JR北海道  キハ54形500番台
 
  キハ54形500番台は道東の他道北エリアでも活躍しています。宗谷本線、石北本線とともに留萌本線でもその雄姿を見ることができ、増毛駅訪問の折に乗ったという方も多いのではないでしょうか。
その留萌本線には急行仕様車としてデビューした車両も在籍していますが、今回取り上げるのは一般仕様車です。固定クロスシートが転換クロスシートに換装され、さらに留萌本線秩父別駅での積み残しをきっかけとしたロングシート延長の改造も施工されたキハ54形501、505の車内の模様をお届けします。
積み残しの原因への言及は避けますが、その積み残しから約10年後、積み残しがあった駅も含む留萌本線全線について、JRから「廃止の方針」が示されたのは驚きました。2022年の時点で路線としては引き続き存続しているだけに、機会があれば増毛祈願に乗りに行きたいものです。
(取材・撮影 JR留萌本線・増毛 JR函館本線・旭川 他)

 

 

 


車内全景です。一般仕様車では転換クロスシートが5列20席残り、その前後、ちょうど茶色の床の部分がロングシートに換装されました。吊革もロングシート部分にしっかり増設されています。袖仕切りの大きさが若干鬱陶しく感じますが、それでも転換クロスシートの幅よりは短く、吊革につられて奥に奥に…という作戦は以前よりも少しうまくいきそうな予感はします。
ただ、2ドアデッキ付き、ワンマン運転の無人駅での乗り降りは前扉から…という部分は変わっていません。と、いうことは…(^^;;

ちなみに、急行仕様車の3両は転換クロスシートが5列…ではなく、6列展開しています(^^;;

 
デッキとの仕切りです。製造当初から片開き扉で、特にトイレがついている側はこれ以上施しようの無い構成です。デッキの仕切りを取ってしまうと厳冬期の車内保温が難しくなってしまうのも悩ましいところです。トイレが無い側が増毛方、ついているのは深川方になります。 禁煙表記や仕切り扉のJRマークの有無など細部に違いがみられますが、トイレの仕切りについた温度計は2両とも同じ物を備えていました(^^;;


トイレとの仕切りです。トイレの入口はデッキに面しているため、この部分は一面壁のみ…。
宗谷北線営業所に所属していたキハ54形は沿線市町村の広報誌などを入れられるラックがありましたが、こちらにはありませんでした。新製時は左右に2面広告枠があったのですが…。手すりも最小限に留めている様子が伺えますが、なるべく凸凹した形状のものをなくしているのは…きっと混雑とは異なる、偶然の結果なのでしょう。

 
天井です。相変わらずJNRのマークが入った扇風機が幅を利かせています。まばらな蛍光灯も気が付けばちょっと懐かしさを感じるアイテムになりつつあります。
画像では写っていませんが(^^;; 増設部分の吊革も天井から支持棒を伸ばし、増設部分だけで完結できるような設えになっています。元々あった吊革と同じ丸い手掛けですが、ちょっと注意深く見るとくたびれ具合の差がわかります…(^^;;


床です。増設されたロングシートの部分は721系でも見かけるコルク柄の床、当初からの部分はアイボリーのコンビです。生キャラメルにバニラアイスを載せたようなタッグですが、これが改造によって生まれたものだと知っている人はニヤリ、知らない人もまずまずお洒落なのでは…と思うことでしょう、きっと。

 
デッキ周りです。右の画像はトイレへの扉も見えます。片開き扉はステップがついていて、扉の両側には手すりでしっかりサポート。それにしても…仕切り扉と側扉の間…機器スペースの出っ張りが大きく張り出しています。また絶妙に腰をちょこっと預けるには良さそうな箱でもあり(でも腰はかけないでネ)、あっという間にデッキ周りが詰まってしまうのも頷けます。運転席から車内に誘導するよう声をかけるしか策はなさそうで、運転士さんお疲れ様であります…。
旭川の車両らしく、ドアステッカーの他に「乗降は前のドアから」とワンマン運転を念頭に置いたキハ150形のイラストが貼られています。


側窓です。たまたま開いているところを撮影しました。灰皿の跡、二重窓にも惹かれてしまいますが、注目したいのは増設したロングシート部分。元々クロスシートがあった部分と同じ窓枠が残っています。ロングシート部分の窓枠と比べて、若干下辺が出っ張っている、つまりテーブルとして細やかながら物が置ける部分がそのまま残っているのです。
それを回避するため…というのも理由の一つかもしれませんが、ロングシートの背もたれと窓枠の間に僅かにスペースを入れて、ロングシートを若干壁から離して設置している様子もこの画像から伺えます。それでも…姿勢を崩すと窓枠に当たってちょっとヒヤッとすることも…(^^;;;

 
転換クロスシートはお馴染みW12、新幹線から持ってきた逸品です。チェック柄のモケットに焦げ茶の脚台が素敵ですが、窓側の足元はちょっと狭め、通路側はテーブルが使える座席に出会えることも。今回取材した2両ではバッチリ使えましたし、案内表記もそのまま残っていました。
座面の柔らかさと背もたれの角度のハーモニーはいつ座っても見事です。最後にお会いしてから4年近く経ちましたが…お元気ですかぁ…?

 
深川方ロングシートのうち、当初から設置されていたロングシートの画像が4枚続きます。キハ54形で考えればすっかりお馴染みの形状の座席で、優先席もこの区画に備わっています。

増毛方のトイレが無い側は8人掛けロングシートがスタンバイ。デッキの仕切りに面した部分に見られる肘掛けはこの区画のみの特権です。座席下、蹴込み板の形状に若干の物々しさを感じますが(^^;; ここも製造当初から若干手が加えられています。
 
そして、左の画像は元々あった4人掛けロングシート、右の画像は増設されたロングシートになります。
蹴込み板から座面、背もたれに至るまで全くの別物です。縫い付けで着席区分がつき、若干凸凹したバケットシートですが…バケットシートの違いが2枚の画像でひしひし感じられます。
座席自体はどこかから持ってきたものとは考えられにくく、苗穂の匠が頑張って改造したものかと思われます。奥行浅めながら形状も緩やかな分、従来のバケットシートに狭さを感じていた方にはこちらの方が寛げると思います。

 
別の車両で撮影した増設部分のロングシートです。先ほどの画像よりも若干凹凸が目立って見えるかと思います。
見た目はキハ150形のようにも見えますが、背もたれは短めで凹凸はキハ150形よりも大きい座席です。それでも…右の画像のように仕切り越しにこれまでの座席と並べると…ちょっと華奢に見えてしまいます(^^;;

袖仕切りは従来の転換クロスシートとの仕切りを活用しています。これで少しでも足元の寒さが和らぐといいなぁ…と思うものの、混雑を念頭に置くのであれば、縦方向の手すりがあっても良いのでは、と思います。
 
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