JR東日本  京葉線E331系
 
  試験用とはいえ、この車両の登場はやや衝撃的でした。
2006年に登場したこの車両が目指したモノはずばり「近未来の通勤電車」。車体長を短くして、一部を除いた中間車は連接台車を介してつなげ、2007年に10両編成相当として14両編成という謎の車両数で土曜・休日の運用に就くようになりました。
1編成のみ、それも試験要素満載のため当初より注目を集めていましたが、2007年の登場時は僅か数週間でリタイヤ、現実という衝撃的なパンチを受け、その後長い時間かけて修理をして、2008年の年末にカムバックしてきました。
現在も東京〜蘇我間を土曜日・休日のみ運転しており、京葉線を利用する方からはあまりの珍しさに車内の会話にこの車両の話題が加わることもあるなど、車両も人も慣れるには時間がかかりそうです。
(取材・撮影 JR京葉線・東京〜海浜幕張)

 

 

 


車内全景、まずは中間車からです。
この編成の特徴として、車内のバリエーションが大きく分けて3つになっています。それぞれ分けていくと・・・

(1)両先頭車(1・14号車)・・・セミクロス・ロング可変シート・従来のロングシートを搭載。車体長16.5m。
(2)7・8号車・・・従来のロングシートを搭載。車体長16.5m。
(3)それ以外の車両・・・上の画像のような新しい形状のロングシートを搭載。車体長13.4m。

(1)(2)は片側のみ連接台車、(3)は両側とも連接台車を履いています。いずれの車両も3ドアですが、ドア〜ドア間は各車両によって異なり、(3)に至ってはドア〜ドア間が5人掛けの区画と6人掛けの区画に二分されています。このチグハグな雰囲気が未来の通勤電車とは、なかなか斬新です。
こうして画像でいつものポジションから撮った画像を見ると車体長の短さを感じますが、実際乗ってみると車体長の短さを感じませんでした。それって鈍感・・・なのでしょうか(^^;;


(1)としてご紹介した先頭車の様子を、この形式一番注目のモード可変シートを手前に入れて撮ってみました。この撮影ポジションのちょっと後ろにはもう乗務員室の仕切りがあります。もう作り慣れた感じのしそうな車内ですが、横に若干幅が広いところ、先ほどのように座席形状が違うと、不思議と今まで見たことのない新鮮さを感じてしまいます。モード可変シートの部分は若干通路幅が狭いですが、ロングシートに座っていると、あるいは仕切りを見ていると、なんとなく「あ、いつもと違う」。それが従来の車体幅との4cmの差です。

 
ということで乗務員室との仕切りです。大きめの乗務員室との扉が印象的です。
さて、ここの空間活用はJR東日本らしさが伺えるほど素晴らしく、中途半端に座席を置かずに車椅子スペースを持ってきています。設備面についても乗務員室から目の届く範囲ということもさることながら、非常通報機や車椅子アシスト設備、果てに消化器まで完全装備で挑んでいます。あとは使いこなせるかどうか、ひとえにそこにかかっています。
ヒーターもしっかり装備しており、E231系近郊形からE531系、E223系へと続々波及しています。効くか効かないかはさておき、あれば嬉しい設備ですし、取り付け方がスマートでグーです。

スマートでないのは二段窓ですが…そのあたりは、また後ほどです。


1・7・8・14号車の車端部がこちらです。従来の形状の座席が3人掛け並んでいると言うこともあって、この部分は見慣れた風景と言っても過言ではないと思います。
妻窓はなく、その部分は広告枠、或いは肩から腕を逃がすための窪みが入っていますが、窪みはもう少し深い方が使い勝手がいいと思いますし、窪みをなくして肘掛けがあってもいいかなぁと、近未来の電車だけに色々注文をつけたくなってしまいます。
なお、8号車のみ通常モケットバージョンでの車端部になります。吊革も全て灰色のものになります。

 
7号車と8号車がつながった部分の車端部になります。左の画像が8号車、右の画像が7号車になります。通常の台車を載せるために京成あたりを思い浮かべそうな長い車端部になります。ちょっとこの空間活用は人がたまりやすい場所ができてしまっている、という均一的な感覚が無い意味で頂けないと思います。側窓も困ってしまったようで、細長い窓と通常の車端部用の窓と2つ用意されています。8号車はこの区画を優先席に6席分用意しましたが、もう片側は通常モケットという有様。試験走行なので、細かいところまでこだわれない!という主張が聞こえてきそうです。

 
7・8号車以外の中間車の車端部です。左が優先席の車端部、右の画像が通常モケットになります。モケットの色と貫通扉が引っ込んでいるか、出っ張っているかくらいが大きな違いで、黄色い優先席の吊革は…中吊りに沈んでいるように見えます。
連接台車の車端部というと、個人的には江ノ電、そして小田急ロマンスカーを思い浮かべます。どちらも円になった床が台車の上にあり、通路もそれなりに幅があるのですが、この車両は…見た感じそのような気配はありません。一つだけ同情するとしたら、その貫通扉、邪魔じゃないですか…?
・・・つけなければいけない、というハナシが重くのしかかる連接台車の上です。


天井周りです。見た限り通常の天井、通常の吊革、通常の空調といった感覚です。空調で試すことがなければ他の車両と合わせた方がコストがかからないわけで、なるほど納得の設備です。
一つ気になったのは、中間車のドア〜ドア間における蛍光灯の長さです。細かいところですが、通常の通勤電車のドア〜ドア間で使用されるサイズよりも短いサイズを用いています。恐らく209系などの車端部で使われている長さと同じでしょうか。ちょっと珍しいと思う要素が秘めているのもE331系ならではです。


床は灰色一色。ドアの前にパッと明るい黄色い滑り止めが貼られましたが、どうも灰色はパッとしない色和えです。

 
ドア周りです。左の画像は乗務員室直後の側ドア、右の画像は中間車の模様です。どちらもあまり左右に余裕がないことが伺えます。その分座席幅が拡大したと解釈すればうまく収まりそうです。素材は光沢の少ない素材になっており、ドア脇の手すりもツルツルピカピカした素材からスベスベした光沢の無い素材に切り替わっていました。ただ、ドアの方は若干汚れが目立ってしまっていました。
また、素材のせいかどうかはわかりませんが、ドアの開閉音が最近のE531系やE231系よりも若干小さいかな、という印象を受けました。改良が容易であるならば他系列への波及を期待したいところです。


左の画像、乗務員室背後のドアには車椅子の方が容易に乗り降りできるようなステップが設けられています。
そのための銀縁がやや目立っていますが、安全に乗り降りできるのであればそれに勝るモノはありません。ぜひベビーカーなどでも活用して頂きたいアイテムです。
・・・と、ハード面のバリアフリーは極めて進んでいますが、あとはハート面のバリアフリーですね。
余計なコトをつついて見ました。

 
ドア上の鴨居部分には液晶の画面が2つついています。これは全てのドア上に備わっており、京葉線ではもちろんこの車両だけの装備になります。左の画面では広告を、右の画面では列車情報を流しています。遅れ情報も流れていたことから、京葉線でも随時リアルタイムの情報を流せるようにしているのでしょう。ただ、ニュースや天気の配信は2009年3月現在まだのようで、その時点では「ちば」の静止画広告を必死に流し続けてました・・・。

右の画像は右の画面の表示例。14両の車体長はリアルに表しているように見えますが、実際はバラバラな印象が強いです。ドアが開く側のみの表示になるため、逆ばかり向いていると表示に気づかない乗降位置の画面でした。


窓枠です。車端部の2段窓、そしてドア〜ドア間も一部2段窓が混ざっています。うーん、このセンスは…換気の怠りは一大事を招くとはいえ、もう少しスマートな形にはならなかったのでしょうか…。 ここだけは前時代に戻ってしまった印象です。
カーテンがないのはJR東日本ではすっかりお馴染みになってしまいました。

 
ここからは怒濤過ぎる座席メッセ。まずは7・8号車以外の中間車で用いられている座席からです。
ドア〜ドア間は6人掛けの区画と5人掛けの区画があり、それぞれ側窓もスタンディングポールも違うモノをセットしているという気合いの入った設計になっています。
営業運転している車両では初めてのスタイルになる座席で、背もたれの出っ張りを少なくし、座面との一体感をより強くした見栄えにしています。旅館によくある座椅子の背もたれをちょっと低めにして、クッションを硬くしたような感じでしょうか。前よりも座席に奥深く腰掛けているような気がして、その分疲労度も・・・と想像を巡らせてしまいます。

 
3人掛け、そして優先席バージョンも取りそろえています。優先席バージョンのモケットはちょっと背もたれが間延びしてしまった感じがしていますね(^^;; あの格好でないと似合わないのかもしれません。
緑のモケットも山手線E231系500番台と同じ物を使っており、この形式オリジナルというわけではありません。ただ、背もたれの柄を座面にも使っている点が斬新です。

この座席が今後どのような展開をみせるのか、個人的には興味津々です。


各先頭車と7・8号車のドア〜ドア間の座席です。袖仕切りの形状が真新しいものの、209系から首都圏を席巻している「あの形状」のロングシートが搭載されています。2種類のロングシートを採用した理由はわかりませんが、先ほどのスタイルの座席の7人掛けバージョンを新たに一から作る手間が省けるという理由であればなんとなく納得しそうです。
先ほどの座席よりもメリハリがあり、殆ど平らな座面も奥行きを感じます。ただ、腰掛けた感覚は先ほどの座席よりも若干前に腰が出る感覚でしょうか、膝の窮屈さも含めてどっしり構えて座れるモノでは無いと改めて感じました。

 
7・8号車ではこの形状の6人掛けがスタンバイしています。既に山手線E231系500番台で6人掛けが出来上がっているため、それと同じモノを作れば簡単に出来上がります。右の画像は優先席バージョンで、なるほど背もたれと座面の分かれ目が腰の位置まで上がってきています。

 
3人掛けは優先席モケットが各先頭車と7・8号車で、緑のモケットが8号車にそれぞれあります。袖仕切りや車端部のスタイルが変わっても、座り心地は根本的には変わりません。消化器がちょっとだけ引っ込んだことによって若干居住しやすくなったかなぁなんて思います。足に当たることは変わらないんですけどね(^^;;;
背もたれの出っ張りが目立つのがこの座席の決定的な特徴になりますが、先ほどの中間車の座席と比較すると出っ張りぶりが実感できると思います。これも定員着席を徹底させる一つの方法。区分けをしっかりする先ほどの方法とは一長一短ありそうです。


お約束のセミクロスシートです。先頭車、乗務員室の後ろについている京葉線の隠れ名物です。
休日は画像のようなセミクロスシートの形態に、平日は画像のロングシート部分を折り畳み、クロスシート部分を端までそれぞれ移動させ、中央に3人掛けのロングシートを設け、オールロングシートで運用に就けるという画期的な座席です。

セミクロスシートとロングシートの可変シートを搭載した車両の営業運転は先に八高・川越線の209系3000番台で行われており、今回のE331系が2例目になります。その間JR東日本では205系仙石線でクロスシートとロングシートの可変シートが実用化されていますが、205系のケースはクロスシートとロングシートの組み合わせになるため、今回のケースとは若干異なります。


セミクロスシートモードではドアに近い側に2人掛けのロングシートが出来上がります。オールロングシートの時はクロスシートの後ろに隠れる形になりますが、座席下のヒーターはそのまま活かせる様になっています。
見た目通りの薄い直角の座席で、特に区分けなどはされていません。ちょっぴり座面が柔らかめになってはいるものの、まさに乗車時間の短い方向けの座席になっています。
個人的にはあまり気にならなかったのですが、この座席を収納するために背もたれと側壁の化粧板の間に隙間が若干できています。そのため、袖仕切りは隙間分しっかり延長されていますが、後ろの壁に寄っかかって寝ている人などはいつもと居心地が違うと思われます。


クロスシート部分です。こちらもほぼ垂直ながら背もたれ、座面とも気持ち角度がついているのが見て取れます。少しクッション性はありますが、この複雑なギミックの下ではこれが精一杯なのかもしれません。
窓側に白い樹脂で覆われた部分がありますが、これがオールロングシートの時に登場する「中央の3人掛けロングシート」になります。ちらほらモケットが見えていますので想像もし易いと思います。

窓側の肘掛けがないのが気になりますが、その収納台の上がちょうど役割を果たしているように思います。ただ、収納台の上をテーブルだと思い込み、ゴミをそのまま置いていく人を見かけましたが…そればっかりはマナーの問題でしょうか(^^;;

個人的に一番気になったのは通路側の席にヒーターがないことです。足元スルーではあまりに寒すぎるだけに、薄い温風器程度のモノさえ設置できないかと思いますが、創意工夫で改良して頂きたいところです。


この座席、この車両がロングシートになっている姿を見たことがないのですが、今後本格的に実用化される日は果たしてくるのでしょうか。ちょっとだけ未来の通勤電車に対して興味が沸いてきました。



 
おまけ。連接台車の上は、あまりに素っ気ない物でした(^^;;;;

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