JR東日本  仙山線・東北本線719系
 
  1989年、211系の交流電車版という位置づけで仙台地区に華々しくデビューした719系。顔は211系に似ているかもしれないものの、側面、そして車内は211系とは一線を画した内容に仕上がっています。しかしながら、2両1編成という動きやすい編成単位や3ドアで収容力があることが買われ、やがて仙台地区の主力に躍り出るほど勢力を拡大していきます。そして、2001年ごろには仙山線のほぼ全ての列車がこの719系になり、時間帯によっては仙台駅の在来線地上ホームが719系だらけになる事も…(^^;;; 小牛田〜一ノ関などのワンマン運転は701系に、常磐線系統は417系などの2ドア車に任せた結果、福島、仙台、そして山形と高速バスを相手にする機会が多いのも特徴です。さぁバスと電車、ルックスではあなたはどちらを選ぶ?!
(取材・撮影 JR東北本線・仙台/石越)

 

 

 


車内全景です。3ドアセミクロスシートの車内は画像よりも明るい雰囲気で過ごせます。また、あまりカクカクしない感覚がするのはクロスシートのデザインのおかげ。この車両の下調べをしている際に「1989年製造開始」という記述を見つけ、「ま、まさか・・・?!」と驚いた自分がいるのですが、この車両のデザイン性はちっとも衰えていません。
そのクロスシートは「集団見合い形」という少し変わった配置になっています。この様子はまた後ほどです。


クモハ、すなわち小牛田、愛子方についている車両の車端部になります。
こちらはラッシュ時にも耐えられるようにロングシートで構成。妻窓が無く、車端部の壁も厚いのがちょっとうっとうしいかなぁという気がしますし、先ほどの全景画像とはあまりに雰囲気が異なり過ぎていますが、この表情もまた719系。
数年前までは蘇芳色の5人掛けのロングシートもこの区画にあったのですが、現在は両側とも優先席モケットになっています。このため、この区画は携帯電話の電源OFFにするようアナウンスされています。


一方こちらが黒磯方についているクハの車端部になります。
719系はトイレ標準装備。編成のちょうど真ん中に相当するクハの車端部に和式便所があります。画像左奥の囲いがそれで、その手前には2人掛けのロングシート、反対側、右側の奥には2人掛けのクロスシート、その手前には3人掛けのロングシートとなかなかバラエティに富んだ出演になっています。ゴミ箱もいることだし(^^;
この車両の優先席は画像のドア、すなわちトイレに一番近い側扉とクロスシートの間の2人掛けになります。

 
その便所の区画、そしてゴミ箱を上から眺めています。便所に関しては壁に化粧板を多用してはいるものの、銀のフレームがあまりに目立ちすぎてやや雑然とした印象。そしてそれに輪をかけるのがゴミ箱の存在。当初からあったのか後付かはわかりませんが、壁に埋め込まずに独立して置いてある分目立ちます。これが車内美化を訴えかける作戦だとすれば、思惑通りといったところでしょう。
ところでゴミ箱が目立っているのは良いのですが、画像のように角度によっては「便所使用お知らせ灯」が全く見えません…。これもある意味目立つ場所に、できれば複数の場所に設けていて欲しいのですが・・・

 
逆サイド、乗務員室との仕切りになります。右の画像は連結時の様子で、貫通路を用いた同一形式の連結は仙台地区では割とよく見かけますが、この開放感はなかなか見かけられませんよ〜。ということで仕切りの真ん中から右側にかけての窓の大きさがとにかく要注目の719系、連結時も右の画像のようにあまり暗くならないという利点もありますし、何よりも前面展望にうってつけ!です。
この窓のおかげで味気無いことが多い乗務員室との仕切りが少しお洒落になった気がします。

消火器や非常通報機などは壁とツライチになるよう、少し窪みをつけた所への設置になります。消火器などは元々目立つ分、この辺りの処理も一工夫されています。この一工夫が209系になると…あれ、あれれれ・・・?!


天井です。中央部の通風孔はベンチレーターを介して外の空気を入れるもので、冷房はその両脇の溝からどうやら出ているようです。ラインデリアなどが一切無く、極めてスマートな作りです。ただ、スマートなのはいいのですが冷房のラインフローファンなどを見て涼を求める方にとっては少し不安になるかもしれません…(^^;;;
蛍光灯は剥き出しの物を適度に配置、吊革はロングシート部分とドア付近のみの設置になっています。


床は茶系で、ご覧の通り座席との相性も良い感じです。フットラインなどはなく、シンプルな作り。
いや、これでいいんだよな・・・とは719系5000番台(山形線で走っている車両)から乗り継いだ者の弁(^^;;


ドアに参ります。両開きドアで、半自動ドア、ステップつきの東北方面標準仕様。座席がドアぎりぎりまで設けられているのはステップ部分にできるだけ立席スペースを作りたくないという考えがあったからかもしれません。貫通扉やトイレのドアなどは化粧板で覆われていたものの、この側扉だけは無塗装。無塗装が逆にドア!!!!というのをアピールしている気がします。
その上には鴨居部。意外にコンパクトな作りになっています。ドアコックの場所の関係で広告枠が若干短めになっているのが気になります。鴨居部は白にきちんと着色されています。


ステップが1段あり、そこにはヒーターが入っているということで「あつい!」とデカデカと書かれています(^^;;;
素材も床とは違うものが使われており、寒冷地対策もしっかり行われています。確かに乗る時はまだしも、降りるときにステップに雪が残っていて滑って転んでいたら痛いだけでは済まされない…ですよね。

 
最近関東地方でも増えてきている半自動ドアのボタン。左の画像が車外用、右の2枚が車内用です。
車外用は「ドア」と文字が赤く光っているときに、車内用は真ん中の画像のように「ドア」の部分が赤く点灯している時にボタンを使ってドアの開け閉めができます。

・・・誰ですか、「赤く点灯」にそそられてドリカムの未来予想図を想像した方は?
♪ブレーキランプ〜5回点滅 ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜 いや、この車両のドアマークは点滅しませんよ(^^;;;

ボタンそのものが少し硬いせいでしょうか、少し力を入れて押すような形になりますが、昔よりもだいぶ楽になりました。思えば東北地方でボタン式のドアスイッチを導入したのはこの車両が始めてなのではないでしょうか?


窓枠です。1段下降窓で、FRPにより窓枠がかたどられています。下辺に相当する部分は少し丸みを帯びたふくらみがあり、ほんのちょこっとした小物ぐらいであれば置けるように工夫されています。故にこの車両、テーブルがありません。日本一の駅弁激戦地でもある仙台を走る列車だけに、少し残念です。

 
えっと・・・ここからは怒涛の座席地獄です。この車両は417系程では無いにしろロングシートの種類が豊富です。
まずはそのロングシート、2人掛けからです。左の画像がドア〜クロスシート部分、右の画像がドア〜トイレの部分になります。他にも乗務員室背後が2人掛けのロングシートになります。
ロングシートはいずれもバケットタイプのものになっており、優先席以外は鮮やかな桃色のモケットを使用しています。
さて、パッと見どちらの席のほうがゆったりくつろげそうでしょうか…。きっと多くの方が左の画像を指名すると思います。そう、クロスシートの背面に肘掛が設けてあることから、この分のゆとりが生まれています。まさにデザインの勝利!です。一方で、狭さを少し感じてしまうのではないか、という部分が袖仕切り。どのような仕組みになっているかと言うと・・・


この通り、簡単な構造で半透明のプラ板が袖仕切りの上に設けられています。これは風除けのための板で、東北地区では417系が元祖になるのではないでしょうか。本来肘掛になる部分に板が止めてあるわけですが、寒いよりはいいかな、なんて気もします。見た目的にはあまり目立っていないのもポイントが高いです。701系のような1枚板の大型袖仕切りには到底マネできない見栄えです。


話しは座席に戻って、トイレの斜め手前にある3人掛けのロングシートです。
3人掛けはこの区画のみ、友達と自分、合わせて3人でお買い物〜なんてときにはささやかな争奪戦になりそうですね(^^;
また、画像向かって左側の袖仕切りには風除け板がありません。これもここのみの仕様です。
袖仕切りの内側、外側の素材の違いにもご注目下さい。


一方トイレが無いクモハのみの設置なのが5人掛けのロングシート。現在は両側とも優先席に指定されている関係で、かつてあった5人掛けの桃色モケットはなくなっています。
2人1組という座席が多い中、このブロックのロングシートは割と両側とも人に挟まれる機会が多いのではないでしょうか。ええ、その心は嬉しいのやら、嬉しくないのやら…。


優先席はトイレがついているクハの車両にも。こちらは2人掛けのコンパクトな仕様で、トイレが無いクモハの優先席よりも6席分減っています。車両によってここまで差をつけるのはどうなのかな…と思う次第。
座り心地はバケットながら硬くはなく、あまり底つき感のしない物だと思います。


今度はクロスシート編!この通りちょっと変わった配置の固定クロスシート。これが実は「集団見合い形」と呼ばれている配置方向です。
中央部分に「見合い」の代名詞にもなる4人1組のボックス席を作り、その周りにそれぞれ中央方向に向かってクロスシートを設置する形になります。

このような配置にすることによって、4人1組のいわゆる「ボックス席」を減らせるメリットがあります。ただ、結局固定式なのでクロスシートに座っている人数の半分が逆向きに座ることになり、それが露骨に表れてしまうという欠点もあります。

719系の他にも現在の長野電鉄2000系で見ることができる配置ですが、実に少数派の配置になります。

 
横から見るとこのような形です。少し左側を端折ってしまったのですが、中央部分に4人1組の「見合い中」のボックス席、その両側にそれぞれ中央に向かってクロスシートが並べなれています。3ドア車なのでタラコキューピーの如く怒涛の量が並んでいるわけではありませんが、実際に乗ってみると「あ、これかぁ!」なんて思っていただけるのではないでしょうか。

さて、実際座ってみると中央部分以外の一方向きのクロスシート、どうも足元が狭く感じます。これは台座の関係で、一応脚以外の部分は何も無く、足を伸ばせるようにはなっているのですが…どうも定員通り座ってしまうと台座に足がぶつかる格好で伸ばしきれなくなってしまいます。また、脚以外の部分は何も無いということは、クロスシートに座っている人の足には寒い風が吹き付けることも予想されます。ロングシートの部分での工夫がやや生かしきれていません。

 
クロスシート単体は背面のFRPのデザインが異なるものの、それ以外は全席共通のものになります。
右の画像では4人1組の部分で、背後にクロスシートがある座席の背面になりますが、ロングシートの肘掛に相当する部分が省略されています。・・・違いはそれくらいです(^^;;

大型の取っ手も備えたバケットシートで、モケットの色はロングシートと同じ、ヘッドレストも備えています。
座り心地は狭いことを除けばまずまずで、この手の座席で懸念される座面のヘタれ具合もあまり気になりません。ヘッドレストもある程度柔らかいです。1時間くらいの乗車時間であれば、スマートかつイケメンなクロスシートに身を委ねてみるのも悪くは無いと思いますよ。

このような立派なクロスシートが車内を席巻する反面、あれ、こんな所にもクロスシートが…

便所の隣のクロスシートでございます。なんだか背もたれと座面の関係がアンバランスに見える以上に、素朴な感じがひしひしと伝わってきます・・・。本来ロングシートであるべき部分とはいえ、もう少し立派なクロスシートにしてもらえなかったのでしょうか。ハズレくじ的印象を抱いてしまいました(^^;;。

全体的に好印象に感じた719系。この車両が東北の在来線のスタンダードカーであって欲しいと心から願います。








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