JR東日本  横須賀・総武線快速E217系[ロングシート車]
 
  1994年、これまでとは全く異なる雰囲気の「近郊形電車」が産声を上げました。後のE231系、E233系と続くことになる「通勤形・近郊形同一設計思想」のきっかけにもなったE217系です。
2両のグリーン車、3両のセミクロスシート車以上に話題に上がったのが基本編成6両、増結編成4両のロングシート車でした。4ドアのロングシート車はもう通勤形電車そのもの。千葉・東京・神奈川と総武線・横須賀線を駆け巡り、時に長距離輸送も担うだけに様々な意見が出ましたが、特にクロスシートに改造されることはなく、すっかり根付いた、いや、根付かせた印象です。
このページではそんなE217系ロングシート車の車内をたっぷり取り上げます。
(取材・撮影 JR横須賀線・品川〜久里浜)

 

 

 


車内全景からです。見事なまでのロングシートはこの形式が「近郊形電車」であることをしばし忘れてしまうほどです。
久里浜方に増結される付属4両編成の全車両と、基本11両編成のうち1〜3・6〜8号車の6両がこの車内になります。
画像は初期に製造された車両で、窓枠がクロスシート車両と揃えた3枚窓の車両になっています。後年はE231系のような2枚窓を備えた車両が多くなっていきますが、今回はそれらの車両の模様も交え、ロングシート車として一緒にご紹介します。

初めてこの車両に乗った時には外観の格好良さにつられて中のグレーもクールに見えたのですが、日中の久里浜駅で陽に浴びている姿は幅広の車内幅も手伝ってどこかノンビリしているように感じます。


乗務員室との仕切りです。E231系では仕切り扉が右側に寄りましたが、E217系は登場時に非常口としての機能を備えていた事から、中央に仕切り扉を配置し、そのまま前面の扉を介して外に出られるよう工夫されています。後年非常口が必要なくなったことから前面の扉は開かないようになりましたが、この仕切りはE217系の最終装備までそのままでした。
その背後には立席を考慮したヒーターが置かれています。この配慮もこの形式からです。

 
車端部はバリエーションが豊富です。まずは中間車に使われているオーソドックスなタイプです。左の画像が通常のモケット、右の画像が優先席のモケットで、吊革も黄色い物に交換されています。貫通扉の有無も車端部によって異なったり、画像の通り消化器スペースの作り方も製造年や製造会社によって異なったりと、登場してからあまり年月の経っていない車両でも細かなバリエーションは一杯。まさにすぐに飽きそうに見えて飽きさせないつくりです。

妻窓、戸袋窓が無いのは209系などと同じです。

 
続いてトイレと車椅子スペースの組み合わせの車端部です。左の画像は11両編成の1号車、右の画像は4両編成の増1号車の車端部になります。元々11両編成の1号車も右の画像のトイレを設けていましたが、増備途中に「11両編成のうち1箇所に車椅子対応のトイレを設置」との方針転換がありました。その結果、右の画像のトイレがついた車両は4両編成の1両として従来の編成を離れ、11両編成には新たな車椅子対応トイレ付きの車両が設置されるようになりました。

ということで、他の車両にも車椅子スペースはありますが、車椅子で長距離移動をお考えの方は11両編成の久里浜方先頭車両が使い勝手良さそうです。
また、トイレの前は優先席が広がっていますが、他のロングシートよりも若干多めに席が用意されています。優先席の設置の試行錯誤っぷりが特徴的?だったE217系ですが、今も「あれ?」と思える部分の一つになっています。


付属4両編成の千葉方先頭車、すなわち増4号車は片側車椅子スペース、もう片側に座席という車端部になります。209系などでお馴染みのこの構成もE217系ではこの部分のみ、トイレとセットになっている車端部ばかり思い浮かべてしまうととても新鮮に映ります。
ここも優先席はドアの手前、7人掛けの座席に越境しています。吊革の交換は最近行われましたが、車椅子スペースやドア付近は従来の灰色の吊革を用いており、しっかり色分けしているのは芸が細かいです。

 
トイレです。左の画像が11両編成の1号車に備わった車椅子対応トイレ、右の画像が付属4両編成のトイレになります。ちょっと通路から膨らんだ姿が車椅子対応トイレの特徴にもなりますが、この「膨らみ」が決定打なのです(^^;
ドアを青く塗ってその存在をPRしている車椅子対応トイレと比較すると灰色づくめの従来サイズのトイレが目立たない印象を抱いてしまいますが、車内への大きな張り出しはやはり目立つ存在です。とはいえ、さらに目立たせるためにもこちらも試しにドアに色を塗るのはいかがでしょうか?

 
ここでも製造メーカーの差や地下区間を走る事が再認識できる車椅子スペース部分です。基本的な機能は車椅子対応トイレ脇の車椅子スペースも通常のトイレ脇の車椅子スペースも同じです。左の画像に写っている消化器は貫通扉の戸袋部分にあたらないためその位置にたまたま設けられた格好です。
車椅子対応トイレの張り出しがある分その脇の車椅子スペースは幅が狭まっています。混雑時は奥に置いた車椅子の出入りが大変そうですが、そこは声を掛けてカバーしていきたいところです。


天井周りです。所々ラインデリアが設けられており、その両脇には剥き出しの蛍光灯が設けられています。
ちょっと車内全体が暗く見えてしまいがちですが、決して蛍光灯の数が原因では無さそうです。


床も灰色一色。いったいこの車両はどこまで灰色にこだわるのでしょうか。明るさも暗さも中途半端なこの色合いはやがてJR東日本の通勤・近郊形で数多く見る事になります。

凝っていないことが悪いとまでは言いませんが、この車内なら黄色の滑り止めマットが映えそうです。

 
ドア周りは特徴的な部分をピックアップ、車椅子対応トイレの脇にあったドアを載せてみました。右の画像は鴨居部のLED表示器になります。鴨居部の造りも微妙に異なっており、大きくご紹介している方は左右のパネルの間にスッポリはまっている感じです。次の駅や停車中の駅を表示していくスタイルは「まもなく●●」表示が追加されたくらいでほとんど変わっていません。

ドアそのものは無塗装のもので、縦長の窓が印象的です。結構ガチャガチャ言うのが耳障りですが、最近の電車が静かになった分余計目立って聞こえるのかもしれません。


田浦駅といえばトンネルとトンネルの間に挟まれた駅ですが、11両編成の端の車両についてはこのようなステッカーが貼られており、隣の車両から降りるよう促されています。E217系…というよりもスーパーにありそうな不格好なドアを描いたステッカーです。北鎌倉もそうですが、諸事情により狭い敷地に無理矢理作った駅が窓越しの記憶に残るのも横須賀線ならではです。


初期の窓枠はセミクロスシート車に合わせてこのような二本桟のものでした。真ん中の広い部分で開け閉めできるようになっています。その後、ロングシート車は一本桟の側窓が主流になっていき、この窓割りはセミクロスシート車のみの設置となってしまいました。試行錯誤が見え隠れする部分でもあります。

あ、カーテンが無いので海に行く方は電車の中から日焼け防止クリームを…あ、そこまでしなくても大丈夫だと思いますが(^^;; 座っているとムシムシした暑さを感じる事になります。

 
ということで、ここから怒濤のロングシートワールドですが、すでにお馴染みのスタイルにお腹一杯の方も多いでしょう。ドア〜ドア間の画像を2枚並べてみましたが、違いは座席の後ろの窓…だけです(^^;;;

ロングシートはすべて片持ち式で、この頃はまだヒーターの角度も全然考慮されていませんでした。また、バケットシートになっていますが、それを感じさせない一体感のあるモケットもこの系列ならではの特徴です。


乗務員室背後のドア〜ドア間の座席については4人掛けとなりました。スタンディングポールは特になく、縦長の窓が座席の短さを外へと伝えています。乗務員室の拡大に伴い、この部分の座席が従来よりも少なくなってしまいましたが、もう利用客にはすっかり慣れてしまったでしょうか。


車端部の3人掛けです。画像は妻面に窪みのないタイプの座席周りとなります。窮屈な印象が否めませんが、実際座ってみるとやっぱり妻面側の席は…(^^;; スタンディングポールがなくてよかったです。

同じく車端部には3人掛けの優先席もスタンバイ。この座席は元々優先席として登場しています。一部の座席は上の通常のモケットから優先席柄に変更した座席もあり、袖仕切りすぐの部分にかつての紺色モケットが今も鮮やかに残っています。こういう模様なんだ、と思えば気にすることなくスルーしてしまいそうです(^^;;;


付属編成の千葉方先頭車にあるイレギュラーな優先席その1。車椅子スペースと3人掛けの優先席という車端部とセットになった2人分優先席、通常モケットは5人掛けという内容のドア〜ドア間7人掛けの座席です。
優先席でありながら優先席に非ずというのでしょうか、窓には優先席ステッカーは貼られていません。しかし、吊革は黄色くなっているので決して目立たないというわけではありません。

そして青と赤が組み合う事によって最もよくわかる一体的なデザインのモケット。E217系のためにデザインされたこのモケットがJR東日本全域に幅広く普及するとは正直驚きました。生みの親のE217系の存在も大きく見えるものです。
ちょっとストライプがずれていますが・・・(^^;;;


上記の逆バージョンはトイレが車端部にある先頭車に設置されています。かつてのようなクロスシートを優先席に指定する事がなくなってしまったためこの真っ赤な優先席が一番インパクトのある席になってしまいました。それでも鹿島アントラーズのサポーターが泣いて喜びそうな、大胆な色遣いです。
この区画は優先席ステッカーも、吊革ももちろん優先席仕様になっています。

さて、座り心地について言及してきませんでした。今更言うまでも無いのですが…
足の長さと腰の位置をかなり限定してくる硬いバケットシートという感想は覆そうにも膝裏の圧迫感が黙って証明してくれます。座面が幾分沈み込むだけでも印象はだいぶ違うと思うのですが…。
 
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