JR北海道  スハシ44形
 
  昭和63年に運行を開始した「SLニセコ号」の看板車両がこのスハシ44形です。運行に合わせて改造したこの車両、たった1両だけの存在です。
その後「SLニセコ号」の運行終了とともに旧型客車は廃車となり、この車両も除籍されましたが…「SLすずらん号」の運行とともにこのスハシだけ復活、現在は14系客車の間に挟まって活躍しています。
取材は平成26年夏の臨時列車としてホットだった「SL函館大沼号」です。函館大沼号の他にも冬の釧路湿原号などもありますが、まさかこのタイミングで今後の動静が話題になることになるとは思いもしませんでした…。画像は森駅到着後に撮影しましたが、見た目はスハシと言うよりもスハといった感じで、茶色に赤帯が映えています。
(取材・撮影 JR函館本線・函館〜森)

 

 

 


車内全景からご覧いただきます。手前からスタンプやパンフレットが置かれたフリースペース、その次に木目調の化粧板が美しい指定席、さらにカフェコーナーへと続きます。車内はほどよく、ちょっとオシャレにリニューアルした雰囲気で、函館の路面電車で良く見る「全く手を加えていないレトロな雰囲気」とは一線を画します。外観からはなかなかこの様子はわからない、上手いリニューアルの仕方だと思います。


先にフリースペースです。レンガ調の化粧板を貼って客席部分とは違う雰囲気を出しています。その奥にはデッキが残っていますが、それを仕切る扉は原型のままです。
画像向かって左側はパンフレットなどを置く棚が設けられ、反対側はスタンプコーナーと座席が設置されています。ちょっと車内にレンガ調というシチュエーションに若干無理がありますが(^^;; レンガの色合いに変化を持たせたり影を入れたりすると見栄えがもっと良くなると思います。


レンガ調はこの喫茶コーナーも一緒ですが、こちらはカーテンで覆われた物販ブースに小物をきれいに飾ったり、脇に照明を設置するなど格好良く魅せる工夫がいっぱいです。それだけに画像左の壁に貼ったフリップには閉口しますが、一時的なものだと思いたいです。種車はこの喫茶コーナーの奥にデッキ、そして洗面台とトイレがあったスペースへと続きますが、外観はそのままに通路や記念撮影スペース、物販ブースなどに活用しています。
ということで、この車両、外観はドアがついていますが手動と言うこともあって全く使っていません。SL函館大沼号では3号車になりますが、3号車にいの一番に行きたい人は前後の車両のドアから進むことになります。

 
残念ながら喫茶コーナーは終始買い物する人でごった返していましたので、右の画像を撮るのが精一杯でした。それでも小物でキレイに飾っている様子、コーヒーメーカーなどの様子が伺えると思います。テーブルもあるにはありますが、各座席の大型テーブルの使い勝手が良いこと、終始混雑しているためここで飲み食いする姿は見られませんでした。せっかくのサハシですが、主軸は販売のようです。左の画像、奥の方に見える窪みがドア…として見た目上残っているスペースになります。


隣の車両の貫通路から見るとこのようにドアを見ながら片側に寄った通路を通って販売カウンターに到達するような感じで、洗面所があった白い壁がチラッと見える手前のスペースでカクッと中央から左端に通路が曲がる格好です。このスペースは既存の設備からだいぶ変更があったため、白い床に貼りかえられています。また、中央から右側は物販スペースに充てられ、中には入れません。その中にも開かずの扉があるはずですが…。
余談ですが、このスペースで制服を着て記念撮影をするご家族連れが多数いらっしゃり、着せたり撮ったりで滞留時間が長くなってしまうため、販売カウンター混雑の原因にもなっていました。記念撮影コーナーはフリースペースを活用した方が混まないかもしれません。


天井周りです。客室部分は白熱灯にオシャレなカバーをつけて良い雰囲気出してます。配列は昔も今も変わりません。中央には通風孔やストーブの排気管、そして扇風機もスタンバイ。夏は特に暑い車両になってしまいます。乗客は他の車両に逃げれば14系客車の冷房の恩恵に授かれますが、販売カウンターの乗務員の方は大変です。あ、でも昔はこれが当たり前だったんですよね…?
 
扇風機とスイッチです。こちらはキハ40系でも大絶賛活躍中の「JNR」ロゴ入り扇風機で、スイッチも手動です。キハ40系初期車の出っ張りスイッチボックスではありません。えぇ、普段使っている物と同じなので安心して操作できます。


床です。フリースペースと座席部分は木の床です。そして、傍らにはダルマストーブもスタンバイです。ダルマストーブを本当に使って暖房するわけですが、機関車からの熱を利用した暖房の配管もそのまま窓際に用意してあります。それにしても、これだけ広いスペースを1台でまかない切れるのでしょうか…津軽鉄道のダルマストーブは1両2台体制だったような…


フリースペース脇のデッキは昔ながらの手動ドアがそのままスタンバイ。残念ながら鍵がかかっており開くことができません。
この車両では手が加えられていない稀有な部分ですが、さすがにここは狭い通路の退避場状態で、ここで記念撮影をするお子様はいませんでした(^^;; 非常口としての活用策があるかもしれませんが、このスペースにちょこっと棚を設けてパンフレットを置いても良さそうです。


窓です。北海道特有の二重窓、こういう昔からの厳寒対策が今に伝わるのが嬉しい限りです。え、キハ40系でも十分伝わっているって?それでもこの木目調のスタイルにスハ44系でよく見られたアルミサッシの外窓が良い味出しています。カーテンを横引きにした関係で窓の上に手を加えています。そして網棚もリニューアルして高級感を演出しています。この横引きカーテン意外とレールとの相性が悪く、正直力づくで「エイッ!」と引きたくなってしまうほど引きにくいです。壊さないように注意が必要です(^^;;


座席です。指定席部分はクロスシートが展開しています。背面もきれいに整備され、中には物入れとセットになったものもあります。で、その手前にある白い子、よーく見ると… 見てビックリ、床に配管が直結しています。明らかに市販品で、明らかに根付いてしまっています(^^;;; かもしかの家庭用エアコンほどのインパクトは無いですが、二度見してしまうほど空気読まない子に違いありません(^^;;;


クロスシートです。窓下に配管があり、大型テーブルがある関係で正直窓側の席は狭いです。ただ、お子様連れには床代わりの配管に足を載せることで足をブラブラさせることなく安定して座ることができます。
テーブルの関係で肘掛は全て撤去し、モケットも張り替えていますが、取っ手やフレームは旧型客車のものと同じで、その取っ手に金色の握り棒を設置したのはGOODアイデア賞です。えぇ、揺れる車内でしっかり威力発揮していました。

詰め物を交換しているせいかもしれませんが、他社の旧型客車よりもスプリングの力をあまり感じませんでした。


テーブルです。私的にはもう少し暗めの色で、落下防止用の縁取りをもう少ししっかりつけて欲しかったです。この色ではまな板になってしまいます(殴 後年改造を受けた14系客車では縁取りがしっかりできているので、何かこぼしそうなご家族にはそちらの方が安心できそうです(^^;;


端の席は金の握り棒が省略されています。大事なところでもう…(^^;;;
背面はクロスシートの後ろに板をもう一枚設置した格好で、さりげなく指定席と喫茶コーナーを分ける仕切り壁としての役割も担っているかのようです。さりげないポイントでもう一つ、金の縁取りがキレイです。


スタンプコーナー前のロングシートです。ここは長居するお客さんがあまりいない部分で、目の前がスタンプコーナーとパンフレットコーナーでは長居する気も起こりません。座席下のカバーも含めて既存の車両からの流用になるかと思います。ただ、背もたれのモケットが余計なところで切れ目が入ってしまっているのが残念で、この幅だったら座面のように切り張りなしで作って欲しかったものです。周りの雰囲気にのみこまれず、座席下のカバーは無塗装のステンレスで存在感をアピールしています。

 
おまけその1。改造前から使っていると思われる白熱灯、そして蛍光灯を発見しました。どこにあるかは乗ってみてのお楽しみです。尤も右側の蛍光灯はつくかどうかさえ怪しいですが(^^;; 今見ると結構武骨な照明ですね…。


おまけその2。あら、そんなところに地味にハイテクな設備が… 
 
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