JR東日本  205系600番台「いろは」
 
  2018年4月、JRの大型キャンペーンに合わせて宇都宮線や日光線で活躍205系1本を観光列車に大胆改造、「いろは」と名づけられて走り始めました。ドアを塞いで2ドアにした姿を見て「車両のやり繰りが大変なのに改造しちゃって大丈夫だったのかしら…」とか「改造しやすい車両ならちょっと前までいたのに…」などと余計なところを思ってしまいますが、ロングシートの天下だった日光線に115系代走以来のクロスシート再来にガッツポーズを決めたのは取材班だけではないはず…願わくばあともう1編成追加改造して結成して欲しいものです、「いろはす」…(^^;;
全車自由席の普通列車ですが、運用や座席図はJR東日本のホームページでアップロードされています。朝晩は鹿沼止まりに充当されており、通勤・通学の足としても活躍しています。
(取材・撮影 JR日光線・宇都宮〜日光)

 

 

 


車内全景です。僅かにドア周りに205系らしさを感じますが、座席配置を見てビックリ。かつて同じコンセプトで改造された「四季彩」と照らし合わせてしまいそうですが、2ドア化したこともあり、ズラッと並ぶクロスシートは圧巻です。
日光行き進行方向右側に4人1組のクロスシート、左側に2人1組のクロスシートがそれぞれ4〜6組並ぶのが基本形ですが、先頭車はクロスシートの位置が左右非対称だったり、車椅子対応座席があったりするなど、なかなかカオスです(^^;
木目柄を採り入れて大型袖仕切りにした手前のロングシート区画を見ただけでもなかなか新鮮で、うーん、600番台導入の時にそこまでキレイにしてあげても良かったのに、なんて勝手に思ってしまいます。


当たり障りのない(^^; 乗務員室との仕切りです。ここは木目柄の化粧板に交換された点以外はあまり変化が見られません。夜の運用だったのでカーテンで視界が閉ざされていますが、いろははあくまでも側窓から眺望を愉しむ列車だということがここからも伺えます。否…側面もだいぶ怪しいですが(^^;;;
吊革の支持棒はこげ茶に塗られましたが、仕切り回りの手すりは銀色の無塗装のまま、ドア脇の手すりも同様に種車そのままです。直接触れるところかどうかで塗装するかしないかを分けているのかもしれません。

 
車端部は基本的に優先席になりました。中間車は2号車宇都宮寄り車端部は右の画像のとおり車椅子スペースが設置されましたが、それ以外の3か所は両側とも優先席です。貫通扉は側窓と同じ焦げ茶色のシートを貼っていますが、窓の大きさや取っ手はお馴染みのもの、種車のものをそのまま使っています。
少し座席の頭上が暗く感じるのは荷棚を交換しているからで、ドア〜ドア間で新たに荷棚が必要になったことで全交換となったのでしょう。スーツケースがなかなか載せにくい高さのままになっているのは偶然か、作戦か…(^^;; 勿論、グッジョブです。

 
宇都宮方先頭車にはトイレと車椅子スペースが設置されています。一方、日光方先頭車には「フリースペース」と題して掲示物で旅の気分を盛り上げるコーナーを展開しています。右の画像、向かって左側の台が気になりますが(^^;; なんか殺風景な感覚を抱くのは取材班だけでしょうか… スタンプとか、日光や餃子のガイドマップを置くだけでも違うと思うのですが…
車内で幅を利かせる広告は「日光東照宮の拝観にSuicaが使える」というお知らせ。Nikko is Japanの頃もそうでしたが、日光線、あなたはどうして広告の種類が乏しいの…(泣

 
車椅子スペースです。左の画像は中間車、右の画像は宇都宮方先頭車のものです。後者は前者にはない吊革がついている他、600番台の改造で車椅子スペースが設けられたせいか非常通報機のデザインが異なります。こうなってくるとサイゼリヤの間違い探しのような様相を呈しますが、妻面に貼られた広告枠下のステッカー中間車は車椅子、先頭車はベビーカーというあたりは頭脳指数100くらいでしょうか(^^;;


宇都宮方先頭車のトイレです。トイレのアイコンになりつつあるコバルトブルーのドアはそのままに、周りを木目調の化粧板ですこし彩ってみました、という感じでしょうか。

 
日光方先頭車のフリースペースを斜めで撮ってみました。立席用に手すりが設けられているものの、頭上の吊革は外され、焦げ茶色に塗装されています。側面の大きな額の中にはOLD MAP OF TOCHIGI とこの車両、日光駅のフォトスポットの紹介。前者は電車内で見るにはちょっと細かいかと思うし、後者はそれこそ顔はめパネルくらい置けばいいのに、と思うくらい絶妙なフォトスポットの数々を紹介しています。…日光駅界隈では片足上げて写真を撮るのがブームなんですか?ワタシャ本日も地に足がつきませんが…。


荷物棚は各車両1か所、床に置かれたものもあります。窓配置は特段いじっていませんが、荷棚の後ろの箱がやたら気になります(^^;; ちゃんと保護棒が充実しているので窓に突き破ることは無さそうです。
スーツケースの置き場がちゃんと明確になっているのは、特に観光地に向けて走る列車には嬉しいものです。輪行の方は先ほどの日光方先頭車のフリースペースが使えると思います。そうか!そのためのスペースか!と書きながら発見したのはナイショです。


天井周りです。吊革の支持棒は車端部から7人分のロングシート部分まで展開している格好で、撤去したドア周りの支持棒は撤去しています。天井にはその跡が残っていますが、荷棚を新しくしたこともあり、側面はあまり痕跡が残っていません。
木製の吊革はこの車両のウリとのことで、確かに触り心地はまずまずです。新鮮さを感じないのは思った以上に205系らしさが残っていることと、既に木製の吊革自体が世に出回っているからでしょうか…。


フローリングを模したシートを貼った床です。ドア周りには注意喚起も兼ねた黄色いシートを貼りつけています。

 
ドア周りです。2ドアしかないですが、片側に液晶ディスプレイによる案内、もう片側にもドアチャイムがついて鴨居部が従来の205系よりも大きくなりました。ドアは焦げ茶色に塗られてレトロな雰囲気を表現していますが、真ん中にはやはり注意喚起の黄色いテープを鮮やかに貼っています。ここも種車のドアをそのまま活用しています。
大型の袖仕切りを設けてもドアスイッチの位置はまずまず良いポジションをキープしています。

 
鴨居部です。液晶ディスプレイは小さい横長のもので、次駅案内をメインに案内を繰り出しますが、元々小さいのに字が細いのが難点で、正直デザインから再考を促したいレヴェルだと思います。折角方向幕が毛筆体のフォントなので、荒々しい毛筆体フォントでの案内を期待したいところです(^^;;
路線図も駅数多くないのに細くて小さい字で近づかないと読めません。


ドアボタンです。左から車内、車内点灯時、車外の順です。ここは使い慣れたデザインのボタンをそのまま踏襲しています。


側窓です。内側はロールカーテンを交換し、枠を木目調のアルミサッシに切り替えて見た目の雰囲気を高めています。ドアを埋めた区画の窓が目立たないように…との配慮からかもしれませんが、早くも目に付くのは偏った窓配置…(^^;
荷棚は立客の手すりを兼ねたようなデザインですが、目の前に座席がある以上、立客が握るのは難しそうです。JR東日本のホームページでも座席番号を振っていますが、ロングシート、クロスシート関係なく座席番号を振っているのがかつての国鉄近郊形電車っぽくて好きです。


ここからは怒涛の座席つかれ。まずは当たり障りのない中間車車端部の優先席からです(^^;;
基本的にこれまでの205系ロングシートを踏襲しており、着席区分などもありません。違いは大型袖仕切りくらいで、座ってしまえば205系の座り心地そのもの。逆に言えばこの車両に関していえば他の座席でも十分愉しめますョ…。


ドア〜ドア間、主に中間車で見られる7人掛けのロングシートです。ここ、種車の7人掛けをうまく利用しています。奥に見える袖仕切りはまさに種車のものに肘掛けをつけたもので、匠もビックリの改造っぷりに「なんということでしょう」さえ言い忘れてしまいそうです(^^;
モケットは「クラシックルビーブラウン」をベースに「キスゲ」の花模様を散らした、なかなか素敵な柄です。
 
荷物棚の隣のロングシートは4人掛けに袖仕切りを足したもの、そして日光方先頭車に1か所だけ潜んでいるのが3人掛けの通常モケットです…。諸々の調整役といった格好でしょうか、袖仕切りは幅が暑いものを備えています。テーブルがない「いろは」にあって飲み物くらいは置けそうな大きさですが、通常モケットでは1か所だけ…。
 
逆に4人掛けの優先席は日光方先頭車1か所だけ…。3人掛けの優先席は両先頭車にいます。手堅く改造しているなぁ…とみせて、実は苦労の絶えない設計だったのでは、と思わず同情したくなってしまいます。
幅広の袖仕切りはその下の蹴込み板がしっかりその部分まで伸びています。袖仕切りのスタイルとしては類似例に岡山電気軌道のKUROを思い浮かべてしまうくらい、なかなか見かけないスタイルです(^^;;


ドア〜ドア間のクロスシートです。画像は宇都宮方先頭車の配置で、ここだけ4人1組のクロスシートと2人1組のクロスシートが混ざっています。
クロスシートは全席床から3cmほどの段差をあがって座る格好になっています。この段差が思いの外気が付きにくいもので、勢いよく座ろうとしてつまづいてしまうケースには特に注意です。
ツルンとした背面、もう少し遊び心があると良かったのになぁ…。

 
クロスシートです。窓側のひじ掛けが嬉しいですね。左の画像が4人1組、右の画像は2人1組です。
フレーム自体は同じJR東日本の「おいこっと」などでも見られるタイプです。モケットに紛れていますが着席区分が座面、背もたれとも縫い付けられています。
背もたれが切り立っている感じが画像からも伝わりますが、奥に腰かけるとちょっと狭く感じるかなぁと思います。ただ、座面が程良く沈み込むタイプで、特に2人1組の左右に余裕がある空間はなかなかです。その2人1組のクロスシートは座面下のヒーターがちょっと近いのが気になります。

 
さてこのクロスシート、窓枠と座席がピッタリ合った区画はドア撤去跡の左右二区画になります。それ以外は大体片側が壁…種車の窓配置を調整することは難しいとはいえ、結構思い切った配置です(^^;
画像は車椅子対応区画で、宇都宮方先頭車1区画のみの設置になります。ベルトでしっかり固定できるほか、通路側の肘掛けを跳ね上げることができます。車椅子を設置した時の出入りも考えれば、跳ね上げの肘掛けが両側についているのは嬉しいものです。床の段差は車椅子の固定には特段影響ないかと思います。


クロスシートの手すりも木製です。このぬくもりについつい「日光杉」の焼印を探すしてしまうのは向こう側を走るスカイツリートレインの影響です(^^;;
この手すり、上半分は握りやすそうですが下半分はちょっと握りにくそうです。吊革の無い区画になるだけに、イマイチ…。
 
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