JR九州  415系100番台[Fo117編成]
 
  1979年から増備が始まった415系100番台。その中の4両として、登場時から大分、南福岡、門司港を拠点に時に「マイタウン電車」、時に「タウンシャトル」を掲げながら活躍してきました。
さて、コロナ禍でイベントの在り方にも変化があり、有料イベントが幅を利かせるようになりました。有料イベントについての賛否はさておき、大分地区での臨時団体列車や車両基地の撮影イベントでこの編成が担うことが多くなりました。見た目は他の編成とあまり変わらないはずですが…(^^;; 日豊本線縦断、長崎本線縦断、夜行急行日南…最早、長い経歴の最後にタイトルを次々と獲得していく様子には島津亜矢さんの大器晩成がそのまま脳内に流れてきそうです(^^;;
ただ、2022年9月に行われたツアーには「最後の…」の文字。数々のイベントで活躍したからこそ、寂しさもひとしおではないでしょうか…。
(取材・撮影 JR日豊本線・大分〜佐伯)

 

 

 


車内全景です。JR九州の415系セミクロスシート車といえば灰色がかった化粧板にやたら本数の多い吊革…とクセのある印象が強いですが(^^;; 薄緑の化粧板、必要最低限の吊革、灰色の床…特に、色から伝わる懐かしさに共感してくれる方は多いと思いますし、その思いはJR九州も同じだったことでしょう。しかしながら…なぜこの編成だけこの仕様の内装が残ったのでしょうか… JR東日本からの譲渡車両でも無いですし、特段リニューアルを阻むような経歴は無いように思うのですが…。
画像はモハ414で、パンタグラフが載った天井の低い部分を手前に入れて撮影しています。天井が低いものの中央のダクトが出っ張っているので、この位置から見る分にはそこまで違和感はありません。

 
乗務員室との仕切りです。左の画像は大分方の仕切り、右の画像は佐伯方の仕切りです。どちらも片側は2人掛け、もう片側は3人掛け、いずれもロングシートです。佐伯方には仕切り扉の上に機器がくっついている他、細かい所では温度計の色が異なります(^^;
個人的に残念だなぁと思うのが細長い小窓がどちらも塞がれているところ。色が違うので別々に塞がれたのでは…と推察しますが、懐かしさを押し出す車内だからこそ、この前面展望が絶望的な高さの窓から車窓を見ることができなかった幼少期の追体験をしたかったものです…。

 
佐伯方先頭車の車端部にはトイレが備わっています。415系ではこの100番台からトイレの設置を「4両で1か所」としたことから、大分方先頭車の車端部は両側とも2人掛けロングシートとクロスシートが備わっています。
トイレとの仕切りには便所使用知らせ灯が設置されていますが、それを案内するプレートは撤去されています。その下、灰皿の跡が残っているのもちょっとニヤり。
 
車端部です。右の画像はモハ414の大分方車端部で、天井の低さを2枚の画像で見比べていただきたいと思います。実際乗った時にそこまで気が付いていた方がどのくらいいたかは関心があるものの、正直、大きな違和感は無いと思います。
片側には広告枠、もう片側には機器類が収納されているようですが、その扉の邪魔にならないように、帽子掛けが折り畳みになっています。こういう細かい設備がいつまでも残っているのは嬉しいものです。
吊革周りの支持棒は無塗装の銀色になっています。この100番台では無塗装が標準だったようです。あれ、厚ぼったいアイボリーの塗装は…(年がバレるぞ>私)。

 
天井です。右の画像は車端部に続いてパンタグラフ下の天井で、丸みが見られない点や荷棚が一旦途切れている点がポイントです。この100番台では扇風機がなく、中央に冷房の吹出し口、その周りに蛍光灯が配置されています。広告枠はJR九州オリジナルでしょうか、JR東日本の415系で見た仕様とは異なります。
この画像でチラッと写っていますが、一番違和感があったのは実はスピーカーで、灰色の軽そうなものに交換されています。


灰色一色の床です。JR九州の415系は床の色を変えるケースが多かっただけに、こうして最後まで補修されながら灰色の床が使われていた事にちょっと驚いています。


ドア周りです。ドアそのものは無塗装に黒いゴム、色々と手入れしている様子が伺えます。そうそう、このドア周りに後年ギッチギチに増設された吊革が全く写っていないのが懐かしさを増幅させていいですね。ラッシュ時のことを全て無視した発言ですが(^^;; 思いの外静かにドアが閉まります。
この画像では写っていませんが、JR九州の415系では戸袋窓の内側、上の方に留め具が設置されています。


側窓です。2段窓は上段、下段とも開きます。取材した7月、車両基地から出た車両はロールカーテンがすべて下りた状態で大分駅に入線してきたのはまさに粋な計らいです。
窓の下、テーブルは製造当初からありませんでした。その昔は灰皿があったようで、窓の下の跡が物語っています。

 
ここからは怒涛のおはよう!座席キャッチ。まずはドア〜ドア間と車端部のセミクロスシートです。
100番台からはシートピッチが見直され、車端部のロングシートも大部分が2人掛けになりました。若干奥行きが深くなったロングシートが早くも気になりますが、化粧板付きの袖仕切りが登場するのはロングシート車の500番台になってから。201系よりもロングシートの構成が大きい…と線を引き直した話もセットで思い出すところですが、この番台はパイプ構成の袖仕切りです。
そして背面。ここにも灰皿の跡がしっかりと。蓋が開かなくても良いので、ここを復活させる「リバイバル・トレイン」の登場に期待していたものですが…。

 
クロスシートです。ドア〜ドア間と車端部の様子です。床の補修跡のおかげで?!車端部、妻面に面した若干幅が狭い座席が一目でわかる仕様になっています(^^;;
ちょっと気になるのはフレーム座面の下に巻かれた結束バンドと思しき白いバーツで、今までこの手のフレームの座席はそれなりに見てきましたが、ここにバンドが巻かれているものは初めて見ました。座面のズレを抑えるものでしょうか…?
シートピッチが広がり、ディーゼルカーのような足元の狭さもありません。腰回りのサポートもよく、座面の角度、程良い柔らかさもくたびれた感じがありません。3ドアセミクロスシートの座席としては完成系の一つではないでしょうか。

 
ロングシートは2人掛けと3人掛けの2種類で、全て紫と黒の市松模様です。
まずは2人掛けのロングシートで、乗務員室の背後とクロスシートとドアの間で展開しています。背もたれと座面の角度的なバランスが良好な逸品です。空いた車内で1人で座る分には快適です(^^;;
…座席とドアの間の空間の余裕がなかったり、立客との分離がなかなか難しかったりする点は導入当初ではなかなか思い浮かばなかった欠点かもしれません。このギリギリの構成に痺れつつ、後継車でこのあたりの部分がうまくカバーできてると良いのですが…良いのですが…

 
先頭車には3人掛けの座席もスタンバイ。外から見ると幅の細い戸袋窓と縦長の開閉窓が並んでいるところがポイントで、このきめ細やかな窓配置が3ドアセミクロスシートの取材班的お気に入りポイントでした。
座席自体は2人掛けロングシートを伸ばした格好です。2人掛け、3人掛け共に優先席専用モケットの設定はありません。

薄緑色の化粧板、そして車内に響くリズミカルかつ重厚な調べ。また一つ、好きな空間が思い出になろうとしています。
そうそう、何かとくたびれているところばかり気になってしまうJR九州の車両の中では、車内はキレイに手入れされているなぁ…という印象を受けました。JR九州後に登場した車両の手入れが大変なのかどうかはわかりませんが、もし、これも現場からも愛されている証拠の一つであるとするならば…こちらまで笑顔になりそうです。

…有終の美が飾れますように。


ちょっと違うようですが、大部分はあっています(^^;;
 
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