JR東日本  東海道本線113系・サロ110[1200番台]
 
  小窓がズラッと並んだ姿、そして四葉のマークは113系の、そして東海道線の華でもありました。113系のグリーン車として1976年に登場したサロ110の1200番台。可能な限り着席定員を多くし、60人分の座席を確保。まさに「通勤事情に考慮したグリーン車」と言っても過言ではないと思います。その一方でドア幅は70cmのままで、グリーン車ならではのワクワク感は忘れてはいません。
屋上機器には分散クーラーがあり、当初から冷房がついていたのも特徴。1976年の段階では普通車にはまだ冷房がついていない車両も残っており、グリーン車だからこその必須アイテムの一つだったのでしょう。なんとなく誇らしげですね(^^;;
横須賀線、東海道線を中心に活躍していますが、前者は全廃、後者も2005年度中には廃車になってしまう予定です・・・。
(取材・撮影 JR東海道線・熱海/小田原/東京)

 

 

 


まずは車内全景の前に妙な画像から。手前の普通車は国鉄時代から薄緑の化粧板を多用していました。それに対してグリーン車は化粧板などに淡い桜色の化粧板を用いています。グリーン車が緑の化粧板ではないという寒いギャグはさておいて(^^;同じ113系というカテゴリーながら「グリーン車」という空間を「普通車の延長」ではなく「全く以って独立した空間」として捉えているように感じました。だからこそ付加価値がつくわけで、どうも最近登場したJR東日本の特急形グリーン車は…(以下自主規制

 
いよいよ車内に入っていきます。全景の画像をドドンとどうぞ。左の画像は熱海よりの車端部に向けて撮った画像で、右の画像は東京よりの車端部に向けて撮った画像になります。2ドアでデッキつき、簡易リクライニングシートがずらーっと並びます。
意外にも広い空間、そして蘇芳色の座席が桜色の化粧板にあいまって実に落ち着いたムードを作り上げています。


デッキとの仕切りになります。画像は熱海よりのデッキとの仕切りで、この先には乗務員室、出入り扉、化粧室がずらっと並んでいます。銀色の扉ながら擦りガラスになっているのが大きな特徴になり、空間を格別なものにするマジックの一つかなぁと思います。ドアには通風孔がついていますが、これは熱海より仕切りの扉のみについているもので、この先の通路が換気不十分にならないように工夫されています。よって東京より仕切りの扉にはついていません。
また、東京より仕切りの扉にはドアノブの下にバー状の鍵や鍵穴がついています。これらがある理由の一つとして、朝ラッシュ時の上り列車や夕ラッシュ時の下り列車でグリーン車と普通車の間の行き来をできないようにするため、といったものもあります。つまり、バー状の鍵をかちゃっとかけるとそれで締め切り、普通車から車内を介しての「乗り移り」を防いでしまうわけです。画像でご紹介できない(=未取材)なのが悔しいのですが、すごく簡単な装置です。自分のバイト先のトイレの装置と構造は一緒でした(^^;;


壁に目を向けると様々な物がくっついてます。便所使用知らせ灯もありますが、一部の車両では電球に代わってLEDを用いたものが使用されているそうです。雑然としているような感じがしますが、実は結構上下左右の間隔を考えて取り付けられているんですね。なかなか整然としています。


そして温度計もスタンバイ。デジタル式に交換されていますが、国鉄時代はアナログだったのではないかと思われます。室温は22.2度。やらせではありません(^^;;;


天井にうつります。グリーン車なのでシンプルに蛍光灯と冷房機器が目立つぐらいで、シンプルな雰囲気を作り上げています。蛍光灯はカバーがかかっていますが、端から端までカバーしているわけではなく、所々途切れています。
冷房機器は車内には全部で6台あります。東芝製で、あの筆記体のカッコイイロゴがカバーにしっかり貼られています。ちょうど一番手前の吹き出し口が無い面の左側、カバーの止め具の脇にあります。


あ、もう一つでっかく目立つものがありました。首都圏の路線図です。
しかしながらなぜこの位置にこんなに大きい物を貼るのでしょうか・・・。そして、個人的にはこのような空間では目障りになるだけなので不要だと思うのですが、それは首都圏に慣れ親しんでいるからでしょうか・・・。200系などの新幹線の停車駅案内のように、少しサイズを小さくした上でデッキに貼ればいいのに・・・。


そして床です。何も飾らない灰色一点張り。近郊形も急行形もまだ床の装飾に対する意識が低かった時代であり、選択の余地が無かったのでしょう。でもこの灰色がまたいい味を出しているんです。

さて、ここいらで一旦客席スペースをでて、熱海よりのデッキの模様を見ていくことにしましょう。

ということでデッキを見ています。まさに仕切り扉から撮影したもので、この画像の手前には客室がある格好です。
手前から中央の通路を挟んで左右両側に乗務員室、仕切り扉、出入り口、再び中央の通路を挟んで左側のトイレと右側の洗面所、そして貫通路といった段取りになっています。奥のからし色の扉は既にサロ124になります。
この中央のちょっと薄暗い通路を通って客室へ・・・そんなアプローチが楽しめるのもグリーン車ならでは。本来であればここでグリーン券不所持の人を普通車に誘導できるのですが・・・


乗務員室の扉の脇に貼られていた「乗客専務車掌」のプレート受けには何も無く・・・。乗務員室に通じる扉と合わせてどうぞ。それにしても、料金表のステッカーも貼られているのに関所が機能してないなんて…(^^;; あ、でも車掌さんは回ってきましたよ。
ドアそのものは縦長の窓ガラスで、なかなか洒落ていると思いますよ。ここも狭いスペースの割には擦りガラスですし。ここの擦りガラス、好意的に解釈するとグリーン車の乗客の方々に乗務の事を気にせずに利用して頂きたいといった感じでしょうか。悪い方で解釈するとビックリドッキリ玉手箱的な関所ですよ、これ(^^;;; 扉開けた瞬間「シャラーップ!」なんてことは一切ありませんが・・・


さて、出入り扉の様子は東京よりのデッキの方をご覧下さい。右が客室、左が貫通路といった具合です。
まずスペースの狭さが蛍光灯の配置から伺えると思います。そして、出入り扉は幅70cmの片開き。鴨居部分は113系普通車と同じくらいのサイズながら浮いているような感じはせず、扉、天井との見事な一体感を生み出しています。
なお、整備終了直後だったので、車内を整備される方が使用されたドアコックの蓋が開きっぱなしになっています(^^;; 右の方のべろんとした透明カバーがそれです。

 
そしてデッキも最終ゾーン、洗面所の様子です。上半分はアイボリーそして下半分は紺色のツートンで塗られた洗面所内、白い陶器の洗面台が映えています。少々直線的な洗面台で、操作方法も急行形電車のそれと同じです。剥き出しの蛍光灯が泣かせます・・・客室内はカバーつきだからこそ、このような乗客が使うところにも取り付けて欲しかったなぁ。
それにしてもこのご時世で石鹸・・・公共の場では久々に見ました。
ちなみにデッキ側の壁にも鏡が取り付けられていました。現在も一部の車両には設置されていますが、取材車両に関してはその跡だけが淡々と残っています・・・。


さて、客室に戻って窓です。構造そのものは普通車と同一で、上半分は全開か全閉の2つが選択でき、下半分は開閉面積を何段階か調節できるようになっています。また、ロールカーテンも備わっています。そして、この窓周りにも様々な特徴が・・・。

 
まずは座席番号プレートに帽子掛け。プレートはわざわざ窓枠から一寸下のポジションに板をくっつけて、見やすく、そして車内をできるだけシンプルなつくりにしていこうと心掛けています。プレートの止め方も中央にビスを打ち込むという、普通車とはちょっと異なる形を採用しています。
そして帽子掛け。大きな特徴は下の方の出っ張りが左右分かれている事です。つまり、窓側の人も通路側の人も1つずつ掛ける所が確保されているわけで、特に夏場や冬場は帽子掛けの場所取り合戦にならなくて済むわけです。このゆとりこそが、グリーン車。ただ、ゆとりを味わいすぎて掛けていた上着から重たい財布がポロッと逃げていかないように、しっかり貴重品の管理は各自研究工夫の上、怠らないようお願いします。余計なお節介失礼しました。

 
そして窓枠をツツツーっと辿っていくと固定式のテーブルがあります。大きさ、今回は小田原名物こゆるぎ茶めしでご紹介しますが、ちょうど茶めし1個分の大きさです。形状も茶めしスタイル(^^;;ではなく、座っている方や座席の回転時に邪魔にならないよう四角形の角を落としたものを使っています。
また、このテーブルの下には灰皿もありましたが、現在は全席禁煙、灰皿の跡しか残っていません・・・。

それにしても、このようなテーブルが通路側にはありません。帽子掛けとは反対に、テーブルは奪い合いの様相を呈する可能性もあるわけで…後継の211系からはシートの背面に折りたたみのテーブルがついたのでこのような事態は避けられています。が、今度は座席を向かい合わせにするとテーブルが使えなくなるという問題が・・・。うーん、悩ましい問題です。


さて、客室のうち東京よりの端の席は戸袋窓が該当します。そのため、帽子掛けの位置が他とは若干違い荷棚の横にきていたり、窓が開かなかったりします。眺望には不自由しませんが、ドアの開け閉めの時がちょっと煩いかなぁ、と思います。
その分の恩恵でしょうか、目の前に仕切り壁がきてしまうであろう4隅の座席ポジションのために横長のテーブルが置かれています。ちょっと奥行きが無さそうに見えますが・・・


こゆるぎ茶めし1個分の奥行きです(^^;;;しかも幅がワイドなので目測で茶めしが3個置けたり、茶めし2個にペットボトルの小田原茶が2本置けたりすることもできます。通路側の席の方も遠慮なく使えるという利点もあることですし、いかがですか、新婚旅行にこの席をチョイスするのは(^^;;;;


座席になります。ちょっと元画像が酷かったもので回転させました。ご了承下さい。
元は簡易リクライニングシートだったのですが、現在はこのようにストッパーが設置されています。183系の普通車と同じ座席でリクライニング角度も「する」か「しない」かしか選べないのですが、リクライニングをさせると座面が前の方にズズズっとでてくるようになっています。
モケットは蘇芳色の一色。この蘇芳色がグリーン車ならではの高級感、落ち着きをさらに提供してくれています。

座り心地は残念ながら座面にあまり元気が無く、ヘタリが率直に感じられるものでした。背もたれはややしっかりしていたんだけどなー。着座位置が少し低いように感じたのも気になります。

 
背面、そしてヘッドレストです。まず背面には大きな網袋があります。へたっているものも目立っていましたが、大半は左の画像のようにしっかりした状態を保っていました。整備されている証です。
そしてヘッドレストにかかったカバーは紙製。うん、このあたりはJRになってから徹底的にコスト重視になったなぁ〜と思わせる部分になりますね。使い捨てですし、よく反りますし(^^;何しろ頭の後ろがゴワゴワして、個人的にはどうも好きになれません。紙製の方が布よりも清潔に見えるという意見もあるかもしれませんが、布の方がしっくり、落ち着いて座れるし、簡単にリユースできるのになぁと自分は思います。もしこれでもか!と紙を使い続けるのであれば、使い捨てなわけですからリサイクル素材を使ったり、捨てた紙をリサイクルするようなシステムが必要ですね。今、もう既に整っているかもしれませんが・・・。


最後にこの座席で個人的に気に入っている部分がここ。リクライニングレバーです。
丸みを帯びた手掛けの掴み心地は実にいいです。そして、肘掛の先にあるレバーを押すのではなく引くことによって、より着席状態で力をいれずにリクライニング操作が可能になると思うのですが…押しボタン形式が普及したということは、多くの方は使い勝手が悪かったと感じたのかなぁ。
 
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