JR東日本  211系[セミクロスシート車]
 
  1985年、これまで長らく製造されてきた113系に代わって、全く新しい近郊形電車が登場しました。ステンレス車体とブラックフェイスが特徴の211系。宇都宮線や高崎線の前にまずは東海道線に投入されました。
東海道線の編成は基本編成は10両、増結編成は5両で組成されています。国鉄時代は前者はセミクロスシートの普通車とグリーン車を2両組み込み、後者はロングシート車で投入されていましたが、JR化後は基本編成も普通車はロングシートに変更されています。故に「211系=ロングシート車」という認識の方や、211系を見て「ロングシートかな?セミクロスシートかな??」とドキドキワナワナされた方も多いのではないでしょうか。

このコンテンツではセミクロスシート車の普通車を中心に取り上げます。
(取材・撮影 JR東海道本線・平塚〜小田原)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。3ドアセミクロスシート車で、車端部はロングシートを設けています。
パッケージとしては115系1000番台と殆ど変わりません。しかし、白色の化粧板と蘇芳色の座席モケットの両者が鮮やかで、窓枠やフラットな天井とともにこれまでの中距離電車のイメージを打破しています。
また、ロングシート車では通勤形よりも「壁」になる部分が多く目立ってしまい違和感を覚える窓配置も、セミクロスシート車では全く目立っていません。


乗務員室との仕切りです。近年機器箱が左のロングシート上の網棚部分に設けられた関係で少し圧迫感が出てしまいましたが、小さな正方形の窓が左右に一つずつ、そして貫通扉という仕切り壁は至ってシンプルで、ドアと仕切りの間に座席が入っていることから、あまり握り棒も多く設定されていません。
故に座っての前面展望は難しいところですが、これまでの115系1000番台などよりも窓が大きくなった点は少し喜べるのではないでしょうか。

宇都宮・高崎線の211系は貫通路を介した行き来が先頭車間でもできますが、東海道線の211系では基本編成と増結編成の間の行き来はできません。

 
車端部の様子です。まずは中間車の車端部から見てみます。左の画像は優先席の画像で、吊革がE233系と同じ縦長三角形の黄色い物に変更されています。右の画像は通常モケットの車端部です。
セミクロスシートの弱点としては立席スペースがとれないという点ですが、この211系では車端部をロングシートでセッティングし、ロングシート部分にも吊革を完備することによって立席スペースを確保しています。115系1000番台などで既に確立したスタイルですが、バケットシートを採用したことにより、さらに通勤仕様に近づいた印象があります。
貫通扉は妻面の白色よりも少しクリームがかった色を用いていますが、光の具合などではなく、意図的に少し色を変えて見た目差をつけているとのことです。


トイレのある先頭車は1号車・10号車どちらも該当しますが、車内構成はこの通りロングシートとクロスシートを織り交ぜ、トイレに出入りする客と視線が合わないよう配慮されています。ロングシートは左側が2人掛け、右側が3人掛けになっており、先頭車だけ優先席の数が少なくなってしまっています。また、クロスシート部分には吊革が無く、優先席部分の吊革を支える棒がスッと妻面まで伸びています。特に立席部分が狭いスペースになるので、クロスシート部分には吊革を設けないというルールが徹底されています。


トイレとの仕切りです。115系などでは見られた鏡がなくなってしまっています。登場時期はバブル真っ盛り、今では見られないくらい「バリバリに」化粧をされたバブリーな女性の乗客に「あれ、鏡は?」なんて問い詰められる…ことは多分無かったと思います(^^;;; ただ、トイレの扉は115系などと同じ灰色。ドアノブも含めて、この部分だけ時代の流れに取り残された印象は否めません。


天井です。フラットな天井は中央にラインデリア、その両脇に蛍光灯を配置しています。吊革は当初はロングシート部分のみの設置でしたが、その後ドア周りにも設置されています。
吊革の配置などの影響もあるかと思われますが、蛍光灯の配置がセミクロスシートに合わせて設けられているという近郊形電車ならではの特徴も、今ではすっかり有名になりました。


床です。ちょっとおとなしめの茶色一色の床は211系の車内には実にマッチしています。


ドア周りです。0番台なので半自動ドアのスイッチはありません。
あまりクローズアップされませんが、大きな鴨居部がなくなり、通勤電車同様鴨居部が内壁と同一面に収まったのも211系の特徴です。205系などと同じ仕様になっただけじゃないか!!と思われる方もいらっしゃるでしょうし、それに対して全く否定はしませんが…(^^;

窓を大きく取った扉は205系にはない醍醐味。戸袋窓とスッキリ同じ大きさで並んでいます。


窓枠です。
この形式からFRPの窓枠になり、1段下降窓となりました。東海道線の風光明媚な海景色も大きな窓で楽しめるようになりました。テーブルこそなくなってしまったものの、窓枠がFRPになったのでちょっとしたペットボトルくらいなら窓に置けるようになっています。ただ、下降窓の宿命でしょうか、すれ違うたびにバタンとすごい音を立ててしまいます。そこは今からでも遅くはないので改善して欲しいものです。

テーブル以外の設備、座席番号の割り当てプレートや帽子掛けなどは113系と使い勝手が同じ具合になるよう配慮されており、そこから登場時期の絶妙さをやんわりと感じ取ることができます。

 
ここからは怒濤の七夕座席祭りです。まずはロングシートからです。車端部の5人掛けは左の画像の通常モケットと右の画像の優先席仕様の2種類があります。
この形式から205系通勤電車でも採用されなかった通勤対策を施しています。それが「バケットシート」です。今のようにガッチガチに形を固める物ではなく、浅めの凸凹といわゆる縫いつけ「キルティング」を施して、やんわりと1人掛けの区画を明確に示しています。なぜ通勤電車の前に近郊形に施したのかはわかりませんが、この後登場する近郊形電車にもバケットシートが採用され続けることになります。

 
続きまして2人掛け仕様です。こちらは先頭車のみの設定で、左の画像は乗務員室背後、右の画像はトイレの手前で優先席仕様になっています。優先席仕様もまたバケットシートになっています。
座り心地はバケット形状が「ズポッ」とフィットする感覚は秀逸で、ちょっと横幅が狭いかなぁと思う点、クロスシートほどではないにしろ座面の沈み込みなどの「余裕」が老朽化によって失われていってしまっている点が残念でもあります。ただ、後者は2008年頃から行われているモケット更新の際に中の詰め物なども交換しているようで、晩年の103系のような「放置プレイ」にはなっていません。


3人掛けのロングシートも先頭車のみの設定になります。袖仕切りは205系同様化粧板とパイプの組み合わせですが、この座席左奥の袖仕切りについては立席の方に触れる可能性が少ないため、堂々と「肘掛け」として使うことが出来ます。ただ、この形式に限って言えばロングシートの「肘掛け」は他にもあるので、あまり珍しい物ではありません…(^^;;


その隣のクロスシートです。窓枠や妻面の関係でロングシート同様背もたれの低い物を設置しています。
元々は5人掛けのロングシートとして設置される部分ですが、便所の関係でこのような変則的なクロスシートになりました。115系などでしっかりクロスシートが設けられていたのとは対照的な空間の使い方で、車椅子スペースがなかったからこそ実現した空間の使い方でしょう。
足元が狭く、出入りの際にぶつからないよう肘掛けは斜めに設けられています。


ドア〜ドア間はセミクロスシートです。FRPでクロスシートの背面を覆っており、211系の斬新な「見せ場」でもあります。形状はそこだけではなくクロスシート部分の取っ手なども適宜115系のデザインから変更されています。
その背面、ロングシートのちょっと上に出っ張りがありますが、その部分が肘掛けの部分になります。肘掛けをさりげなくデザインする点は機能美そのもので、115系で抱えたロングシートの感覚的な「狭さ」を見事に解決しています。


ドアとクロスシートの間のロングシートです。隣がトイレ脇になっている2人掛けロングシートよりもゆとりがある点、この画角からも捉えることができるのではないでしょうか。

 
そしてクロスシートです。左の画像が中央の4人1組の座席ですが、こちらもFRPの形状が独立した座席のように見えます。右の画像は端の2人掛けです。
こちらもバケットシートになっていますが、ロングシートよりも背もたれが大きく、ヘッドレストに相当する部分にはビニールレザーが張られています。蘇芳色をベースに握り棒や肘掛けなどは焦げ茶で統一し、FRPの緩やかな形状とともに今まであまり国鉄形車両では見られなかった、斬新な色遣いをしています。

ロングシート同様近年は劣化が非常に目立ってしまっており、座面の底つき感は拭えませんでした。それでも製造当時の形状がしっかり練られた物だったのでしょう、E231系のような「腰周りが落ち着かない」などの違和感はなく、それとなく着席できる感じでした。

こちらもロングシートと同じタイミングでモケットの貼り替えとともに中の詰め物を見直しているようですが、まだ乗車したことがないだけに、メンテナンスが果たして吉と出るか、それとも… リニューアル車との出会いが楽しみです。


最後に余談ですが、幼稚園児の頃この座席が「顔」に見えたのは自分だけです。当時から病んでますね(^^;;

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