JR東日本  青梅線201系「四季彩」旧塗装
 
  2001年、突如青梅線に登場した「展望型電車」。アルファ号の成功を受けたのか、通勤電車としての名で売ってきたはずの201系4両を眺望に配慮した内装、外観にチェンジ、立川寄りの1号車から冬、夏、秋、冬をイメージする塗装を施された同車は後に「四季彩」と名づけられることになります。当初は青梅線のほかにも五日市線にも乗り入れていましたが、観光仕立ての列車故に混雑が災いして1年経たずに撤退、現在は青梅〜奥多摩間の土休日ローカル列車を中心に運用しています。
201系は新型車両との置き換えにより青梅線からの撤退が既に告知されていますが、四季彩については今後も残るということ。現在この塗装の四季彩は見られませんが、青梅線の青梅〜奥多摩間のイメージリーダーとしてこれからも君臨することでしょう。
(取材・撮影 JR青梅線/青梅〜奥多摩)

 

 

 

 
車内を覗く前に外観上の大きな特徴と小さな特徴。
まず左の画像ですが、手前中央の2段窓とその奥の窓で形状が異なります。これは多摩川が良く見える下り進行方向左側の側窓を交換したためで、交換後は幅2mの大きな大きな窓がポコッとはめこまれています。下り進行方向右側の窓は取り替えなかったために201系オリジナルの2段窓になっており、側面は「一粒で2度美味しい」仕様になっています。いざという時の換気機能のために残したのか、予算の都合かはこの際問わない事にしましょう(^^;;;
ということで、このページではここから先、便宜上下り進行方向左側を「川側」、右側を「山側」と呼ぶ事にします。
右の画像は側面の方向幕。四季彩ならではの遊び心で、ガラスに雪の結晶、紅葉、レンゲショウマ(花の1種。沿線の御岳山などで生息)、桜の花びらが貼ってあります。レンゲショウマの部分はかつてはひまわりだったのですが、こちらは丁寧に貼り替えられています。ちなみに冬は立川寄りの先頭車で1号車、以下秋が2号車、夏が3号車、そして奥多摩寄りの先頭車が4号車となります。

 
車内全景です。2段窓の方が山側になります。左の画像が1〜3号車、右の画像が4号車の車内になります。
シートバリエーションを増やしたい、でも座席定員を極力減らしたくないという思惑があったのでしょう、4号車はロングシートと川に向かって展望できる跳ね上げシートの組み合わせ、1〜3号車はロングシートとボックス席の組み合わせになります。
展望型電車ながらローカル運用や種車の関係上「アルファ号」のように大胆かつ多彩なシートアレンジでないのが残念ですが、オンシーズンの混み具合を考えるとある程度立席スペースを確保しなくてはならないという問題も抱えており、実にそのあたりのかけひきが難しいところです。

 
車端部です。左の画像が1〜3号車、右の画像が4号車になります。4号車には201系で唯一の車椅子スペースが設けられています。この部分は比較的種車の面影を強く残しており、川側の窓が交換されているとはいえ1〜3号車はどちらも両側ロングシートに落ち着いています。


3号車の車端部には「レンゲショウマ」という夏に咲く花の説明があります。
沿線住民である自分が知らなかったのは単なる救いようの無い頭の中の問題だけかもしれませんが(^^;; このような案内があるのと無いのとでは全然違います。もっと奥多摩ガイドを車内の掲示で充実させるのもいいかもしれません。


小さな小さな車椅子マークが見えます。4号車の車椅子スペース。ヒーターの関係で少々出っ張っていますが、川側のクロスシートや跳ね上がり席にテーブルがあることを考えれば「狭いテーブル」としても機能する設備かなぁ…という認識もできそうです。
ペットボトルくらいは余裕でおけそうです。

 
乗務員室との仕切り、左の画像が1号車、右の画像が4号車になります。
この部分は何も手が加えられていません。故に「前面」展望型電車四季彩という言葉はマル禁ワードのようで(^^;;;
種車に詰まれた保安機器などの関係で窓が拡大できなかったのでしょうか。はたまた青梅から奥多摩にかけてはトンネルが多い区間なので大きく窓を取ると運転に支障があるのでしょうか。いずれにしても少々残念ではあります。

余談ですが沿線住民的には宮ノ平と日向和田の間のトンネルも隠れ要チェックポイントです。明治期の「職人技」が垣間見られるトンネルだと思います。耐震補強云々なんて市議会で話題に上がったこともありましたが…(^^;;;;;


天井は4両共通。川側の吊革は撤去し、ドア付近や山側の吊革は全て残っています。
四季彩は吊り広告が一切無いため、この部分においても新鮮な感覚が堪能できます。吊り広告を頼むようなスポンサーがいないわけではなく、ジョイフルトレインとしてこの車両を走らせているためこのような状態になっているものと思われます。
さすがに四季彩に納税のお知らせとかパチンコの広告とかが入っていたらそれはそれで萎えますよね…。


床です。灰色に見えなくもないですが濃い目のグリーングレーといったかんじでしょうか、細かい模様が入った緑系統の色になっています。他の201系ではみられない色の床で全面張り替えられており、実に気持ち良いですね♪


ドア周りです。今回は1〜3号車、クロスシートに挟まれた部分のドアになります。
運用開始当初から「すきまに注意」ステッカーが貼られ、後に「ドアにちゅうい」ステッカーも加わりました。青梅線専用の201系4両と同じ仕様に揃えられていますが、JR東日本お馴染みの「駆け込み乗車」注意ステッカーが貼られていません。これもあまりに閑散としていて飛び乗る客がいないというわけではなく、駆け込み乗車注意ステッカーのウラには広告が貼られるため、止むを得ず貼っていないものかと思われます。
意外にクロスシートに挟まれたところでもドア周りのゆとりは確保されています。逆に戸袋窓とクロスシートの位置関係が微妙ですが、種車の関係で仕方がない…ですよね…(^^;;


川側の窓は大きくなりました。戸袋窓はそのままなので、まさに多摩川と奥多摩の山々の四季彩が大きな窓越しに楽しめるようになっています。ただ、側窓交換とともにロールカーテンも撤去されてしまいました。そのため着色ガラスが用いられており、用いられていない戸袋窓と事務室の壁の色がやや異なることが画像でもわかります。
この着色ガラスによって新緑の緑も若干緑分がプラスされた格好になってしまっています。これはいただけません。喝!!
展望型電車なのだからよりクリアでワイドな景色を楽しませてくれないと。サングラス越しに見る景色じゃないんだから。トロッコ列車のようにカーテンが無いのをデフォルトにして、もっとクリアな景色を見せて下さいというのは言いすぎかもしれませんが、もう少しリアルな景色にこだわって欲しいものです。


網棚も川側については交換になりました。かつての網棚がロングシートの袖仕切りと一体化されていたためで、サハ204や208など、6ドア車で使われている網棚を二つ並べています。


その網棚の下にはテーブルが。ヒーターやドアエンジン等座席下にあるものを種車から流用したためデッドスペースをテーブルとして活用した格好で、幅も広めに取られています。
さすがにこの大きさだと混雑してぎゅうぎゅう詰めになると真っ先にこのスペースの存在が叩かれるわけですが、それでもハイカーの大きなリュックを手元に置くには十分な広さであり実際手元に置けるという「安心さ」もあることから結構このスペースを活用している方もいるようです。よって決して100%無駄なスペースというわけではありません。


座席、まずは全ての車両でみられるロングシートからです。
背もたれのみ本格的にバケット化が行われており、モケットも紫のものに交換されています。座り心地は座面の柔らかさが種車同様良い具合に仕上がっていると思います。1人の時や空いている時はこちらの席でも良さそうですね。

さて、袖仕切りは透明の風除け板がついており、この透明さも「展望型電車」ならではの特徴でありますが、風除け板には各車両それぞれ季節を表したシンボルマークが印刷されています。
 
「冬」と「秋」。それぞれ1号車と2号車で雪の結晶と紅葉をデザイン。
 
そして「夏」と「春」です。・・・・・・あれれ、夏のデザインがレンゲショウマのイメージからだいぶかけ離れた花模様(^^;;;
この「夏」は元々「ひまわり」をイメージしたデザインで登場しており、レンゲショウマはその後ひまわりに代わってこの車両のシンボルになりました。いわばこの部分は「夏の名残り」なのですね。

・・・・・・聞こえてきませんか、森山直太郎とか、井上揚水とか・・・(^^;;;;;

 
3人掛け、通常バージョンと優先席バージョンです。通常バージョンは中間車2・3号車のみの設定です。
うまく種車を生かしつつ、着席定員も考えた座席ではないでしょうか。
なお、この車端部の座席については戸袋窓の上の風除け板がありません。これは戸袋窓に干渉して設置ができないためです。構造上仕方が無いのですが、風が直撃する優先席が四季彩でも健在。手や顔の肌でもって四季を感じられます(殴

通常バージョンのモケットは紫地に紺とペパーミントグリーンを散りばめたものになっています。紫地の柄が201系らしかぬ雰囲気を作り上げている一つのポイントにもなりますが、こともあろうに青梅や御嶽で走っている西東京バスのワンステップバスと若干似ている柄であり、沿線住民かつバス利用者の自分としては急速に親近感が沸いた記憶があります。
どーでもいい沿線情報パート2でした(^^;;;


続いて1〜3号車でみられるクロスシートです。豊田電車区などで見られる115系リニューアル車に搭載された物とフレームは同一で、ドア〜ドア間に2組ずつ設けられています。

 
中にぐいっと入っていきます。左の画像が中央の、右の画像が端の席になります。
やけにそそり立つ背もたれと、心なしか短めにも感じる座面のアンバランスさが妙な魅力を醸しだしています(^^; モケットはロングシート車と同一です。
この手のフレームの座席にはいずれも言えることなのですが、出っ張ったスタイルのヘッドレストはその恩恵に授かれる人を限ってしまう欠点があります。見た目は座り心地良さそうにみえるかもしれませんが、本当に「良い」と思える方はさほどいないと思われます。誰もが座る事を想定してナンボの世界なのですから、出っ張ったヘッドレストを搭載するなら少なくても稼動式にしなくっちゃ(^^;;なんて贅沢な事を言うのはタブーですか(^^;;;


ちなみに背の低い方がクロスシートとからロングシートの方をみるとこのような視界になります。
お互いの視線が気になってしまうのは構成上仕方が無いことです。

 
そして4号車の跳ね上がりシート。川側にドア〜ドア間4席、四季彩全体で12席のみの「プラチナシート」であります。
この4人という数字はボックス席の8人の半分。1編成全てこの座席だったらより悲惨な光景が拝めたことでしょう。
左の画像が座面側、右の画像が逆サイドになります。モケットはロングシートと同一です。


この座席、一旦座面を下ろすとすぐに勝手に戻ってしまいます。ということで膝でおさえて1枚。下の方に写っているのは自分です(^^; 座面はバケット化されており、背もたれ共々薄め硬め。乗車時間が通常30分くらいなので、川崎〜奥多摩ハイキングでなければ避ける必要は皆無です。

青梅から立川の方に行くと若干恥ずかしいですが、立川で駅弁買って、青梅まで包みを開くのを辛抱して、青梅からこの座席に座って新緑の季節の景色を堪能する休日も悪くは無いと思いますよ。新緑の休日は意外と空いていて眺めも良いです。いかがですか?

(以上ここまでの全画像…2005年5月撮影)

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