JR東海  313系5000番台
 
  2006年8月、これまで短編成で混雑著しかった名古屋地区の東海道線看板列車「新快速」「特別快速」に新型車両が登場しました。これまでの4両編成から6両編成へと編成を伸ばし、快適性をさらに増した新型車両の正体は・・・利用客の皆さんならまずご存じの顔、313系でした(^^;;;
新たに5000番台と区分された今回の増備車は前回の増備から年数が経っているということもあり、ベースは従来の313系を踏襲しつつも様々な部分で変更や設備面の追加が行われています。外観のLED表示器もその一つで、フルカラーの表示器から映り出される「特別快速」のフォントにいかにもJR東海らしいこだわりを強く感じました。
東海道本線の浜松から米原を中心に活躍しており、早朝、深夜には普通列車としても登場します。
(取材・撮影  JR東海道本線・岐阜〜関ヶ原)

 

 

 


車内全景です。3ドア転換クロスシート、全ての座席の背もたれが転換できるようになりました!!・・・という謳い文句に背くような座席配置時の画像を載せてみました(^^;;
落ち着いた灰色をベースに鮮やかな青色を散りばめた色合いは313系0番台や300番台と足並みを揃えています。そして313系として足並みを揃えたいうよりもJR東海のテイストを何のためらいもなくそのまま採用したような感覚でしょうか。大袈裟かもしれませんが、700系新幹線の普通車にも通ずるものを感じます。

・・・でも、新車としての新鮮味を考えるとちょっと勿体ない考え方かな、なんて思ってしまう自分がいます。

 
若干アイポイントが異なってしまいましたが、車端部の様子です。ここも座席の形態が違うくらいで、目新しさは特に感じません。左の画像が優先席の指定がされている車端部、右の画像が通常の車端部になります。
車端部に近い側窓のみ2段になっており、上段が開いて換気を行えるようになっています。

イッポウ大きく変わったのが米原方先頭車に設けられた車椅子スペースと車椅子対応のトイレ。2006年以降増備されている全ての313系にあてはまるのですが、トイレが大型化され、トイレ脇の座席がなくなってしまいました。従って5000番台では0番台や300番台にあった1人掛けの固定座席はありません。その撤去分の座席を6両編成への両数拡大で補っている・・・と前向きに捉えて良いか悪いかはわかりませんが、各編成1箇所しかなかった座席を作らなくなった分座席製造費は下がったのではないでしょうか。

 
緩やかなカーブを描いたトイレと、ヒーターも完備した車椅子スペースです。トイレの壁は圧迫感は感じるものの、思ったよりも張り出しが少ないかな・・・という印象です。コーナーに設けられた消化器収納スペースがオシャレです。
車椅子スペースは非常通報機が2つ設けられており、ちょっと低すぎるような気がしますが車椅子の方の押しやすさも考えられています。なお、ドア脇のボタンは半自動ドアのスイッチではなく、それも非常通報機なのでお間違えの無きよう・・・(^^;;;;


乗務員室との仕切りも取り立てて目新しい部分はありません。ワンマン運転は行わないので、随分すっきりとした印象を持たせてくれます。一段引っ込んだ乗務員室への扉、どこかで見た記憶があるなぁ・・・と思っていたら混んでいた「ムーンライトながら」の373系が記憶の中からぼわっと登場しました。でも、この引っ込みも運賃箱を出し入れできそうな奥行きになっており、ワンマン運転を意識している節があるような気がします。標準車両という位置づけが垣間見られる部分の一つかもしれません。


天井です。ラインデリアの脇に青のアクセント、そして蛍光灯があります。吊革の丸い取っ手は他の車両との互換性を意識したのでしょうか。個性的な吊革が鉄道業界で軒並み登場する中、いつまで丸い姿で作り続けるのか、興味津々です。


床です。グレーをベースにした模様柄で、中央の通路を明るめに、両端を暗めにしています。貫通扉も色を塗り分けていることから、車内全体に渡って真ん中に一本ぐいっと線を引っ張ったような感覚になります。


ドア周りです。またもちょっと意地悪して片側車端部、片側消化器入れという区画を撮ってみました。今回の転換クロスシート配置によって今まで十分確保されていたドア脇のスペースがかなり狭まりました。特に車端部にはその傾向が顕著に表れています。そのため、混雑時間帯ではドア脇にお客さんがたまってしまうとドア幅を実質的に狭めてしまう恐れがあり、結果的に遅延へと結びついてしまうことが考えられます。快適さを求める上での犠牲はどこかにつきまとってしまうもので、今回はこの部分で目をつぶったのかな・・・と思われます。こればかりは「編成長大化でガッチリ解決!」という考え方では破綻してしまう恐れがありますし・・・。

LED表示器もそのまま以前と同じ。始発駅などでは真ん中の扉以外を締め切ってしまう機能もあり、その分半自動ドアの機能は省略されています。鴨居部下に貼る部分の広告枠がいっぱいいっぱいな状況を見てしまうと、もう少しドア窓を小さくして影にならない部分に広告を貼って欲しい・・・と広告主でもないのに言いたくなります(^^;;


さりげない帽子掛けが素敵な側窓です。洗練されたイメージが印象に残る車内だからこそ、側窓に貼られた広告が虚しく映ります・・・。

 
座席です。ドア〜ドア間の座席から見ています。これまでは端の席は背もたれが動かず、ドアの立客との分離役も果たしていました。そのため進行方向と逆向きに座らざるを得なかったり、4人掛けになってしまわざるを得ない状態になってしまっていました。そこで、今回の新型車両では思い切って5列という座席配置はそのままに衝立を別途設けて、全ての座席を転換できるようにしました。これで強制的に進行方向と逆向きに座ることはありません。自分は単純なのでこれだけで「スゲー」と思ってしまうわけですが、気になるのは衝立〜座席の足元がどれくらい広く確保されているか、これはまた後ほど見てみようと思います。

中間車の衝立のなかには消化器収納箱を兼ね備えた物もあります。


こちらは車端部の転換クロスシート。衝立は若干幅が狭い物を使用しています。かつては4人1組の固定クロスシートが使用されており、立客スペースが確保しやすい区画だったのですが、現在はこのように座席部分の足元確保のためにかなりいっぱいいっぱいなスペースになっています(^^;;

 
座席・・・ですが、車端部の固定クロスシートがなくなり、車椅子対応の座席もなくなったため、こちら1種類だけとなってしまいました。優先席との区別も特になく、非常に単純な構成になってしまいました(^^;; ヘッドレスト部分だけさりげなく角度が変わるクロスシートは相変わらず背もたれ、座面とも直線的な印象を感じます。また、個人的にはもう少し肘掛けが高くてもいいかなぁという気がします。

それにしても、端に固定座席があった頃はあまり感じなかったのですが、随分洗練された、無駄な部分を一切感じない座席なんだなぁと思います。


最後に足元チェック。いわゆる床の部分はそれ相応の空間があり、向かい合わせにしていない状態で座っていてもさほど狭さは感じさせないと思いますが、乗り降りの際に窓側の席に出たり入ったりする時や向かい合わせの時はかなり狭さを感じるような気がしました。その狭さを克服するためでしょうか、衝立や座席の下の部分は足が伸ばせる事を意識するかのようにちょっとした空間がありますが、衝立の部分の空間は風の通り抜けや立客との干渉などを考えるとかえって居住性を悪くしてしまっているような気がしてなりません。

デザインセンスは新鮮味が全くなくても、機能面から快適さへの追求は怠らない新快速シリーズ。次に登場する車両ではどんな新しい機能を見せてくれるか、期待の持てる一歩を踏み出せていると思います。

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