JR九州  キハ65系[TORO−Q]
 
  出力不足問題が発生したキハ58系。その解消にと登場したのがキハ65系です。大きな二段窓と幅の狭い折り戸、そして便所のないスタイルはキハ58系列の中でもかなり異なった印象を与えるようで、編成の中でもとにかく目立つ存在でした。
九州地区にもキハ65系が多数配置され、JR九州に受け継がれたわけですが、それでも足りない!ということで1989年にJR四国から譲渡が行われています。いわばJR四国の雰囲気を九州っぽくアレンジしたキハ65系が登場したわけですが、まさか「九州最後の1両」が四国から嫁いだ車両に、はたまたイベント用として残るとは、その当時誰も想像していなかった…と勝手に思います(^^;;
現在は大分県で「TORO-Q」として、専用塗装に塗られ、土休日を中心にトロッコ・キハ58と共に奮闘しています。
(取材・撮影 JR久大本線・南由布〜湯布院)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。非常にシンプルな車体で、外観のそれとは全く異なる印象を与えますし、他の2両と比べてもインパクトに欠けるかな・・・とさえ思います。でもそれがこの車両の醍醐味。2ドアクロスシートの車内です。
座席は全てバケットタイプになっていますが、この部分と床がJR四国で改造された部分になります。化粧板や天井周りには手が加えられておらず、まだまだ国鉄当時の雰囲気がそのまま楽しめます。


デッキとの仕切りです。ちょっと寂しいな・・・と思うのが座席種別板の差し込み口が撤去されている点で、最後の最後まで誇らしげに「自由席」と掲げて欲しかったです。
化粧板のアイボリー、そして整然としたありとあらゆる銀の縁に「シンプルに魅せる」ということの美しさを教えて貰っているような感じさえしますが・・・仮に外装同様の装飾を施していたら・・・それはそれで楽しい想像が膨らみます・・・え、怪しいですって?(^^;;


天井もシンプルに。必要最低限の本数でまとめられた蛍光灯、そして冷房の吹き出し口もあまりうるさく見えません。ここまでシンプルだと中吊り広告がうっとうしくなりますが・・・乗車券だけで堪能できるわけですからこの際見なかったことにしようと思います(^^;


床です。物凄く明るいコルク柄です。
JR九州ではあまり見ない柄で、これもJR四国時代に施工されたリニューアル工事になります。


ドア周り、デッキの様子です。まずは連結面側のデッキからです。
客室とはうって変わって非常にグリーングリーンした環境です。雰囲気がまるで違います。
折り戸の左側、ちょっと上に紺色の枠が見えますが、その部分がゴミ箱の投入口になります。トイレも設けられなかったデッキ、ゴミ箱や扉の様子から見ても相当コンパクトにまとめるよう要求されたのでしょうか。そのデッキがラッシュに対応しきれなくなってしまったのもこの車両の衰退における一つの理由かもしれません。


乗務員室側のデッキもグリーングリーンした環境です。一応乗務員室との窓はついていますが、前面展望を行うような環境では無さそうです。今となっては蛍光灯の明かりが一つだけというちょっと寂しい環境ですが、夜乗ればそれはそれで「ちょっぴり良さげな」空間に映るのかなぁ・・・なんて思ってしまいます。


再び客席に戻って窓です。二段窓は身軽な印象を与えますが、近所のローカル列車と見栄えが変わらないというオチもついて回ります。そのあたりはテーブルと窓際の肘掛けでなんとか面目を保っていたのでしょう。
この車両が運賃だけで乗れるご時世になってからは何ら気にすることなくなりましたが(^^; かえって二段窓の方が珍しいと思うのは関東のJR線ばかりお世話になっている管理人からこぼれたコトバです。


全席クロスシートのままだったキハ65、大半の座席がこちらになります。先述の通り窓側にも肘掛けというクロスシートで、シートピッチ広め、座席も気持ち大きめに出来ているように見えるのですが、これはバケット化の影響が大きいのでしょうか。
JR四国時代はバケットを強調したモケットでしたが、JR九州に来てからは全くバケットを考慮していない単一の柄になりました。えぇ、数多くの車両で見かける紫と黒の市松模様、これでヘッドレストまでカバーです。

 
この座席のオモテとウラ・・・なんて書くと日刊ゲンダイっぽいですが(^^;; 車内左右1箇所ずつ2人掛けでまとめられた区画があります。いずれも乗務員室近くの座席で、幅の狭い側窓が目印です。
背面は足こそ前に出せないものの下まで仕切り板が下がりきっています。ということで、この仕切りの背後にある座席は足元がやや窮屈気味になります。
バケットはあまりきちんと着座位置に収まれば気にならないですが、窓側の席が足元狭めなので、空いている時にちょっと通路側にずれたい・・・なんて思うと、思わぬバケットの壁にぶちあたります。


車端部の座席も漏れなくバケット形状。しかしながら通路幅の関係で窓側の肘掛けは省かれ、手すりも省かれ、辛うじて体裁を他と整えているように感じます。何分幅が狭く見えるのはちょっとマイナスかな、なんて思うのですが、デッキに一番近いことで結構利用しやすいポジションなので、暑さ寒さや幅が気にならなければ短距離利用の「TORO-Q」では重宝しそうです。
重たく見えるのは座席下が覆われているからです。黒いフレームならではの見え方です。


ゆとりの車内だけにガランとしていれば居心地良好。
重たいアイドリングをBGMに、もうちょっと乗っていたくなります。
TORO-Qとしての活躍、いつまでも続きますように。
 
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