JR北海道  キハ141形
 
  初期のJRといえば客車列車をいかに減らすかに躍起になっていた部分が少なからずあったかと思います。JR東日本は719系や701系で一掃しましたが、JR北海道は50系客車をディーゼルカーに変身させ、輸送力の増強に追われていた学園都市線に投入したのでした。
今回は初期に改造したキハ141形・142形の車内の様子です。
画像は3両編成ですが、後ろにキハ40形がぶら下がっています。幅広・裾絞りのキハ40形とは異なるすらっとした外観が特徴で、正面も違和感のない涼し気な表情です。出力を増強したキハ143形がその後で登場し、学園都市線の電化後は室蘭本線へと主戦場を移動しましたが、このキハ141・142形は廃車となりました。ミャンマーに行った車両もあるので頑張ればまだ乗れそうですが、道内なら通用したであろう非冷房の車内は果たして受け入れられたのでしょうか…?
(取材・撮影 JR札沼線・札幌〜石狩当別

 

 

 


車内全景です。キハ143形はデッキが撤去されましたが、このキハ141・142形はデッキがそのまま残っています。従って客車時代の面影が少〜し多めに残ったのかなぁという印象です。2ドアでデッキ付近はロングシート、中央部は1+2列のクロスシートが展開し、立席スペースを多めに確保しています。
北海道の国鉄から残った一般型車両といえば割と紺色や茶色のモケットの座席が多く残っていましたが、この車両は灰色のモケットで、モノトーンの世界が展開しています。思えば改座バリエーションが我々ファンを魅了するキハ54形も座席モケットの多くは灰色の柄…差し当たり、この柄にピンときたら…あ、キハ150形の存在を忘れていました。


2両編成のうち、各車両編成中央部のデッキとの仕切りです。基本的には50系客車の意匠をそのまま引き継いでいます。故にあのドアを開けた時に取っ手があたる部分の切り欠きもそのまま残っています。
窓から車内の様子が見えるので、寒く無ければデッキに留まる乗客も多かったのではないかと思います。この編成中央部のデッキは運転席部分はデッドスペースになっていたものの、助手席側は実質デッキを拡大した格好になっています。その様子はまた後程取り上げます。
優先席は各車端部2席ずつ割り当てられています。

 
50系客車の時から寒冷地向けということでトイレはデッキから出入りすることになっていました。従って、客室から見るとトイレ部分が凹んでいる格好になっています。もはやサイゼリヤも驚かない間違い探しのような2枚ですが、左の画像が札幌方のキハ141形でトイレを引き続き使用しています(^^;; 右の画像は石狩当別方のキハ142形でトイレは使っていません。便所使用お知らせ灯が無いのが大きな違いです(殴) 青い縦長の物体は温度計です。
どちらの画像も運転席、デッキに続いてデッドスペースやトイレが設けられている格好で、改造時に方向転換をしたのでしょうか。

 
トイレの壁を見るとその違いがよりわかりやすくなります。先ほどの画像では触れませんでしたが、トイレはなくても温度計は備わっています。この部分、書籍によってはキハ142形のトイレを撤去した旨記載があるそうですが、私は取材時点では遭遇できませんでした。キハ143形はデッキごと撤去したので、より雰囲気が異なります。
この部分に手すりがつかなかったのが不思議ですが、混雑時は壁によりかかる方も多かったのではないかと思います。


天井です。つり革は当初あった部分と増設部分で支持棒の形状が異なります。クロスシートのうち1列席の頭上、ロングシート部分には吊革が伸びているのがこの画像からも伺えます。
蛍光灯は必要最低限の展開で、中央部分の見慣れない箱は「クールファン」と呼ばれる苗穂工場の秘密道具です(^^;; 操作は扇風機と同じ壁のスイッチからで、扇風機に代わって涼しい空気を送り届けていたわけですが…冷房ではないので過度な期待はできませんでした。台数多めに設置されていたのがこの車両にとっては救いです。


コルク柄のベージュの床です。ロングシートを増設するなど座席配置をいじった関係で、床も張り替えています。

 
デッキ周りです。左の画像、扉の左隣にトイレの扉が見えます。また、右の画像は扉の左側に車端部で触れた立席スペースが広がっています。ドアは無塗装の片開き扉で、ステップつきのものになります。幅は広い方だとはいえ、デッキ周りに余裕が無く、扉を介して客室に入るもどかしさが後のキハ143形の改造につながったものかと思います。
ドア窓の脇には取っ手がありますが、私が取材した限りではこの形式での半自動扱いは見ませんでした。

不思議な位置にドアコックのふたがありますが、思ったよりもこの助手席があった空間が狭かったことが伺えます。手すりは一応ぐるっと2面に展開しています。また、妻窓は元々の窓を活かしているものかと思いますが、角の丸みがなかなか可愛い感じです。


客室に戻って窓周りです。北海道名物の2重窓で、この重たい窓枠にテーブル…というにはやや狭い下の桟、そして灰皿の跡がこの車両の歴史を物語っていました。画像のとおりクロスシート部分には座席番号も残っていましたが、ロングシート部分にも改造後座席番号のプレートが設けられていました。なかなかロングシートの多い通勤・通学のイメージが強い車両ですが、指定席で使うことを想定していたのでしょうか?

 
ロングシートです。JR北海道では一部の711系でも見られましたが、ロングシート部分を拡大しています。どちらの画像も左側の3席が該当しますが、言われてみてあ、なんとなく違うかも…くらいの感覚かと思います。恐らく同時期に廃車が進行していた50系客車のオハ50形から移したものかと思います。左の画像はトイレとクロスシートの間の6人掛け、右の画像はトイレが無い編成中央側の座席で8人掛けです。
 
優先席はラベンダー色のモケットで、どちらの車端部にもありますが着席人数が異なります。左の画像はトイレの反対側のロングシートで、3人掛け×3つの9人掛けです。右の画像は8人掛けで、2人分を優先席に充てています。
国鉄末期に製造された50系客車だけに、ロングシートもある程度奥行きを確保し、柔らかい座り心地でした。この頃の作品は近郊形としての熟成が見られた時期ではないかと思うところですが、変にいじっていないのが素敵で安心でした。

 
クロスシートは1両に左右4組ずつでした。片側は1列、もう片側は2列です。既存の50系客車の座席を使っていますが、ディーゼル化に伴い1列座席を撤去する加工を行っています。90年代前半はラッシュ輸送に試行錯誤していた時期でもあり、キハ40形など他の車両でも見られる加工でした。撤去した立席部分には吊革を通しましたが、もう片側は取っ手のみで、吊革はありませんでした。灰皿の撤去跡も懐かしいものですが、思えばロングシートでタバコが吸えた時代があったんですね…。

 
2人1組のクロスシートです。灰色のフレーム、銀色の取っ手、そして窓下の配管という昭和の車両ならではのセット…と言いたいのですが、釧路にいるノロッコ号控車にはこの配管はありません。ディーゼルカーだから設けられたのでしょうか。座面下に黒いフレームが見えるような画像ですが、これは配管の方の脚になります。配管に空いた穴が設けられた時代によって違うのが面白いです。

 
そして1人掛けです。配管の関係で足元が狭くなっています。これは座席幅を少し広げても良かったのではないでしょうか。肘掛けを設けると大胆な加工の上急行形のような設えになりますのでさすがに却下かと思います(^^;; うーん、私のようなボッチには嬉しい席なのですが、ちょっと残念でした。
座面から腰回りにかけての食いつきがバッチリで、灰色のモケットのわずかに凸凹した触り心地もなかなか好印象でした。
 
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