JR東日本 キハ48形「うみねこ」 | ||
平成14年、東北新幹線八戸開業とともに華々しくリゾートトレインが登場しました。片や冷房車、固定窓が広々と設置され畳敷きのクロスシートが人気を博した「き・ら・き・ら
みちのく」、そして今回取り上げる八戸線で運用が開始された「うみねこ」です。前者に比べると後者は外観も今一つ本気になっていないと言いますか、原型の面影をよく残していると言いますか…塗装こそはドラッグストアも真っ青なほど鮮やかな色になったのですが、いかんせん非冷房のままというのが泣けてきます(^^;; 2011年から「き・ら・き・ら みちのく」改め「リゾートうみねこ」が八戸線に進出。この「うみねこ」は長らく姿を見せませんでしたが、2012年夏、側面のロゴやヘッドマークを消した状態で臨時列車に登板。以後、多客臨時列車の切り札になりそうな予感がします。 (取材・撮影 JR釜石線・釜石/青い森鉄道・青森) |
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車内全景です。釜石・八戸方先頭車の多目的スペースから撮影した図です。ご覧のとおり非冷房の車内で、取材した時の臨時列車も非冷房を売りにする始末(^^;; おまけに留置中に開いていた窓にめがけて通り雨が…(^^;;; なかなか大変そうでした。 2ドアはそのままに座席をリクライニングシートに換装。観光バスから格下げされた路線バスのような微かに高級感漂う光景ではなく、グレードアップしてこの光景は半ば背伸びを諦めたような残念なムードさえ漂います。 寒冷地向きの車両なのでデッキとの仕切りは従来通り、強いて言うなら吊革がなくなった関係で化粧板を張り替えた程度です。ここは自動ドアを期待したいところですが、冷房が無いのであまり車内の温度を保つ必要が…否、冬の事を考えると自動ドアの方がよさそうですね(^^; ちょっと遠めですがトイレがあるデッキとの仕切り、そしてトイレです。以前はトイレのドアはデッキに設置されており、客室からの出入りができるように改まりました。トイレの洋式化とともに寒いデッキから出入りしなくても済むようになったのは朗報ですが、隣の車椅子スペースに佇む方には少々気になってしまう区画ではあります。 そのトイレの手前、網棚には避難用の梯子が備えられています。八戸線の津波対策として使用方法の案内とともに設置されています。他にも別のポスターでは津波対策の案内などが書かれていましたが、大事なのはこのクオリティの維持です。 車椅子スペースです。握り棒も謎の突起も中途半端ですが、最大の魅力はリクライニングシートの向きを車椅子スペースの方に変えられることです。これで足元広々…しすぎて全く落ち着きません(^^;; 車椅子スペースのマークが可愛いです。あまり他では見かけない、この車両独特のマークです。 釜石、八戸方車両の後ろデッキ寄りには謎の立席スペースがあります。どう考えても以前あったロングシートを撤去しただけにすぎません。一応名称は「多目的スペース」らしいですが、どう見ても座席に座れなかった人たちが羨ましそうに座っている人を見るスペースにしか見えません。うむ、恐ろしき落差。 個人的にはスポーツ自転車を列車にそのまま詰めるといいなぁなんて思っているので、それ向けのスペースに有効活用を…と言いたいところですが、立席スペースのままでも自転車スペースとしてある程度使えるだけに、ナイスアイデアと手放しで喜んでいただけそうにはありません。 天井です。臨時列車なので中吊り広告は一切ありません。北海道ではお馴染みの光景かもしれませんが、ベンチレーターや扇風機の存在がここまで大きい車両も近年はすっかり少なくなってしまいました。ボチボチ設置されている蛍光灯も節電対策で何本か抜かれており、トンネル内はなかなかの暗さになってしまった場所もありました。 扇風機です。涼をとる唯一の手段だけに、「ON」「OFF」はしっかりとフォローされています。配線が見えないスッキリした取り付けに「扇風機」の文字がレトロな雰囲気を増幅させています。それだけにJR東日本と書かれたカバーも「JNR」の時代に戻ればぐぐっとレトロ感が増すのになぁ…なんて思ってしまいます。ん、津軽海峡を渡るとそこには…(^^;; 座席が換装されましたので床も張り替えています。茶色をベースにしたリノリウムですが、私個人的にはこの柄とはあまり遭遇したことがありません。 デッキ周りです。床と内壁に手を施している様子が伺えますが、基本的な構成はそのまま変化ありません。黄色の滑り止めシートも八戸線のキハ40形に標準装備されていますし、八戸線お約束のゴミ箱も色を変えることなく設置されています。そういう意味では変に「特別な列車だ!!」と身構える必要は無さそうです。 欲を言えばもう少しデッキでつかまって乗り降りできる握り棒が欲しかったです。 半自動ドアなのでドアに取っ手がついています。その様子と、2012年の夏季臨時列車から設置された津波の案内、そしてゴミ箱ではなく「くずもの入れ」です。くずもの入れは目立つのですぐわかりますが、津波の対策、避難案内は果たしてどこまでわかってもらえるでしょうか。尤もこの案内を見て「普段は八戸線を走っているんだ!」なんてビックリするJR釜石線の駅員さんもいらっしゃいました。 2段窓は「懐かしい!」との声も。ただ、座席を換装した関係で窓枠と座席の位置が合っていない席が見られました。「リゾートうみねこ」などはこのあたりもピタッと調整するだけに、この車両に対する…いや、もうやめておきましょう(^^;;; 昔の通勤電車のように窓を上下とも全部開けられると解放感がさらに増したり、臨時列車の走る路線によっては停車中に駅弁を…なんてシチュエーションが想像できたりしますが、これも種車の関係で難しいものがありそうです。 リクライニングシートです。インアームテーブルを装備した花柄の座席はその赤を主体にした色も相まって貸切バスのような雰囲気さえ漂いがちです。モケットにしわがついているようにも見えますが、それは柄のいたずら。決してダラーンと伸びているわけではありません。他のリゾート列車シリーズに合わせて背もたれのみが稼働し、座面は動きません。シートピッチはリゾート列車シリーズよりも狭くなっています。 配管が足元を通っているので窓側の座席の窮屈さは今更申し上げるまでもありませんが、せっかく座席を換装したんですからそこまで手を入れて欲しかったというのが本音です。インアームテーブルと膝の干渉はなかなかありませんが、向かい合わせにした時に足元の余裕がなくなってしまうのはイマイチです。 座席のホールドは良好で、見た目はツルッとしている座面や背もたれが総じて硬い、低反発なんて言葉が浮かびそうな座り心地です。全体的にあまりくたびれた様子はありませんが、取っ手のカバーが外れてしまった席がありました。これから先、肘掛などの細かいパーツがどれだけメンテナンスされるか、そこからこの車両の将来が見えてきそうです。 2012年夏、釜石線釜石から盛岡にかけて運転された臨時列車で取材しました。途中の峠越えのトンネルでは気温がググッと10度以上もさがる場面もありました。それもまた楽しい道中なのです。 |
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