JR九州  キハ140−2125「いさぶろう・しんぺい」
 
  いさぶろう・しんぺいというと今は亡きキハ31形の座席に畳を敷いてスタートしたイメージが強く、八代から送り込みの普通列車に乗った時の妙に綺麗なキハ140形は明らかにお手軽改造の域を越えた印象でした。今回は2015年、その時に取材した様子をまとめたもので、画像の3両のうち先頭の1両をピックアップします。
キハ140-2125はその後「かわせみやませみ」の予備車にもなったようで軽くリニューアルをしたようですが、さらに2022年9月から活躍の舞台を長崎に移し、再度リニューアルを図るようです。
今は見られない車内の紹介になるわけですが、「いさぶろう・しんぺい」はいつの間にか特急に昇格し、肥薩線は災害で運休し、他路線で運行しているとか…普通列車のうちに、それも送り込み列車があったうちに乗れて本当に良かったと思います。
だって…ねぇ…
(取材・撮影 JR肥薩線・人吉 他)

 

 

 


車内全景です。人吉方から八代方を見た画像で、若干コントラストや明るさの修正を行っています。
2ドアで全席固定クロスシートになりました。キハ31形のお手軽お座敷車の頃とは異なる、しっかりした改造を施していますとはいえ、改造されたのは2004年の九州新幹線部分開業の年、鉄道趣味誌で「はやとの風」「なのはなDX」と並んで乗るとその固定クロスシートに料金的な区別を(良くも悪くも)しっかりつけていたんだなぁ…と今でも感心してしまいます。
和洋折衷とでも言いたくなるような車内で、ちょっと洒落た蕎麦屋みたいな雰囲気を感じます。ただ、早くも座席周りに手すりはないのか…とチクリ。

 
乗務員室との仕切り、そしてトイレ周りです。左の画像は人吉方車端部で、なぜか運賃表示機が隠れています(^^; 液晶ディスプレイにはスイッチバック区間も愉しめる前面展望の中継、その下には運賃箱と整理券発行機が2台並んでいます。そこのポジションだったら整理券発行機は1台でも済みそうですが、それぞれの動線を丁寧に考えた結果でしょうか。運転席の仕切り窓は製造当初には無かったものですが、こちらは前面展望には向いていません…。

 
トイレとの仕切りもひととおりキレイにリニューアル。隅が丸くなり、こちらは手すりが展開し、だいぶ見た目が優しいトイレの仕切りになりました。側面には沿線の案内図がレトロなタッチで描かれています。大正10年発行の地図をリ・デザインしたとのことで、書体のチョイスが安っぽさを醸し出していますが(^^; 観光列車としてのテンションを上げる素敵なアイテムです。

個人的には人吉〜吉松のみならず八代〜人吉の沿線案内も欲しかったものですが、熊本〜人吉間の特急化の際にそのあたりは整えられたのでしょうか…?
何せ、八代〜人吉の景色はワンサイドゲームそのもので…(あ、ほろ苦い思い出…)

 
トイレの向かいはカウンターが備わっています。消火器もチラッと見えますが、露出している割には意外と目立たないのはさながら「かくれんぼ」… そして、ゴミ箱が近い位置に2か所設けられている謎…。
ゆくゆくは指定席として座席番号を振られたような座席を設けなかった点は良い判断だったとしても、特に3両編成になってからはイマイチ活かしきれていないスペースと化していました…。
あ、妙に画像が傾いている謎… これは理由がはっきりわかっているので大丈夫です(^^;;


天井周りです。車内中央のフリースペース付近から人吉方を向いた画像になります。
同時期に同じような改造を行った車両が他にもいたからかどうかはわかりませんが、しっかり手を入れている様子が伺えます。フラットな天井に電球色の灯りが非日常の空間に彩を沿える様はなるほどJR九州のD&S列車勢に通じるところがあるなぁと。予算云々が理由で凸凹の天井のままの観光列車もそこそこ存在する中で、ここをセミクロスシート時代のままにしなかった点は好判断だったと思います。
気になるのは「かわせみやませみ」予備車になった頃天井もリニューアルしたとのことで…なーんか余計なことをやっていそうで、引っかかるんだよなぁ…と。


床も天井と同じように車内中央のフリースペースから見ていきます。
フローリングが愉しめる床です。拙者、メンテナンスで褒めることはあまりありませんが…ここにかつてあった展望用の腰掛の撤去跡、パッと見て見当たらないのは丁寧に張り替えを行ったからでしょう。グッジョブです。


ドア周りです。ステップは引き続き残っている状態で、トイレ前の独特なステップの形状もそのままです。ただ、デッキ部分にマットを置いているのは観光列車らしい配慮だなぁ…と思います。
真っ赤なドアは種車からそのまま引き継いでいる格好で、天井から床までかなり頑張ってキレイにしたのに「え、そこは…?」的な残念ポイントでもあります。逆にこの部分は2022年9月にどのようなリニューアルを受けることになったか…結果を愉しみにしたいところです。

 
座席は4人1組の固定クロスシートが中心で、中央のフリースペースを境に八代方に左右2組ずつ、人吉方に左右3組ずつ設置されています。種車と窓割をあまり変えていないところをみると、2人1組のクロスシート部分がどのように化けたかは気になりますが…それはまた、後ほど。ただ、元々2人1組のクロスシートがいた八代方のクロスシートはどことなく独立しているようにも見えて、4人1組という枠に収まる範囲であれば周りの雰囲気から一線を画して過ごせそうなムードをひしひしと感じます。

 
座席です。喫茶店の座席ではありません、蕎麦屋の座席でもありません(^^;;;
2枚載せてみましたが深い意味はありません(^^;;
種車の座席から一新、新たにクロスシートを設けました。木のフレームがなかなか素敵で、そこそこ背丈もあるので周りの雰囲気が幾分か遮断されるのは良いですし、窓側に肘掛けを設けた点は種車とは異なる寛ぎを提供できる点になると思います。

ただ、座面、背もたれとも薄めの仕上げで底つき感があり、乗り物としての着座時の姿勢をあまり意識しないまま作ってしまったのかなぁ…と思ってしまいそうな角度で両者が交わる姿にガッカリ。加えて窓側の足元は配管やテーブルの脚が鬱陶しく、通路側の足元はどの席も空いており、冬場の足元がちゃんと暖まっていたかどうかは最後の最後まで気になっていました。

ホント、乗ったのが普通列車で良かったと思います。


テーブルです。縁の緩やかな丸み、触り心地はなかなかです。
国鉄形ディーゼルカーにして滑り止めや窪みの類が無いのは運転士泣かせだったのではないでしょうか…(^^;;

 
人吉方の一番端の席はなぜかこのような板張りの席が備わっています。また、元々2人1組のクロスシートが備わっていた区画はテーブルを置いてちょっとしたフリースペースに早変わり。どちらも座席番号は振られていません(^^;; デッドスペースの有効活用は既存車両の改造では結構悩めるお題かもしれません。が、後者はさておき前者の意図が正直伝わってきません(^^;; かつてはテプラで何か書いてあったようですが、取材した時はそれもありませんでした…。
少し面積的には厳しいものがありますが、衝立を撤去して車椅子スペースやベビーカーのスペースに充てれば良かったのに…と今更言っても仕方が無いですね。思っちゃったんだから仕方が無いのです…。

 
車内中央のフリースペースです。
ここの景色は圧巻で、天井まで続く縦長の窓から眺める肥薩線の夏の緑はいつまでも忘れられない思い出になりました。
カウンターテーブルにはところどころ取っ手があり、安心して眺望を愉しむことができます。なぜ他のテーブルには取っ手が無いかが引っかかります(^^;;
逆に改造して早々に取られてしまったのが窓向きに座る木の腰掛。キハ47形の増備車に仕様を合わせたのでは…と勝手に思っているところですが、あの腰掛は一体どちらへ…。
 
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