JR東日本  701系[岩手・青森地区]
 
  1993年、東北地区では全く新しい輸送形態が始まろうとしていました。ワンマン運転。短編成による電車運転。それを実現するために導入されたのは701系でした。もう登場してから15年が経過していますが、まだまだ新車の雰囲気を醸し出しています。
長距離旅行客の利用も多い東北本線にも701系が投入され、とりわけ一ノ関から青森までの普通列車はディーゼルカーを除いて全て701系に統一されました。「いきなりの変化」に戸惑いを感じた方も多かったようで、秋田地区共々かなりの論争を巻き起こしました。しかし、あれから15年が経過し、すっかり地域輸送のスタイルとして定着しています。
今回はいわて銀河鉄道、青い森鉄道の両脇にあたる岩手・青森地区で活躍する701系の模様をお届けします。
(取材・撮影  JR東北本線・浅虫温泉)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。2段窓と今風の設備のコラボレーションや幅広車体でないところがローカル感をなんとか出しているところで、まだまだシンプルかつ軽快な雰囲気が抜け切れていません。通勤電車は地域の足のみに従事するのであって、旅情を感じるアイテムでは無いと遠巻きに吠えているようにも思えます。

3ドアロングシートの車内は製造当初からあまり変わっていないものの、岩手・青森の701系も床や吊革などに細かな変化が生まれてきています。


乗務員室との仕切りです。画像はワンマン機器を収納した状態で、最後尾ではこの状態で運用する事が多いようです。また、先頭車はワンマン運転でなくてもワンマン機器を中央貫通扉の前に出して運転します。
半室構造の乗務員室は数編成つなげた時の利便性を考慮したもので、同時期に製造されたキハ110形でも採用されています。その隣には運賃表示器が常設されています。

 
車端部の様子です。左の画像は青森方車両の車端部、右の画像は八戸方車両の車端部になります。前者は車端部3人掛け全てが優先席扱いになっており、後者は車椅子スペースと便所がセットで配置されています。
画像では開いた状態になっていますが、どちらの車端部も無塗装の両開き扉が備わっています。関東圏の通勤電車では見かけなくなりつつある「両開き扉の貫通扉」ですが、ワンマン運転による車内の通り抜けを考慮してそのようなスタイルになっています。確かにその幅を.確保しながら車端部にクロスシートを置くのは少々無理がありそうです。

 
トイレと車椅子スペースです。トイレスペースは従来の近郊形電車よりも若干スマートになった形状です。国鉄時代に製造された近郊形電車と同じような装いですが、ドアとトイレの間に座席などは特に設けられていません。また、中のトイレも洋式になっています。
対する車椅子スペースは毎度お馴染み開放的な空間で、手すりが少ないもののヒーターは完全装備。冬でも快適に過ごせるよう手が加えられています。尤もスペースはあるものの乗り降りにはステップもあり難儀しそうです(^^;;
さて、ここを客席の一部として考えているかどうかは「くずもの入れ」の設置位置で判断できそうです。まさか何が入っているかわからないゴミ箱の隣に車椅子のお客様を長丁場乗せるなんてことはしないですよね……(^^;;

立席スペースとしては珍しく長めの吊革がセッティングされています。


ツルンとした天井は吹き出し口が目立たず、明るさに包まれています。通勤電車ほど開け閉めも無いので強力な吹き出し口は必要ないのでしょう。その脇には蛍光灯、さらにその下には吊革へと続きます。この701系が作られていた頃、首都圏の通勤電車は家電製品で言うところの「フレッシュグレー」っぽい色を至る所に展開させていましたが、この形式ではとにかく白を用いて明るさを全面に押し出しています。この考え方の地域差が興味深い今日この頃。


天井が明るいなら床も…とばかりに、茶系の床は適度な明るさを提供しています。近年は滑り止め防止の黄色いマットがドア付近に設置され、さらに鮮やかになっています。


ドア周りです。格好は首都圏の通勤電車と同じなのですが、半自動ドアという点、またステップがドア手前に設けられている事から実にこぢんまりとした佇まいになっています。製造メーカーのデザインでドアの左右には床から天井まで縦で繋がったパネルがありますが、このこぢんまりとした空間をより一層際だたせています。
鴨居部にはLED表示器は一切無く、甲高いドアチャイムのみの装備に留まっています。

 
半自動ドアなので車内外にドア開閉ボタンがつきます。左が車内、右が車外のボタンで、前者は画像のようにドアランプ点灯時に「あける」「しめる」動作ができ、後者はドアランプ点灯時に「あける」ことができます。
オーソドックスな形ですが、メーカーの製造工程上中央のドアはボタンユニットが横になっています。

それにしてもこのキャラクター、ゆるキャラ全盛期にしてかなり鋭い顔つきですが…(^^;;;


パッと見戸袋窓と側窓という組み合わせのような気がしますが、実は4枚とも側窓。かつての近郊形電車のデザインを活用した「うまい」デザインに仕上がっています。
窓の大きさに申し分は無いのですが、カーテンが無いのはイマイチ慣れません。


その下、座席は大きく分けて3種類。ドア〜ドア間は見事なロングシート12人掛けです。バケット形状は強調されているものの、座席下にヒーターがつき、スタンディングポールも乱立していないことからゆったりあったか過ごせそうです…関東の通勤電車と比べて(^^;;
朝晩は仕方がないとしても、閑散とした県境区間やデータイムまで着席区分がしっかり決められているのはいささか窮屈です。あと、いわゆる「端の席に寄りかかって座りたい」という心理に応える座席が少ないのもマイナスポイントではないでしょうか。座席の「切れ目」だけで構わないので、肘掛けを設けるのはいかがでしょうか?


同じドア〜ドア間12人掛けロングシートのうち、3人分優先席になったバージョンです。青森方先頭車のトイレ寄りの座席が該当します。この手の座席はいつも思うのですが、優先席の隣の席は携帯電話の電源を切らなくていいわけで(^^;; 果たしてペースメーカーをお持ちの方が安心できる優先席なのでしょうか(^^;;;

とにもかくにも、長距離旅行客にはこのロングシートで数時間の移動をして頂くことになります。長い人は東北本線黒磯から青森までありとあらゆる701系を乗り継ぐ旅になるわけで(^^;;; 己の我慢の限界を試すには最適な環境です。


八戸方車端部は3人掛けのロングシート。優先席として独立した区画になっており、こちらはペースメーカーの方も安心して利用できそうです。先ほどまでの12人掛けと比べると一気にこぢんまりとした区画になってしまいますが、これくらいの長さだったら座ったり立ったりする頻度も12人掛けよりも少ないわけで、適度に落ち着いて移動できそうです。
惜しむべき事として、秋田の701系には通常モケットの3人掛けロングシートが3両編成にありますが、岩手・青森の車両は全て2両編成のため、3人掛けは優先席しかありません…(^^;; なかなか気軽に乗れない3人掛け、やはり12人掛けのロングロングシートに慣れる必要があるようです。


首都圏ではお馴染みになってしまった大形の仕切り板は701系でも使われています。故に関東圏でこの袖仕切りを快適に使いこなせる猛者はこの車両でも快適に使いこなせますし、肩周り奥行きの寸足らずなところは首都圏と全く同じです。
これでドア開閉時に入り込む冷たい風をブロックします。もう少し高さがあれば顔までスッポリ覆えてパーフェクトだったのですが…首都圏の通勤電車との部品共通化を考えるとこの大きさしか無いのでしょう。




そして都会的な袖仕切りの手前に立つ整理券発行機。彼の一直線に立つ姿はツマラナイ通勤電車色に染まらない自己主張のようにも思えます。うん、凛々しい。

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