイレが無くても「くずもの入れ」などの設備に特急形としての輝きを見つけることが出来ました。座席の改良も必要最低限、かつ特急との区別をしっかりつけた絶妙なポジションだったと思います。

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