キハ183系5000番台  「ニセコエクスプレス」
 
  この車両も昭和の車両だとは思いもしませんでしたが、昭和63年に登場し、平成29年まで活躍したリゾート列車の一つです。ニセコエクスプレスと命名されていたものの、気が付けば道内色々な観光地に出没していたような記憶があります。登場時からモノクラスの3連で、正直華がないように思えて仕方がないのですが、臨時列車への充当状況を思い出すと、なかなか使い勝手は悪くなかったのでは…と思います。
かくいう私も2011年の5月に「函館・大沼号」という臨時快速列車で大沼公園に行ったのが最初で最後の乗車体験でした。あれから9年、令和の時代になって画像をひっくり返していたら懐かしさにかられて弄り倒すことになってしまい、まるで大沼だんごを10箱食べ続けても良いくらいの心境ですが(^^; クラウドファンディングで保存されることになった1両にはそのうち会いに行きたいと思います。
(取材・撮影 JR函館本線・函館〜大沼公園)

 

 

 


車内全景です。気持ちハイデッカーになった車内はとにかく天井の広さと荷棚のゴツさが目立ちます。晩年はモケットを張り替えて青を基調とした車内になりましたが、従来のカラーコードにはマッチしている様子も伺えます。この3両は苗穂工場で製造されていますが、ほどよい特別な感じも抑えられ、リゾートでもビジネスライクでも対応できる車内環境が整った仕様は流石です。

 
乗務員室との仕切りギリギリまで座席が展開しますが、これまで売りにしてきた眺望を二の次にしている点がポイントです。なんてったって運転席側は壁、それもブックラックや非常通報機とご対面なのですから、これではごくごく普通の特急と変わらないのでは?!と思うところでしょう。片や助手席側の優越感ときたら…
黒い箱の正体を先に明かすと、時刻と号車が出る表示器です。ただ、取材した時には時刻表示は出ていませんでした…。他に妻面には「グッドデザイン商品」のプレートもちらほら。時は民営化後まもなく、ジョイフルトレインをはじめとする個性的な列車が続々と出だす頃、私が大人であったら一番興奮していたであろう頃のビッグタイトルであります。


このデッキとの仕切りの手前は緩やかなスロープになっており、特に端の席に座る方は要注意です。この仕切り扉が実にお洒落で、落ち着いた色ながら客室側からは斜めの水玉模様で彩っています。なかなか他の車両に普及しなかったのは両開きだったからでしょうか。白いステッカーには「自動扉」の文言です。
その隣にはブックラックが置いてあり、様々なリーフレット・パンフレットが置いてあります。この足元が不安定な場所で立ち止まらせるような仕掛けを作っていたのは正直「?」でしたが、北海道の特急では軒並み妻面にブックラックをつけているので、右に倣えだったのでしょう。


この天井の造作が秀逸です。恐らく蛍光灯を中央近くで2列で配置していることかと思いますが、とにかくサイバーな意匠が格好良いです。冷房の吹き出し口もなかなか個性的ですが、今の車両であればこの部分に少し色をつけたかもしれません。そそ、蛍光灯カバーがついていない点も今の時代にフィードバックできそうなポイントです。

 
一方、床はさほど凝っていないような感じで、通路部分にはコルク柄、客席部分は灰色を主にした模様にしています。右の画像はスロープの部分で、世が世なら角の部分は黄色く塗っていたはずです。画像で見ると明るく出ていますが、天井の通路部分がやや暗めになっている分、床はもう少し明るめにしても良かったのではと思います。
なお、モケットを張り替える前は床も違う模様だったようです。


ドア周りです。こちらはあっさりしたドアですが、JR車両初のプラグドアという名誉も備わっています。その後キハ281系、キハ283系でも採用されていることから、試験的な意味合いもあったのでしょう。
731系からドア周りが黄色く塗られるようになったので、優等列車らしさが半減しているようにも思えますが、それでも鮮やかな黄色はナイスチョイスです。
ドア周りにもじゃ君がいないと思いきや…
 
デッキ周りには荷物置き場やトイレ、自動販売機から電話コーナーまでありました。右の画像は荷物置き場で、冬になるとスキー板などがしまえる縦長の荷物置き場もありました。後付けかどうかはわかりませんが、手すりがずっと出入口まで伸びている点は優しい配慮です。
また、客室への扉のデザインにもご注目ください。水玉からラインのものに切り替わっています。この徐々に線を細くして…という図はつい黒ごま塩瓶のラベルを思い出してしまいます。


デッキにあった飲み物の自動販売機です。デッキにわざわざ壁で仕切って自販機コーナー、電話コーナーを作っていることもあり、自動販売機全てが入りませんでした。すみません。
もじゃ君はここにいました!というのもつかの間、リボンナポリンの広告に目が奪われます。が、そのリボンナポリンはこの自動販売機では左下に水色の缶がわずか1列のみの陳列…。私だったらいの一番に買っていそうですが、この時は大沼でのサイクリングが控えていたこともあり、買わなかった記憶があります。

他にも電話コーナーはスタンプが置いてあったり、ごみ箱の蓋が国鉄当時の物を再利用していたりと見所が多いデッキ周りでしたが、当時のデジカメの広角では自動販売機以上に微妙な画になることから(言い訳)、文書のみの紹介とさせていただきます。


明るくて大きい洗面化粧台です。女性にも嬉しいカーテンとエアクリーナーの装備。このあたりのリゾート指数が高いのが嬉しいですし、流しを少しずらしている点もなかなか考えられているな、と思います。

 
窓周りと荷棚のシステムコントロールパネルとでも言うべきでしょうか、昭和最後の技術の粋が詰まったフォームにメロメロです。
読書灯やスピーカー、座席番号が出ていますが、いかんせん見難いのが最大の問題というこの作品、やはり大きいこともあって他の車両でこのデザインは見たことがありません。それでも当時は格好良かったんでしょうねぇ。グッドデザインだし。

この上の荷棚は平凡な仕上げ。固定窓もリゾート車両の割には特筆するような大きさにはなっていません。


座席です。リクライニングシートです。モケットを張り替えてだいぶシャキッとした印象で、足元の広さが何よりも嬉しいです。
以前は柄がなくモサッとした印象の座席でした。座っても特段ヘタれた様子もなく、結構形状がシャープな背もたれも狭さを感じるようなことはありませんでした。取材時の乗車時間が短かったのが救いでしたが、少し腰が持ち上げられそうな形状故に乗車時間が長いと腰に負担がかかってしまっていたかもしれません。このあたりを吟味する前に廃車になってしまったので、いずれ展示車両で耐久レースに挑もうと思います(殴)。


噂の端の席の様子です。キハ183系独特の足元の狭さから解放されている様子が伺えます。ただ、通路部分と若干の段差が生じ、その段差が若干パーソナルスペースに食い込んでいることから、ちょっと足元が気になる人もいたかと思います。
こちらには固定テーブルが備わっています。モケットを張り替える前は液晶テレビが設置されていたそうですが、この端の席はどのように設置されていたかが気になるところです。


北海道の特急といえばオーディオサービスですが、この車両にもこのようなパネルがありました。この時は残念ながら何も聞こえてきませんでしたが、当時は前の席の背面にテレビも備わっていたので、きっと道中飛行機のように音楽を愉しんでいたんでしょうね。私もこのコンテンツを作りながら、日高晤郎さんが歌う街の灯りでも聞いてみようと思います。街の灯りちらちら。
特急運用ではチューブのイヤホンなども備わっていたようですが、手持ちのイヤホンでも聞けるよう、差し込み口は2つ設けられています。


テーブルです。缶のくぼみとともに手前に取っ手と思しき窪みが備わっています。こういう個性的な車両が1つ、また1つ消えていくのはつらいですが、北の鉄路に大きな花が再び咲いた暁には、我々をあっと驚かせる素敵な個性派車両を作って欲しいものです。苗穂工場で。
 
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