JR四国  キハ47形
 
  1977年から増備が始まったキハ47形。両開きでデッキのないドアはJR東日本からJR九州まで津々浦々で見られました。JR四国のキハ47形も徳島地区を中心に活躍を続けています。
今回はキハ47-173の車内を中心に、一部キハ47-1086、つまりJR四国最後のトイレがないキハ47形の車内を織り交ぜながらお届けします。
冒頭から個人的なハナシで恐縮ですが、JR四国には長いこと「薄緑色の化粧板」でトイレが無いキハ47形がいました。その模様は提携サイトのtrainspace.netさんで公開されていますが、ついに出会うことは叶いませんでした…。
そして、気が付いたらトイレのないキハ47形は首都圏色に塗られた1両のみという有様。新型車の足音も聞こえてきそうな中、なんとか出会えて良かったものです。…以上、一方的な片思いのコーナーでした(^^;
(取材・撮影 JR高徳線 鶴羽〜徳島)

 

 

 


車内全景です。デッキ無し、両開きの2ドア、セミクロスシートの車内です。JR四国のキハ40形は早々にロングシートの区画を増やしましたが、このキハ47形は座席配置を変えることなく、ワンマン化改造を行うことなく今に至ります。天井周りの冷房化改造も民営化後すぐに行われており、すっかり馴染んでいます。さすがにモケットの紺色は変更されていますし、1500形あたりと比べると少々暗い印象を抱きがちですが、それでも窓周りや座席フレームに懐かしさを感じる方は多いのでは…と思います。

 
乗務員室との仕切りです。左の画像はキハ47-173、右の画像はキハ47-1086になりますが、両者の違いは消火器を置くスペースの有無くらいです。仕切りの手前、向かって左側には優先座席の案内表記がありますが、モケットや吊革での区別はつけていません。
乗務員室の仕切りはドアのみ窓がある仕様で、この閉鎖的な雰囲気もキハ47形ならではです。そのドアの下、直接赤いペンキで「立入禁止」と書かれた様子が少々生々しく感じます(^^;

キハ47形の車内、至る所に灰皿の跡が残っていますが、消火器スペースが残っているキハ47-1086の灰皿は消火器スペースの真上に設置されていたようです。灰皿の掃除、結構気を遣ったのではないでしょうか…。

 
車端部です。左の画像はトイレ付きの車端部で、天井が低くなっています。右の画像はトイレが無い車端部で、妻面まで同じ高さの天井が続いています。ゴミ箱はトイレ付き車端部のみの設置でしたが、固定されているものではなく、昔ホームセンターで売っていたようなものです。端から端まで座席が詰まっているキハ47形故に、なかなかゴミ箱の設置場所に悩んだのでは…という様子が伺えるポジションに陣取っています。
トイレの隣は目線に配慮してクロスシート、妻面の座席は他の座席よりも少し幅が狭め…そんな国鉄時代のお約束が伺える構成、徳島地区のディーゼルカーでは特に後者を見る機会が少なくなってしまいましたが、果たして、片運転台の新型車両には引き継がれるのでしょうか…?


トイレとの仕切りです。お知らせ灯がちゃんと光ります。その隣、ピクトグラムが予想の1.25倍ジェントルマンでした(^^;;
車内に大きな改造が加わっていないことでお察しいただけるかと思いますが、キハ47形のトイレ、和式です。ステンレスの便器に青い薬剤の跡が薄らついているところに年季を感じますが、安心して用を足せるかどうかはいよいよ和式の経験値がモノを言う今日この頃、無事を願うばかりです(殴


天井です。少し物々しい雰囲気は冷房のダクトから感じられるものですが、冷房以外に扇風機もバッチリ備わっており、実は結構涼しい車内です。ダクトの外側に蛍光灯を配置していますが、蛍光灯はある程度間隔を空けた設置で、特に最近の車両に慣れていると少し暗さを感じることでしょう。
あまり気が付かない部分ですが、吊革は配置や形状が昔から変わっていない、懐かしいアイテムの一つです。クロスシートの頭上には吊革を配置しなかった国鉄時代のお約束、しっかり伝えています。

 
扇風機とスイッチです。扇風機は概ねこの形状で、かつてJNRのマークが入っていたであろうカバーの中央は水色のパーツがはめ込まれています。スイッチでついつい見がちな部分は文字ですが…JR四国のキハ47形も少し乗っただけで2種類見つけました。右側の「機」がお気に入りです。


床です。見事なまでに灰色一色です。ここを維持し続けているのはスゴいです。


ドア周りです。鴨居部がやたら目立っていますが、懐かしさを感じたのはドア周りの灰色のゴムです。特に首都圏色のオレンジと灰色のゴムの相性の良さときたら…涙がでてきます(^^;
ステップつきのドアで、今見てもドア周りにスペースが一切ないのに驚いてしまいます。

 
半自動ドアの手掛けと「おねがい」の案内表記です。2022年の時点で貼られていた案内表記ですが、2024年に乗ったキハ47形では貼られていませんでした。
JR四国のキハ47形でも半自動ドアの手動扱いを期間を区切って実施しているようで、あの重たいドアをガラガラ開け、ピタッと閉まらないもどかしさを令和の世でも体験することができます。ただ、2024年の9月、途中駅で十数分停車した際の手動扱いはありませんでした。この形式に関しては対象駅についても限定しているのかもしれません。


側窓です。2段窓、金網の網棚、帽子掛け、座席番号のプレート…何から何まで懐かしいアイテムで占められています。ただ、ロールカーテンは戸袋窓の部分を除き、取っ手も兼ねた金具が軽い物に変わっていて、開け閉めがやりやすくなっています。good jobです。

 
ここからは座席にフォーカス。まずはドア〜ドア間のロングシートです。乗務員室側が2人掛け、車端部側が3人掛けになります。奥行深めのロングシートで、こちらも昔ながらのスプリングが効いた座面になります。
JR四国の車両では度々見かけますが、モケットの色が座席によってバラバラで、劣化したところから随時交換しているのかもしれない…というのは理解できるにしても、果たしてどの色が正解なのか…と首をひねることも度々あります。一応、蘇芳色とか、臙脂色などのモケット…と紹介しておこうと思います。

 
乗務員室後ろのロングシートです。こちらは5人掛けになります。左の画像は優先座席ですが、特にモケットでの区別は設けていません。さて、この区画、窓割と座席の区分が合っていないように感じます。戸袋部分は2人掛け、側窓部分は3人掛け相当で考えると、座席の区切りが奥から3人掛け、2人掛けでも良いのでは…と思うところですが、国鉄が新造した時の図面を見ると、画像のとおりの座席配置、すなわち奥から2人掛け、3人掛けの配置になっています。この区画の座席、他のJRではワンマン運転の関係で座席を撤去されてしまうケースをよく見かけるところで、こうして残っていること自体が奇跡だと思います。

 
車端部は6人掛けの座席がスタンバイ。座席の奥がトイレであろうと、クロスシートであろうと、特にロングシート自体に大きな変化はありません。丁寧にこの区画にも座席番号が振られていますが、確かに奥行深め、適度な沈み込みのロングシートは空いていればなかなか寛げるのでは、と思います。
そう、空いていれば…です。通勤通学輸送が主になったキハ47形にこう言ってしまうのは少々厳しいかもしれませんが、定員どおりの着席は正直窮屈ですし、隣の席の沈み込みの影響が少し気になるのはバケット形状に慣れきった証拠でしょうか。パイプ形状の袖仕切りがなんとかならないのはわかりますが、それでも冬の隙間風が気になるものです。

 
クロスシートです。キハ47形は全て4人1組の固定クロスシートで、左の画像はドア〜ドア間、右の画像は車端部の座席です。暖房の配管の関係で窓側の足元が狭いクロスシートはドア〜ドア間の部分だけで、車端部は配管がありません。代わりに、妻面のクロスシートは幅が若干短くなっています。
相変わらずパッチワークのようなモケットが気になりますが、オーソドックスな形状は侮ることなかれ、意外と腰回りにフィットする背もたれと座面の沈み込む相性が良い感じにフィットします。このフレームを弄って撃沈したケースを良く見てきましたが、「何も手を加えない」が正解だと思います。あとは、足元さえ何とかなれば……。


あまり貫通路の中を気にすることはなかったものですが、こちらも首都圏色に塗られていたので、気になるパーツをスナップ。そうか、この枠に「自由席」とか「指定席」を入れていた時代があったのか…と思うと、少し胸が熱くなってきます。


さらに胸が熱くなるスポットがこちら。乗務員室近くのドアは手すりが上下に分かれている点も見逃せませんが、背もたれの下、紺色のスペーサー…モケット変更前から引き続き使用しているものになります。

…えぇ、あの時代の紺色の座席を彷彿とさせる…懐かしい色を見つけることができました。

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