JR九州  717系900番台
 
  1995年に突如現れた717系900番台。宮崎方がクモハ717-901、鹿児島中央方がクモハ716-901のデュオです。457系を種車に3ドア化した近郊形電車です。デビュー後はワンマン化改造やヘッドライトの口径が小さいものに交換されました。デビュー以来717系200番台との共通運用になることが多かったようです。
最初で最後の出会いが2007年9月。鹿児島からの宮崎行き終電に乗り、今は亡きドリームにちりんに接続する列車がこの車両でした。急行型が撤退した後の九州の地で見たこの顔に「?」を浮かべながら取材したのですが、帰って調べたらビックリ(^^; その後再び出会うことはなく、2009年に廃車になりました。3ドアだから817系に混ざって…ということはなく、あっさり引退した記憶があります。
(取材・撮影 JR日豊本線・宮崎 他)

 

 

 

 
車内全景です。左の画像はクモハ716、右の画像はクモハ717になります。どちらも3ドアセミクロスシートで、クモハ716は便所が無い分客席が側窓1つ分大きめにとられています。改造当初は紺色のモケットだったのですが、後年紫と黒の市松模様のモケットに貼り替えられています。
 
乗務員室側から全景を撮影しました。左の画像がクモハ716、右の画像がクモハ717です。ここから先、天井までは左右このような並べ方で説明します。
2ドア車時代を想像しても、或いは並み居る近郊形電車をイメージしても、クロスシートの数がやけに少ないことが気になるのではないでしょうか。なんということでしょう、改造当初からクモハ716は6組、クモハ717は4組しかクロスシートが設置されていません。
その分ロングシートが長めに取られていたり、種車のドア位置を活かした関係でドア〜車端部に座席がなかったりする点が違和感の塊で、717系200番台に乗り慣れている方もたまに来る「ちょっとドアの位置がずれた車両」には違和感があったのではないでしょうか。

 
乗務員室との仕切りです。元々デッキ周りの仕切り壁が撤去されていたクモハ716と、改造で運転台が設置されたクモハ717…戸袋窓の大きさや仕切り壁に大きな違いが見られます。特に後者は改造当初は広告枠があったくらい壁が設置されていたようで、改造したのかしていないのかよくわからない状況だったようです(^^;;;
そして、ワンマン化と前後してでしょうか、この区画は座席が撤去され、広場になっています。JR九州で座席撤去はキハ47形でも見られますが、私のようにたまに列車を利用すると不意打ちのように登場することもしばしば…。仕切りのノスタルジーな化粧板の色、ワンマン設備、ワンマン使用時の薄緑の仕切り壁、広場…時代を越えた寄せ集めが楽しすぎて焼酎飲んだ時のようにフラフラです(^^;;

 
中途半端な画像ですみません。編成中央部、車端部の様子です。右の画像はトイレ付きのクモハ717です。
こちらも種車の化粧板を用いている関係で客席とちょっと雰囲気が違います。また、そこそこ仕切り壁が残っていることからデッキとしての雰囲気を感じることができます。左右とも整理券発行機がスタンドアップしている様子が伺えますが、この距離で2台置くあたりが親切です。この仕切り壁とクロスシートの間にはロングシートが備わっていますが、窓配置の関係で長さが異なります。

 
2枚ともクモハ717の車端部です。左の画像は洗面所を閉鎖したところに登場した「業務用」の間です。くずもの入れが妙なところについていますが、この近郊形改造で設置されたものかと思われます。こういう大事なところをアップで撮らない私がくずです…(^^;
便所の仕切りは改造前と大差はありません。便所使用お知らせ灯は先ほどの仕切り壁のところについています。蛍光灯がレールと垂直方向についている点をはじめ、デッキがあった頃の面影は十分感じられました。

 
天井です。どちらも平天井を展開していますが、右の画像のクモハ717は配管が真ん中にずどーんと通っているのが伺えます。これも改造当初には無かったようなので、ワンマン化の時にでも追加されたのでしょうか。なかなか気になります。
冷房は吹き出し口から、そして蛍光灯、ロングシート部分の吊革へと続きますが、荷棚が車端部に近いロングシートや広場の部分だけ金網になっている点が特徴…だったのに分かりやすい画像を撮っていない始末…(^^;;
中央両開き扉の荷棚は吊革と一体になったものになっていますが、クロスシート部分同様パイプ状のものになっています。つまり荷棚の構成だけで1両当たり3パターン…これだから改造車は見る楽しみいっぱいなのです。


床です。画像ではちょっとわかりにくいですが、灰色一色です。

 
クモハ716の車端部の片開きドアです。種車をそのまま活用した様子がうかがえますが、乗務員室後ろの戸袋窓は717系の改造で狭い幅のものに交換したとのこと…一体なぜでしょう?!
この画像2枚がドア周りの空間の大きな違いを示しているかのような状況ですが、やはり少しとはいえ壁一枚あると空間の幅の狭さを感じることができます。とはいえ、仕切り壁を撤去したドアに関しても握り棒はあまり多いとは言えず、結局のところドア周りはあけて!という暗黙のメッセージを読み取ることができそうです。


中央の両開きドアもステップが下に備わっています。ロングシートがギリギリのところまで来ているとはいえ、左右どちらも握り棒を完備している点は幅の広さも含めて乗り降りしやすそうです。ただ、一部の無人駅では確かこのドアは開いていなかったような記憶もあります。
ドアそのものは717系200番台で見られるものと大差ありませんが、戸袋窓が無いのがかえって珍しさを助長させている格好で、それこそここに広告枠でも設けたいくらいですが、改造当初からありませんでした。

 
広場をつくるために座席を撤去した跡の様子です。717系200番台との違いはありません。
見ていて切なくなるのが左の画像の右側、袖仕切りを止めていたであろうネジの跡がくっきりと残っています。

 
クロスシートです。大体左の画像のようにドア〜ドア間1組ですが、クモハ716は中央ドア〜編成中央部にかけてドア〜ドア間2組の区画があります。改造当初は灰皿が設置されていたこともあり、灰皿の跡が残っている背面もありました。
種車を活用したクロスシートですが、背面としてそのまま活用できる座席は1両あたりに限りがあることから、他の車両から持ってきたり、或いは何らかの加工を施して背面を作ったりした可能性はあります。そんな手間がかかる状況ながらロングシート化しなかったところは嬉しい配慮です。

 
斜め撮りです。窓側にもひじ掛けがあるタイプのクロスシートで、急行形の面影がここにもあります。面白いのがひじ掛けの下に座面と側壁の間にスペーサーが挟まっているのですが、このモケットが紺色のまま…懐かしさをどこに求める、私(^^;;
テーブルやセンヌキも備わっていて、鹿児島から宮崎まで快適な普通列車の旅を過ごすことができました。特段くたびれた様子もありませんでした。


中央ドア〜クロスシート間のロングシートです。ざっと5人掛けといったところでしょうか。やや座面が高そうな、でもスプリングが効いたロングシートは袖仕切りの奥、ロングシートの断面がわかりそうな部分にあるモケットの仕切り(?)が独特です。改造当初はなかったので、モケット変更時にセッティングされたのでしょうか。確かにゴミを挟まれたら嫌だ!というのはわかりますが…やはり独特です。

 
車端部のロングシートです。整理券発行機が邪魔です(^^;;; 左の画像はクモハ716、右の画像はクモハ717です。どちらも2人掛け〜3人掛けのロングシートを組み合わせている様子が伺えますが、中央ドア部分で展開していたロングシートとは蹴込板の処理も異なっており、さらにこの2枚で比べても微妙に蹴込板と座面の関係が…降りて気が付く沼の存在、もっと乗車中からくまなく観察しておくべきでした。恐らくこちらのロングシートは717系になる前からロングシートだった可能性があります。

左の画像のロングシートは仕切りと座席の間に微妙な空間がありますが、この不思議な空間の中ではもはや小さいツッコミとしか思えなくなってきました(^^;;;
また、夜の鹿児島本線で出会いたかったなぁ…。
 
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