JR東日本  701系5000番台
 
  1996年に登場した田沢湖線専用車両が701系5000番台です。秋田新幹線のイメージカラーでもあるピンクと701系ぽい紫の帯を巻いて盛岡駅の在来線ホームに佇む姿はテールランプがおでこに移ったことでかえって凛々しくなったように感じます。
標準軌を走る701系ということで東北本線には乗り入れないのですが、奥羽本線では701系どうしが同じ方向に走る姿…をそのうち見たいものです(^^;; 基本的には大曲〜盛岡の運用ですが、秋田まで回送や臨時列車で走ることがあるようです。
この車両には2011年9月、個人的な事ですがデジカメを買い替えてすぐに出会った車両です。デジカメの慣らしにどこにでもいて確実に撮れる…なんて思っていたら大間違い、最初で最後の…つづく。
(取材・撮影 JR田沢湖線・盛岡〜雫石)

 

 

 


車内全景です。まずこの配置で登場したことが世間をざわつかせたことでしょう。3ドアでクロスシートを千鳥配置、ロングシート主体からのまさかの変更です。また、今思えば秋田地区の701系でよくみられる緑色のモケットもまだあまり出回っていなかったことかと思います。このあたりの変化について、当時の鉄道ファンの新車ガイドでは特段触れられていませんでしたが、ロング・クロス論争に一石を投じたかったのでしょうか。この701系5000番台、そしてE127系100番台あたりから首都圏以外の近郊形電車ではセミクロスシートの車内を新型車両に採用する事例がじわじわ…と増えていくことになります。じれったいくらいじわじわ〜と(^^;;


車体断面が良くわかる乗務員室周りですが、半室構造の運転台を採用している点や運賃箱が真ん中にドカンと鎮座している点は他の701系とあまり変わりません。車体幅も同じです。助手席側に仕切りが増えて若干開放感が損なわれている点、そして仕切手前のドアステップが無いのは乗り降りがラクになって素敵な一面です。ただ、これはホームの嵩上げによって実現したステップレスで、車両側の努力はE721系までもう1ステップ待つことになります。

 
車端部は盛岡方、大曲方どちらの車両も優先席に指定されていました。優先席の吊革に携帯電話の電源OFFを喚起するステッカーが巻かれていた時代が懐かしくもありますが、吊革に比べて座席は…(^^;;
大曲方先頭車の車端部にはトイレと車椅子スペースが設置されています。どちらの車両も妻窓が無く、縦長の側窓のみで少し暗いようにも感じますが、手前の蛍光灯が節電の関係で抜かれていたことも大いに影響がありそうです。
妻面の装飾のあっさりした感じはかえって701系らしくないと思います。


トイレです。洋式トイレですがこの頃はまだ車椅子未対応で、いつものスペースにいつものように鎮座しています。お知らせ灯が低い位置かつ目立たない大きさで設置されているのがご愛敬です。これがあと2年遅かったらE127系100番台のように乗務員室に近いところに大きな引き戸を設けてものすごい存在感を発揮していたことでしょう。


車椅子スペースです。ヒーター、ごみ箱、握り棒、非常通報機とひととおり揃えた格好です。ごみ箱がこの位置というのがちょっと納得いかない節がありますが、このあたりの手慣れた感じがJR東日本らしい素敵なポイントです。
加えて登場時にはこのスペースに灰皿があったようで、画像では見にくいですが戸袋付近の壁には設置跡が残されています。これまでも701系では度々見かけましたが、この車両の登場は1996年。1997年3月には田沢湖線の運行再開と同時に普通・快速列車の禁煙化が行われていることから、この車両でタバコが吸えた人は果たしているのでしょうか…。


天井周りです。時節柄節電と銘打って蛍光灯を外していた時期に撮影しました。
中央に冷房の吹き出し口を2列、そしてクロスシート部分にも吊革が備わっている点が伺えます。蛍光灯の本数を天井の白さで補っている格好ですが、この白さは今も健在でしょうか。そう、この形式の天井とアレは白さが命なのです。


茶色一色の床です。秋田国体のキャラクターのような、はたまたプラレールの木のオブジェのような座席モケットと床の組み合わせに対し、「これまでの701系とは違う路線だ…」と開いた口が塞がらなかったのはここだけの話です。


ドア周りです。半自動ドアで701系らしい窓の大きいドアです。床から鴨居部にかけて左右それぞれ樹脂パーツが伸びている図は川崎重工っぽい仕上がりですが、この701系5000番台は半数近くの編成が土崎工場落成とのこと、ある意味地産地消です。
床がステップレスになりさらに209系っぽさが溢れ出ていますが、半自動ドアと湿布のパッケージのようなドアステッカーがいかにも701系らしくて好きです。甲高いドアチャイムもそのまま採用されています。

 
半自動ドアのスイッチです。ボタンを使って開閉するのは「ドア」のランプがついた時だけ。これまで走っていたディーゼルカーと比べるとボタンで簡単に開け閉めできる点も大きな違いの一つだったと言えるでしょう。
横長の車外のボタンは川崎重工製ではよく見かける仕様で、701系や209系3000番台の一部でも見られました。ボタンがあまり目立たない仕様は懐かしくも感じます。


窓周りです。701系らしくない1段下降窓と固定窓のタッグです。桟も白いので良く目立ちますが、荷棚から落ちた影が何かの注意喚起のシールに見えたのは私だけでしょうか。今の世の中であれば開く窓を大々的にアピールしそうですが、現地の皆さん、如何ですか?
カーテンはありません。

 
座席です。4人1組、ドア〜ドア間左右どちらか2組ずつ1両あたり4組の展開です。窓配置の関係でしょうか、テーブルがなかったり桟がボックスのほぼ真ん中に来ているあたりは残念な仕様ですが、青春18きっぷの旅を楽しまれる方やとある鉄道ライターの方が「やればできる」と手放しで喜んでいた記憶があります。
バケットタイプのクロスシートは足元を広くとっていますが、画像同様バケットに体を当てはめる作業になると窓側はちょっと狭さを感じると思います。そう、微妙な位置に窓の桟の出っ張り…(^^;; それでも無理なく座れる形状だったと記憶しています。

ちなみに、後年701系0番台で設置されたテーブルはこの車両にはありません。

 
ロングシート、まずはクロスシート周りからです。中間ドアに近い側は2人掛け、運転席や車端部に近い側は3人掛けのロングシートです。いずれも緑のモケットで、クロスシートでやっていた脚の茶色い塗装はロングシート部分では行っていません。
こちらもバケットタイプのロングシートですが、209系で採用しているような形状に特徴のあるものではなく、背もたれもストンと座面との接合面まで大人しく下りている形状です。狭い印象は拭えませんが、尻を前にズラしてもなんとかしてくれそうなロングシートです。

座席下にヒーターカバーを備えているのは701系のお約束であり、良心です。

 
クロスシートの反対側に並ぶのは12人掛けのロングシートです。JR四国の7000系や1000系でも採用された配置に近いものですが、JR東日本ではこの配置があまり流行ったとは言えない状態に落ち着いています。
右の画像はトイレや車椅子スペースの関係でドア〜ドア間の座席に優先席を設けた大曲方先頭車のロングシートです。登場当時のシルバーシートモケットですが、秋田新幹線開業のダイヤ改正でシルバーシートは優先席に…。灰皿同様シルバーシートの表記は鉄道趣味誌の紹介だけに終わった可能性があります。

 
優先席はドア〜ドア間と車端部の3人掛けもあります。2人掛けはありません。
この灰色のモケット、奇しくも今の優先席と同じような場所を想定して配置されていたことと、経年などを考慮して交換が後回しになっていたのでしょうか、偶然かもしれませんが私が優先席で優先席以外のモケットを目撃した最後の車両になりましたし、このモケットとは恥ずかしながら初対面でした。
国鉄の頃のシルバーシートとは趣が異なる灰色のモケット、盛岡と雫石の往復の体験だけだったのですが…それはもう違和感の塊でした。それだけ2011年にしてすっかりあのモケットが定着していたことになります。
さて、山手線E235系から始まった新しい文字付きの優先席モケットは定着までにどれくらいかかることやら…。
 
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