JR東日本  弥彦線115系
 
  新潟地区ではまだまだ主力の115系。1000番台が主力の中所々初期車も活躍しており、偶然生き残った車両もあれば、特定の目的が功を奏して廃車されない車両もいます。
今回取り上げる弥彦線の115系は写真右側の黄色と白のツートン車両です。主に弥彦線の吉田と弥彦の間を走っており、時には東三条や新潟にも顔を出します。この車両も初期車を改造しており、新潟地区の115系では唯一ワンマン化が施されています。そのため、置き換えるためには別の車両でワンマン化を施さなくてはいけないこともあり、今もなお「新潟地区の初期車代表」として君臨し続けています。
近年座席モケットが紺から貼り替えられ、ワンマン化の時点で既存の115系とかけ離れた部分ができてしまったものの、むしろ新潟地区唯一の「アレ」があることから個人的には産業遺産にして欲しいくらいです(^^;;
(取材・撮影 JR弥彦線・吉田〜弥彦)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。3ドアセミクロスシートの車内、115系らしさとそうでない部分がごちゃまぜになっている印象かと思いますが、やはり「115系に運賃箱」という姿が一番戸惑ってしまうのではないでしょうか。
トイレは設置されておらず、2両とも同じ車内構成で、編成単位で見ると中央部分に優先席が、両端に運賃箱が来るようになっています。故に弥彦線や越後線の「駅の時刻表」で「トイレはありません」の表記がついた車両はこの車両の2両編成が来る可能性が非常に高くなります。気軽に乗りやすい初期車第1位と呼んでしまいたいくらいです。


車端部です。ドアの奥は両側とも優先席のロングシートが3席ずつ、そして固定クロスシートが左右一組ずつという内容です。近年優先席の吊革が取り替えられ、(似合わなさすぎて)目立っています。
両先頭車とも電動車なので新潟で主力の1000番台ではドアから端までロングシートが主流なのですが、クロスシートが備わっているあたりに初期車の面影をチラリと感じます。


乗務員室との仕切りは面影が全くなく、完全にワンマン対応です。ドアの奥にあったロングシートは撤去され、シートヒーターが立席用に流用されています。その中央には運賃箱、さらに半室構造に改まった運転席。どう見ても一昔前のローカル私鉄状態です。
ただ、吊革や荷棚は立客用にしっかり残されており、座席の番号が振られたプレートもしっかり残っています。何かの全車指定席列車で立席部分の番号が振られないコトを願うばかりです(^^;;;
乗務員室の仕切りの撤去がちょっと中途半端ですが、弥彦線に乗る前に419系あたりを見てしまいますと、この手の改造は国鉄はお手の物だったのかなぁと勝手に思いこんでしまいます。あちらの中途半端さと加えたらまだ「カワイイ」方です。


ワンマン設備です。運賃箱と緑の箱の間にある白い棚っぽいモノは何の意味があるのでしょうか。
そしてこの車両、なぜか整理券発行機がありません(^^; 途中には無人駅もあり、どう申告すればいいのでしょうか。迷ったらドア上にある「ワンマン運転のご案内」なる長い文章を要チェック!

 
天井周りです。首都圏ではほとんど見なくなったAU712クーラーが健在で、天井をご覧のようにダクトが張り巡らせてあります。久々に見ますと「懐かしい」気持ちで一杯ですが、効きは相変わらずです(^^;;
そして冷房補完計画という位置づけでしょうか、扇風機もしっかり備わっています。新潟の115系は手動でオンオフができるようになっており、この車両も例外ではありません。


床は先頭部分を見ています。グレー一色で手堅くまとめられています。
段差が大きな駅が多く、地元の人は慣れたかもしれませんが、弥彦線の土日主役でもある観光客は「あら、こんなに段差が!」と驚かれる事も多そうな気がします。何かペタッとシールで「段差あり注意」などと書いてあげると親切かなぁと思います。

 
ドアは2種類掲載してみました。左の画像がノーマルのステンレス扉。そして右の画像はもはや風前の灯火になってしまった「塗りドア」鋼製の扉です。後者は新潟の115系どころか弥彦線115系の中でも数が圧倒的に少なく、中にはオールステンレスの編成があるくらいです。どちらも手動での開閉が可能で、お客さん的には少し軽いステンレスドアの方が使い勝手良さそうです。

 
色々と注意書きが書かれたステッカーや半自動ドアのお知らせプレートなどはまったく同じですが、ドアを開け閉めする取っ手はステンレスの方がシャープに作られており、鋼製の方は外側の取っ手が内側よりも下に設置されているコトが簡単にわかります。よその115系が廃車の一途を辿っていた昨今、なぜドア交換がされてこなかったかは不明ですが、塗りドアの美しさを後世に伝える目的があったのでしょうか。鋼製だけに(^^;;;


鴨居部分には長々とワンマン列車のご案内が書かれています。これ、最初から最後まで読むとちょっとした「新聞記事を読んだ感覚」に見舞われます。絵や図でわかりやすく示したご案内が増える中、時代の先駆者はあくまでも硬派です。


窓周りです。残念ながらテーブルや灰皿は撤去されてしまったものの、115系名物の丸みを帯びたシルエットの2段窓は健在。カーテンを収める戸袋カバーの緑にはしっかり座席番号プレートがついています。ちなみにこのカバーも貴重とのことらしいですが…私には今ひとつ伝わってきません。うーん、もっとその手のコトがわかる人間にならなくては…。

 
座席の構成は大きく分けて2つ。左の画像のようにドア〜ドア間のセミクロスシート、そして右の画像のようなロングシートとクロスシートの配置です。乗務員室背後以外は座席がなくなることはなく、115系ならではの配置を維持し続けています。数年前までは紺色のモケットだったわけで、もし仮に数年前に左の画像のようなショットを撮っていたら…まさに国鉄時代そのものを彷彿とさせたものでしょう。


ロングシート、まずはドア〜クロスシート間の2人掛けです。座席下のヒーターはカクカクしたもので、背もたれと座面の関係も直角に近いモノがあります。ただ、最近流行りの直角ロングシートとは異なるスプリングが効いた座り心地で、弥彦線くらいの乗車距離であれば全く問題はありません。
一部の袖仕切りにてちょっと凹んだ部分があるなど歴史を感じさせる一面もありますが、背もたれと座面の間、いわば背もたれのスペーサー部分に紺色のモケットが今もなお残っています。気になる方はチェックです。


優先席は車端部、ドアとクロスシートの間に3席設けられています。毎度お馴染み優先席柄も、座席下のヒーターの灰色が明るすぎるため、いつもよりも若干アンバランスに見えます。仕方がないといいますが、なんと言いますか…

 
クロスシートです。左の画像が端の部分、右の画像が中央の4人1組になります。ご覧の通り座面も奥行きが短く、そり立つような背もたれが実に印象的です。これが115系ならではのクロスシート、空いていれば狭いシートピッチも何のその。1000番台しか乗った事がない!という人はかなり少ないと思いますが、ぜひこのクロスシートで115系本来の醍醐味を味わって頂きたいところです。
所々座面が他の車両の物と入れ替わっている例をよく見ますが、取材した車両はそのような事はありませんでした。


端のクロスシートはより直角具合が伝わってきます(^^;;; ご多分に漏れずこのシートは車端部ということで座席幅がちょっと狭く、立席用の取っ手も省かれたいわば「S席」が用意されています。トイレが無い分、車端部だからと言って駅弁を食べようか、どうしようかと躊躇することはありません。でもやはり、この車両であれば車端部よりもドア〜ドア間に座りたいところです。


この優雅なカーブを描いた取っ手を座りながら眺めるというのも、この車両ならではの過ごし方です。遠くに見える運賃箱との組み合わせが複雑ですが、新潟ならではの車両として、この座席共々いつまでも走って欲しいなぁ。

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