JR四国  121系[ワンマン車]
 
  最近流行のリバイバルカラー…ではなく、ワンマン車としての再出発です。汎用車として使い勝手の良い121系のうち、2編成がワンマン車として改造されたのは平成23年のこと。ワンマン化で活躍範囲も広がる…かと思いきや、現場では2編成しかないためひたすら限定運用、時々ツーマン車にバトンタッチのようで、なかなか使い勝手は微妙なようです。
塗装こそリバイバルですが方向幕は新しい書体の黒いもので、青帯の車両よりもやや新しい印象です。ドアの上にはモノレールの車両によくありがちなゴツゴツと怪しい機器が設置されていますが、この編成のみの設置のようで、もう1編成にはありません。今後この編成が増えるのかどうかは全くわかりませんが、ワンマン列車だけは増えないで欲しいなぁと願う今日この頃です。
(取材・撮影 JR予讃線他・坂出〜琴平)

 

 

 


車内全景です。3ドア車はそのままに、ドア〜ドア間のセミクロスシートを片側ロングシートに切り替えてきました。時代の流れで車椅子スペースくらいはつくかなぁ…と思っていたのですが、ここまで派手に改造するとは思いませんでした。尤も改造部分も含めて121系の登場時からの雰囲気はかなり残っているので、外観ほどのインパクトはありません(^^;;
ワンマン運転の場合は2両編成の後ろ1両を問答無用に締め切ってしまうのが四国流ワンマン運転、故に詰め込みが効く車内が必要なのでしょう。私はこの配置はクロスシートに座った時のロングシートからの視線が気になって仕方が無いのですが、7000系で免疫がついている四国の皆様にとっては問題無し!なのでしょうか?
 
乗務員室との仕切りです。こちらは予想通り?座席が撤去され、立席スペース兼運賃箱広場が展開されています。ゴミ箱、ヒーター、握り棒、吊革などが展開されていますが、純粋な立客スペースでヒーターが左右1つずつ設置されているのは嬉しい配慮です。先述のワンマン運転の事情、高松駅の構内事情等を配慮した結果だと思いますが、瀬戸内海挟んだ反対側の車両によくある「運賃箱広場」の車両もこれを見習ってもう少し使えるスペースにできないものかと思ってしまいます。
また、縦方向の握り棒もなかなか珍しいもので、握り棒にくっついたパーツを見ると立客用よりもワンマン運転を考慮した棒であることが想像できます。

車椅子スペースは運賃箱からドアを挟んで反対側、2人分の座席を撤去して設けられました。2両とも同じ位置についています。ここもヒーター、握り棒、非常通報機と納得の設備が整っています。吊革の展開は座席撤去前の物をそのまま使っています。
ヒーターとドアコックの蓋が一体になった形状は初めて見ましたが、冬場蓋が熱くなることはないでしょうか?
戸袋窓の上半分には運賃表も掲出されていますが、LED表示機の設置により上半分の景色が一切見られない点もこの改造車ならではです。


整理券発行機は片側のみに設置されています。その部分の袖仕切りは大型化されています。取材時点はツーマン運用だったため、黒い布で覆われています。こことLED表示機以外は大きな変更点が無い車端部です。元々貫通扉はついていますが、ワンマン運転の仕切り扉としてより重要な位置づけになりました。側窓は片側のみLED表示機の関係で上半分景色は見られません。


車内のLED表示機はクロスシートの人には嬉しい車端部に設置されました。しかしながら車端部1ヶ所のみの設置で、ワンマン運転時は特に設置場所が少ないのではないでしょうか。それこそ車内中央のドア上に「締め切り」表示も兼ねて設置しても良いと思うのですが…?
内容は次駅・種別・行先案内が主になります。


天井です。フラットながら蛍光灯もまばらなスタイルは国鉄末期の近郊型電車ではすっかりお馴染みの光景です。ロングシートが増えて吊革も高い位置に設置されて一層賑やかな天井になりました。丸い取っ手の吊革で統一されていますが、うまく既存の吊革と統一させることができています。


床はグレーを基本とした物に貼りかえています。この手の改造時、床は張り替えないことの方が多いと思うのですが…今回ばかりは仕方が無い感じです。ドア付近の黄色いラインもその時に取り付けられました。

 
ドア周りです。こちらも黄色いテープやワンマン運転時の説明シールが増えましたが、基本的にはそのまま無塗装ステンレス地のものを用いています。鴨居部のゴツい仕様もそのままですが、やや音が気になる開閉時はドアチャイムも流れます。大丈夫です、113系のように音痴なレベルにはまだ至っていません。

 
手掛け、そしてツーマン車にも標準装備の半自動ドアのボタンです。室内側ボタンの「開・閉」はなかなかわかりやすいスタイルになっています。温暖なイメージが先行する四国ですが、高松駅を中心にドアスイッチの需要は結構あるようで、短距離運用が主の121系も年間を通してかなり活用されています。


側窓です。1段ながら珍しく上にあげるスタイルの側窓はそのままです。この構造が側面方向幕の設置を妨げる要因の一つにもなっています。ならいっそ東北のキハ40形のように窓下に方向幕をつけたら?と思うところですが…ステンレス車体への穴開け加工はなかなか難しいようです。
テーブルが無いのはいただけないところですが、ワンマン車自体あまり長距離運用には入らないので「まいっか?」などと思ってしまいます。

 
車端部の5人掛けです。基本は改造前から変わらないですが、整理券発行機がついた袖仕切りはかなり大きくなっています。ここまで厚みのある袖仕切りはあまり見たことがありませんが(^^;; 整理券発行機を置くとそれなりに窮屈そうにも感じます。厳しく言ってしまえば目ざわりです。
211系とは異なる簡素な袖仕切りに涙が止まりません。ただ、妻面に幾分余裕があるのでワンマン運転が必要な程空いている列車であればある程度くつろげそうな区画です。

肘掛けから伸びている握り棒の微妙な角度がポイントです。この角度、他の袖仕切りと合わせています。他が変わらないから同じように作る姿勢は大いに共感したいところですが、できれば他の袖仕切りも化粧板つきの物にリニューアルして欲しかったです。

 
ロングシートを増設したドア〜ドア間ロングシートです。吊革や座席構成などでクロスシートが3人掛けのロングシートに切り替わっているところは容易に想像できますが、他の部分との差が出来ないようにモケットや座面下のヒーターカバーなどの仕様を極力従来の物に合わせている点は純粋に「すごい!」と思ってしまいます。多度津工場グッジョブです。
また、簡素な袖仕切りが功を奏して車椅子スペース隣の袖仕切りも従来のパイプ構成の物をそのまま使っています。窓枠の下で横方向のパイプが収まっているのがミソです。

 
元からあるクロスシートが残された区画には2人掛けのロングシートがあり、優先座席モケットもこちらに備わっています。優先座席は各車両の前後2席ずつで、モケットで区別することが多くないJR四国では珍しい現象です(^^;; きっと国鉄時代から使い続けている色分けなのでしょう。もちろん優先座席ステッカーも貼っています。

 
ちょっと上を斜めにカットしたクロスシートです。形状・モケットともに従前からの変更はありません。211系で新たなクロスシートが誕生しようとしていたところに、昔ながらの構成を取っ手、色和えで今っぽく魅せようとした国鉄末期ならではのクロスシートは今もなお健在です。座り心地的には熟成された固定クロスシートの座り心地そのものなのでなかなか良いものがありますが、全体的に小さく見えてしまう点は今も昔も変わりません。

 
ワンマン運転車になってからやたらステッカーや表示類が増えました。中には他系列の使い回しだと明らかにわかるものもあり、そちらの方が設備的に豪華なので「はよ実物もそっちにして!」とブツブツ言いたくなってしまいます(^^;;
画像は主にワンマン運転時に効力を発揮するステッカーですが、近年アテンダントが車内を周りドア開閉は運転士が行うタイプのワンマン運転も始めたそうで、その場合の後ろの車両の扱いは?など、徐々に複雑になりつつあります。
で、この運転士さんのイラストは「トイレに駆け込みたいけどそうだ!この車両トイレが無いんだ!!大変!!!」と驚き慌てる瞬間を切り取ったものだと思われます。合掌。
 
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