JR北海道  721系[1次車]
 
  北の大地をひた走る721系、トップナンバーの模様をお届けします。
快速エアポートの主力としてとてもカオスな展開になった721系の誕生は1988年。1次車・2次車のうち製造年が早い車両は3両編成を崩さず、函館本線や千歳線でローカル輸送に就くことが多いようです。従って快速エアポートには最高速度の関係で入らず、区間快速も気が付けばなくなり、普通列車専科になってしまいました。とはいえ駅間の距離が長い北海道…軽快な走りは健在です。
軽快な様子は前面の表情からも伺えます。高運転台でキリッとしたキハ201系も好きですが、こちらの爽やかさもなかなか北海道にマッチしていると思います。今後、733系の増備によって…などと考えたくはないのですが、デッキ付き転換クロスシートの車内に、徐々に転換期が近づいています。
(取材・撮影 JR函館本線・岩見沢〜滝川)

 

 

 

 
車内全景です。左の画像は車端部から車内中央にかけて、右の画像は車内中央から車端部にかけて撮影したものになります。目で見た感じは右の画像のような、ちょっと赤みがかった印象の方が強いかなぁ…と思います。
3ドアで全席転換クロスシート、1人掛けの座席を端に設け、中央に2人掛けの座席を左右各5列設置しています。デッキとの仕切り扉を設けていることから、半室構造になっています。731系からデッキの扉が省かれ、新型コロナウイルスの影響でデッキのドアを開けっ放しで運用しているケースもあるようですが、車内の温度保持は扉あってこそだと思います。

登場時の赤い座席が未だに忘れられない方もおられるかと思いますが、私は若干座席の色が落ち着いた今の車内の方が馴染んでいるように感じます。

 
デッキとの仕切りです。中央のデッキへの仕切り扉は戸袋窓がつき、車端部につながる仕切り扉には広告枠が設けられています。この仕切り窓で車内の一体感を生み出したかったのかもしれません。ただ、デッキの色和えが明らかに違うので、もう個々に独立した客室という感覚はどうしても拭えません(^^;;
この中央のデッキへの仕切り扉に接した1人掛け座席、つまり1両につき4席が優先席に割り当てられています。辛子色の仕切り壁と吊革の黄色が心なしか同化しています。

 
小樽方先頭車のうち、乗務員室に近い客室には雪切室が設けられています。左の画像のとおり出っ張りがありますが、上手なレイアウトで両開き扉は維持しています。この後ろの座席の背もたれも転換できます。
また、2012年あたりから避難梯子を設けています。右の画像は旭川方先頭車の乗務員室に近い客室の様子で、雪切室が無いスペース故に座席1席撤去して設置しています。やはりその後ろの座席の背もたれも転換できることから、若干足元広めの移動、冴えないカバーデザインの避難梯子と相対する移動も可能です。


特急形のようなカバーつきの照明が大きく目立つ、素敵な天井です。吊革は1人掛け座席の脇のみの設置で、冷房は蛍光灯脇のスリットから吹き出すようですが、この画角では明らかにそれらしいものが目立ちません。荷棚の処理も含めて特急車かよ!とツッコミを入れたくなるような天井ですが、中吊り広告の存在がその空気をある程度壊します…(^^; この中吊り広告も製造当初とは異なる吊り具になり、左右2枚設置できるようになっています。


床です。こちらもなかなか素敵な模様ですが、製造当初から大きな変更はないようです。通路、座席など区画に関係なくランダムに模様が現れるパターン、補修に一苦労している様子も時々見られます。
デッキ周りは別素材を用いています。

 
デッキです。乗務員室のすぐ後ろのデッキとトイレなどがまとまった小樽方先頭車の様子、2枚あげました。
雰囲気が一気に変わります。車内のデザインをする上で「寒色系から暖色系に人の流れができるように…」というイメージだったそうですが、札幌市交通局の車両に立ち向かうかのような濃い、濃すぎる車内に片開きドアの地味さが一層目立ってアンバランスです。
ステップのあるドアは幅を目一杯確保したせいかあまり握り棒の類が充実していません。ここにはあまり留まらないように…という意図でしょうか。とはいえ客室も…という葛藤が、やがて731系へと結びついたのでしょう。

 
トイレとの仕切りです。反対側は機器スペースになります。この721系で本格的に導入されたのがトイレのピクトグラムの表示で、この見やすい位置、わかりやすいマークはJR北海道ならではの気配りで、他の会社にももっと見習って…と思う部分でもあります。尤も「便所」と書かれた標記であれば同じような位置についた車両もかなり昔あったので、オリジナルかどうかは考えものです…私、本日もこじらせています(^^;;
同じように消火器の位置も目立った方が良いのですが…あら、そんなところに!という位置にいます。


中間車では片側が雪切室などの機器室、もう片側が立席スペースになっています。今となっては車椅子スペースとして整備してもおかしくなさそうなエリアですが、空調が効いて外からの風を遮断できる客室の方が居心地良いのは明らかです。

そうそう、このスペースにも消火器がこっそり隠れています。


再び客室に戻って側窓です。特段テーブルはありません。また、窓枠は水平ですがスペースは狭く、物を置くには適していないように思います。この茶色い枠が個人的にこの系列では好きな部分の一つで、デッキの濃い化粧板と窓枠の茶色を見て、頭の中に日高晤郎の街の灯りを流すのが私の北海道入り口でのルーティーンです(^^;;;

 
座席です。この編成は転換クロスシートだけの展開ですが、同じ顔、別の車両でロングシートが潜んでいることがありますので、油断禁物です。仕切り扉に近い座席を1人掛けにしていることから、その1列奥の座席もデッキのお客さんとコンニチハになりますが、新型コロナウイルス感染症の関係で仕切り扉を開放している時期はさぞドアからの風の影響を受けるでしょうに…と同情しかできません(^^;
窓側にも肘掛けがある落ち着いた茶色モケットの座席ですが、背もたれの脇の赤いフレームに登場時の面影を見ることができます。登場時はビビットな赤いモケット、黄色い手すりでした。

 
1人掛けの転換クロスシートです。仕切りにはヒーターを設けていますが、このヒーター、高さが絶妙で足を…載せてはいけません。
こちらも背もたれ脇の赤いフレームが良いアクセントになっています。ただ、アクセントになっているということは背もたれを転換させる時に、小さいお子さんが周りに居たらちょっと気にした方が良いかと思います。
赤いヘッドレストが特徴の優先席もヘッドレスト以外のモケットが肘掛けと合わない感じが残念ですが、JR北海道ではそこそこ見る柄のモケット、ちょっともっさりしているようにも見えます。

座り心地はバケット形状がそこそこ効いていて、背もたれの緩やかなカーブは良い感じです。取材時は座面がちょっとへたっている印象を受けたのですが、そのせいか座面と背もたれの間の隙間が妙に気になってしまいました。
完璧な状態だったら欠点の少ない座席だと思います。


そして、こうやって座席を撤去してまで設置した避難はしごの画像を並べる編集の悪意たるや…(^^;;
取材班、今日も平常運転です。

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