JR東海  315系
 
  JR東海の在来線電車としては、久々のニューフェイス登場となりました。2022年、中央線に8両固定編成で投入されたのが315系です。正面の丸いヘッドライト・テールライトが可愛いなぁと惚れ惚れする反面、側面の窓周りの帯を見て「セントラル…もとい、銭取られるライナーの再来か?!」と身構えてしまったのは私だけでは無い…と思います。尤もプレスリリースの段階ではセントラルライナーとは別の視点で懸念を気にしていた方もちらり…その懸念は払拭されましたでしょうか…?
中央線の名古屋〜中津川間の211系、313系は全て315系の8両編成で置き換えとなりました。今後、関西線や静岡地区の東海道線でも走るそうで…313系ほどではないにしても、JR東海の幅広い区間でこの形式とばったり出会うことが多くなりそうです。
(取材・撮影 JR中央線・名古屋〜高蔵寺)

 

 

 


車内全景です。3ドアロングシートの車内は実に明るく、313系で展開されていた落ち着いた青とは一線を画す、濃くて鮮やかな青色が視界に飛び込みます。初めて乗った時に座席、そして床に見られるように模様をよりハッキリクッキリ見せている点が印象に残りましたが、見れば見るほどポップな車内だなぁ…という感想を抱きました。路線変更のようにも感じますが、それはさすがに言い過ぎでしょうか。そうそう、冷房の吹出し口の変化、そして線路と垂直方向の吊革の設置も見逃せません。

 
乗務員室との仕切りです。313系ではこの仕切りの窓は扉部分も含めて端から端まで…という表現が合う配置でした。315系では真ん中の2枚に集約されています。それでも扉の位置や窓の配置などは313系に合わせているようで、あまり形式ごとに変化があると困る…というような乗務員さんの気持ちが反映された結果だとしたら素晴らしいですが、どうも塞がれたような気持ちが先行してしまいます…。
消火器のピクトグラムの上には防犯カメラが備わっています。側扉を挟んで手前側、車椅子スペースがある車両は中津川方先頭車、優先席がある車両は名古屋方の先頭車になります。

 
車端部です。中間車の中津川方は左の画像のとおり車椅子スペースを片側に設けています。右の画像は各車両の名古屋方車端部で、床の色を反映してか、化粧板まで薄くオレンジに染まっているように見えます(^^;; 8両固定編成で貫通扉の縦長の窓から隣の車両が見渡せる利点は313系と同じですが、周りの化粧板に合わせて白い貫通扉になりました。
また、消火器のカバーがなくなり妻面低い位置にスタンバイしています。313系のうち、静岡地区のロングシート車はカバーつきだったものの「東武か?!」とツッコミを入れたくなるような、背もたれの上、側窓と妻面の交差するあたりの設置だったので、少し取り出しやすい位置に移動したことになります。
防犯カメラはこの車端部にも備わっています。


名古屋方先頭車の車端部にはトイレ、車椅子スペースが備わっています。このあたりの設備には抜かりありません。車椅子スペースの設置が中間車は向かって左側だったのに対し、この先頭車の車端部は向かって右側に設置されています。トイレの区画を他の車両に合わせたためかと思われますが、ここの区画もしっかりスペースの線が引かれ、通路兼用に見えていたデザインから一歩進んでいます。


トイレとの仕切りです。313系譲りの緩やかなカーブを描いた仕切り、JR東海らしい柔らかい雰囲気が感じられ、ここが継承されたのは良かった…と思う次第。消火器ケースの蓋が省かれているとか、細かいことなんて気にしません(^^;;
トイレのドアには「見回り強化中」の貼り紙が。一度に大量に流さないで…とのお願いごと、そう簡単に水に流せるものではありません。

 
車端部の車椅子スペースです。左の画像が名古屋方先頭車、右の画像は中間車ですが、どちらも設備に大きな差は無いようです。ヒーターに手すり…と313系と同じ設備を設けていますが、非常通報機は313系とは異なる、ドアの手すりすぐ脇に設置されました。手すりで見えにくい部分は鴨居部のピクトグラムでカバーしていますが、手すり本来の機能と重なっているところは正直いただけません。特に通報機上の「業務用」と書かれた謎のスイッチは乗客からすると少々目障りな存在で…間違えて押すことは無いとは思いますが、乗客が滞留しがちな部分だけに、もう少しドアから離して設置しても良かったのでは、と思います。


中津川方先頭車はドアと座席の間に車椅子スペースを設けています。線引きは車端部と同じかと思われますが、線からドアまでの距離が短く、少し他の区画よりも狭めに見えてしまいます。
座席と車椅子スペースの間の袖仕切り、通路に向かって下がるように斜めに切っていますが、どうやら肘掛けの機能も斬られているようです。ここも他と同じ袖仕切りだったらなぁ…と、側窓の配置などを考えずにぼんやり言ってみます(^^;;


雰囲気が一新した天井周りです。全景のところでもチラッと触れましたが、313系の天井を見慣れていると、少し物足りなさを感じるかもしれません。ラインフローファンの吹き出し口は必要な部分だけ、照明もLED化とともに直接照らされるような仕様になりました。ドア〜ドア間の吊革は長さを2種類に分けた点は乗り降りの観点からも良いと思いますし、立客からすると大きな変化を感じる部分になるかもしれません。

 
床は2枚画像を載せました。1枚目は優先席の部分を手前に撮影したもので、オレンジ一色、優先席の文字つき…というそのものズバリです。右の画像、2枚目の意匠がなかなか素晴らしく、床面の色を中から外に向かって濃くしていくグラデーションを採用…とJR東海の公式サイトでも紹介があるほどです。何やら開放感を感じられる工夫とのことですが、ありふれた形状を組み合わせて奥行と通路部分をさりげなく示すおしとやかな雰囲気…惹き込まれます。見事です。

 
ドア周りです。全てのドアの鴨居部に液晶ディスプレイが設置されています。左の画像は非常通報機、右の画像は防犯カメラが備わっています。313系の半自動ドアボタンはこの画像では向かって左側なので、仮に設置されることになったとしても非常通報機との干渉は無さそうです。
窓の大きさが少し小さくなった他、化粧板も内壁と同じ色で整えられました。ここぞとばかりにドアです!と門のように主張していた313系に見慣れていた方は、やはりここも少し大人しくなったような感じがします。今後、他のJRで見られるように真ん中に黄色いテープを貼ったり、ドア窓に広告を貼ったりする日は来るのでしょうか…。

 
液晶ディスプレイは真ん中に1画面での展開になります。防犯カメラの有無で2枚載せました。路線図やドアの開閉など、これまでLED表示機で流していたような内容を中心にまとめています。鴨居部のカバーの下に出っ張りは設けず、スッキリしたデザインに落ち着いています。ここも会社ごとの違いがあって、比べると面白い部分です。


ドア〜ドア間の側窓です。緑に着色された窓はロールカーテンが省かれました。固定窓、開閉可能窓、固定窓の順にセットされていますが、この固定窓が戸袋窓のようには…見えません。

 
ドア〜ドア間の座席です。11人掛けで、4人、3人、4人で区分できるスタンションポールが備わっています。右の画像は中津川方先頭車にのみ見られる車椅子スペース脇のロングシートで、8人掛けがスタンバイ。
バケットシートを採用し、313系とは異なる形状が採用されました。冒頭、プレスリリースを見た人が憂いていたのがこの形状の座席で、首都圏で散々練られた後の投入(^^;;;ということもあり、座面に関しては着座時に適度に沈み込む一方、形状に起因する「狭さ」についての声は気になるところです。313系で気になっていたモケットの素材や着座位置の高さはあまり気になりません。


車端部の4人掛けです。実車を見て構成上仕方がない…とは思ったものの、313系ロングシート車で工夫していた妻面の空間が315系に活かされなかったのはただただ悔やまれます。
ロングシートの背もたれには先ほどの床と同じようなグラデーションが描かれています。中央を濃く、周りをだんだん薄く…という配色は静岡鉄道A3000形とは逆です。…だけで留まってしまうと片手落ちで、実は優先席の背もたれは中央を薄く、周りをだんだん濃く…と、通常仕様のグラデーションと逆にしています。この配色の工夫は見事ですし、優先席の背もたれモケットが実に美しいオレンジで、紅葉をみているような高揚感…(^^;;

 
その優先席は基本車端部の4人掛け、名古屋方先頭車のみドア〜ドア間に設定されています。ぜひ通常仕様のモケットと並んでいるところを見ていただきたいと思います。スタンションポールや手すりは黄色の滑り止めで差別化を図っています。


袖仕切りです。見た目、洗練されたスタイルとは若干言い難いものだなぁ…と思いながら、座ってみてビックリ。この手の袖仕切りにありがちなヘンなところの段差や窮屈感と腕や肩との干渉があまり感じられません。そう、広い窪みがストレスフリーな環境を生み出しているのです。寄りかかる立客側も段差は少なく、小さい窓からお互いの様子も確認できるスグレモノです。
後発組の強み、お見事。
 
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