JR東海  キハ48形[ワンマン車]
 
  全国各地で見られるこのスタイル。でもJR東海の塗装はなかなか洗練されていると思うのです。オレンジと緑はもうずっと使われているのに、アイボリーの美しさにただただ惹かれる次第。とはいえ、同じ美白の「ワイドビューひだ」とは違い、こちらはまったり、コトコト進みます。
高山本線、太多線と紀勢本線を中心に活躍が続くキハ48形。岐阜口での通勤輸送に加えて観光シーズンはワイドビューひだの救済かの如く観光客で賑わう列車もありますが、ワンマン運転の2両編成が基本スタイル。扉が端に寄っているキハ48形はワンマン運転には最適で、JR東海ではキハ47形が少数派になってしまうのも頷けます。ただ、今後は武豊線の電化とともに置き換えが予定されており、この姿が見られるのもあと少し。他社よりも一足早くいなくなるキハ48。乗るなら今のうちです。
(取材・撮影 JR高山本線・猪谷〜焼石)

 

 

 


車内全景です。ワンマン化、冷房化…色々と手を加えていますが、ベースは国鉄時代の車内そのもの。2ドアセミクロスシートの車内はこれぞローカル線!といった雰囲気満載です。紺色のモケットにヘッドレストカバーのおもてなしが嬉しいですが、国鉄からJR東海に移った車両のクロスシート、例えば115系や165系にもカバーがかけられていたんだっけ・・・と早くも思い出話に花が咲きそうです。
JR東海になってから作られた車両もシンプルでビジネスライクな雰囲気が全体的に伝わってきますが、この車両はそれに加えて質素な印象で、車内づくりの一つの流れを辿れそうな感じです。


乗務員室との仕切りです。従来からあった仕切りに運賃箱や運賃表示機、仕切り窓、ドアボタンを追加しています。そのうち運賃箱は代替わりしており、落ち着いた色に整っています。
運賃箱の取り回し用のプレートが床に貼られています。JR東海の印象として、あまりこういう部分を見せないことが多いので改造なので仕方が無いとはいえちょっと意外な感じです。
仕切り窓の増設もなかなか思い切ったことをやっている感じですが、JR東海では113系や115系でもやっていたので「当たり前の改造」という位置づけだったのではないでしょうか。


トイレがついているのは岐阜方の車両、こちらは猪谷方の車両の妻面です。
元々デッキが無く、ドアのすぐ脇までロングシートが設置されている車内ですが、蛍光灯の配置を見ていると今すぐにでもデッキが作れそうな感じで、容易な設計変更、あるいは部材の共通化ができる点が全国をカバーしていた国鉄ならではの発想です。
整理券発行機は消火器の上にあります。上手な空間の使い方です。


岐阜方の車両は奥からドア・トイレ・ロングシートの順に展開しています。ここもドアを車端部に設けるための構成で、デッキと壁で分けても問題ない具合です。トイレの脇には立席スペースが展開しています。
この区画のうち、ロングシート部分は優先席に指定されていますが、特にステッカー以外の区別はつけていません。遠くから見るとなかなか区別しにくい部分もありますが、逆に言えば近年JR東海でも見られる優先席のモケットやつり革の時に派手な色にすっかり慣れてしまった感じもあります。

 
トイレとトイレ脇の立席スペースです。立席スペースは昔から変わらない姿のはずですが、床の貼り方があたかも座席があったかのような重ね張りになっています。国鉄時代は車椅子スペースというよりもトイレから出た人と視線が合わないようにするとか、トイレがある分の立席スペース確保といった意味合いが強かったのではないでしょうか。
そのトイレは引き戸で車内中央から出入りするスタイル。これは東北地方で走っているデッキつきの寒冷地仕様と同じスタイルで、北海道のキハ40形のようにデッキから直接出入りできるスタイルではありません。確かにこの方がトイレに入った後の動線を広く確保できます。


天井です。外から見ると冷房の存在になかなか気が付きにくいですが、車内ところどころに冷房が大きく載っています。扇風機と通風孔は中央に、その両側を必要最低限の数で蛍光灯が配置されており、このあたりは特に手は加えられていません。
 
冷房は大きな吹き出し口が車内に4ヶ所設置されています。JR西日本などでも見られるスタイルで、その部分の荷棚は高さの関係で使えません。右の画像は扇風機ですが…JNRの文字がキレイに消えています。えっと、何かお気に召さない事情でもあったのでしょうか?

 
ドア周りです。JRになってから半自動ドアのボタンが車内外につきました。右の画像の左側が車内側のドアボタンですが、ちょっとこの車内では目立たな過ぎ、かつ色がホームセンターで売っている塩ビ管に見えて仕方がありません(^^;; あと、ちょっと位置が高いですね…。ワンマン化ということでトイレの死角をミラーでフォローしていますが、ドア自体は昔から変わらず、ステップもそのままです。強いて言うならドア窓のゴムの色が変わったのとステッカーくらいでしょうか。質素な雰囲気をより一層出しています。


窓は下段が開かないようになっています。高山本線の場合は水面すれすれに見える場所を走ることもあるのでこの方が安心感があります(^^;; 帽子掛け、扇風機スイッチも完備しています。


座席です。ドア〜ドア間はクロスシートを間に挟んでロングシートとクロスシートのコラボです。
冒頭でお話した通りモケットやフレームは国鉄時代そのまま、背面の化粧板は灰皿の跡まで残っている有様です。見た目ヘッドレストカバーが気持ちいいですが、カバーをつけたところで座り心地には影響してきません。
クロスシートは全て4人1組で左右7組ずつ、半端なスペースはロングシートで調整しています。
 
クロスシートです。右の画像は端の席です。ワイドビューひだの指定席を諦めて普通列車で観光する人には正直しんどい座席にはなります。とはいえ、足元の狭さ以外は案外長距離乗っても疲れないのが座面と背もたれの絶妙なバランスが成せる業でもあります。ただ、座席周りの環境がイマイチで、足元だけでなく窓周りのテーブルが撤去されている点も納得いきません。窓側の肘掛けが省略されているのは元々なので仕方が無いですが、定員通り座って高山駅の駅弁を食べるとなると狭さが……。


トイレとクロスシートの間に潜んだロングシートです。妙な位置に袖仕切りがありますが、ここをクロスシートで使っているような肘掛にすれば少しは居心地が違っていたかもしれません。それにしても左脇の空間があまりにも謎です。もう少し座席を伸ばせばもう少しゆったり座れるし、肘掛け分くらいの空間は作れたような気がしますが…定員分の幅しか座席を作らない。それが、マナー。


反対側も同じ幅だけロングシートが展開しています。こっちももう少し幅を広げれば余裕ができて座りやすかったはずですが…今となっては仕方が無いですね。窓枠の上を見ると律儀に座席番号まで一人分ずつ振られています。
座席の下は片持ち式にも負けないガランとした空間がありますが、一応その奥の吹き出し口から温風が出るようになっています。でも正直、冬はちょっと風が通ると寒くなりませんか?

 
その点、ドアのすぐ脇の座席下には一応風が入らないような板が入っています。これは製造当初からあるもので、裏返せばロングシートも製造当初からあまり手が入っていないことになります…。左の画像は乗務員室後ろの座席、右の画像はトイレが無い車端部の座席です。
座席よりも後ろの窓枠や案内図の方が適宜更新されている、ちょっとした懐かしさを求めるには最適の環境がここに整っています。…といえば聞こえはいいものの、岐阜駅で東海道線から乗り換えた時に新車とのあまりのギャップについついダラダラと座ってしまいそうです…。
 
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