JR東海  211系0番台
 
  1986年に2編成が増備された東海地区の211系0番台です。4両編成ながらクモハ211を製造したあたりに将来の短編成化を狙っていたような感じがしますが、JR東海に移行後はロングシート車の製造ばかりに移行したところまでは読めなかったようで(^^;; 名古屋口の中央線や関西線で割と固定運用を組んで朝夕ラッシュの助っ人といった活躍をしています。似たような車両がまだ多数いるとはいえ、JR東海で令和の時代をまたいだ昭和生まれの数少ない車両で、今後の在来線近郊型車両の増備が進むと…とちょっと心配ですが、この凛々しい表情を見る限りまだまだ走ってくれそうな気がします。
今回は2016年の取材の模様に時折2011年の画像も交えながら作成します。
(取材・撮影 JR関西本線・桑名〜亀山)

 

 

 


車内全景です。3ドアセミクロスシートの車内です。どうですかこの懐かしい雰囲気は!登場時の雰囲気を色濃く今に伝えてくれていますが、これを見たいがために何回4時に起きたことやら。あ、片手で数えられるほどですが(^^;;
国鉄の代表的なモケットの色が紺だとすれば、末期は蘇芳色が大フィーバー。それに白い化粧板とベージュの床。クロスシート背面の丸みの優しさは今見ても美しいです。

 
車端部です。各車両名古屋方車端部の座席が優先席に指定されています。取材時点では灰色のモケットですが、2020年の時点でオレンジ色に替わっているようです。う゛、また早起きして撮影に…(^^;;
5人掛けのロングシートが左右に展開されるのはロングシート車でもすっかりお馴染みですが、一部の211系で見られる貫通扉の窓拡大は行われていません。一方で吊革がドア付近も展開されているのが新鮮で、JR東日本では三角形の取っ手の吊革を使いそうなところ、JR東海は丸い取っ手の吊革を用いています。

 
トイレがある車端部は名古屋方の先頭車です。禁煙のシールが美しいトイレの仕切りは国鉄時代からそのままで、座席配置もそのままです。貫通扉にチラッと見える注意書き「通行注意」のステッカーは2011年から16年の間に貼られたようです。
編成中ここだけのクロスシートの上にチラッと写る縦の握り棒はJR東日本のセミクロスシート車にもついているので、この形式ではお馴染みの装備なのでしょう。結構座席の幅が横目一杯なので、通路側に座っていると気になるかもしれません。

 
乗務員室との仕切りです。ドアを挟んで車椅子スペースが設置されているのは名古屋方先頭車で、乗務員室のすぐ後ろが優先席に充てられています。
こちらはJR東海になってから手が加えられているようで、乗務員室の仕切り窓が大きくなっています。また乗務員室の仕切り扉の左側には金属の縦長の蓋が設置されていますが、これはJR東海ロングシート車でも見かけるものです。一方、その仕切り扉と助手席側の窓は一体型のものにはなっておらず、故に前面窓も左右対称に落ち着いています。この番台、2編成だけのオリジナルとみて差し支えない仕切りです。


車椅子スペースです。2011年から2016年の間で避難梯子が入った機器箱が増え、ベビーカーのマークが新たに貼られました。なんだか熱されやすそうな位置ですが(^^;;ロングシートの袖仕切りが設置に一役買っています。
ロングシート車と同じく握り棒にヒーターの組み合わせで、ヒーターの張り出しが目立ちます。ロングシートが移設された分吊革が伸びているのが律儀で可愛いです。


天井です。座席配置に合わせた蛍光灯の配置が素敵です。中央にラインフローファンを設置し、剥き出しの蛍光灯、そして吊革がその下に備わります。指定席車に使う予定があったのかどうかはわかりませんが、座席番号が記されたプレートは窓枠に。このあたりの仕事は国鉄近郊型そのものです。


床です。2011年までにドア付近に滑り止めのシートが追加されていますが、それ以外は原型のベージュ一色。これがまた蘇芳色に良くあいます。素敵です。なお、滑り止めのシートは近年交換されてさらに色が濃くなっている可能性があります。


ドア周りです。スマートな鴨居部の左側に少し小さな弁当箱がついていますが、ドアの開閉に合わせてチャイムが鳴るように加工されています。それでもドアが閉まるときにはプシューとそこそこ音を立てて閉まります。ここからの加速がたまらなく素敵な音色を奏でます。早朝始発列車に相応しいBGMです。
ドアそのものは無塗装でドア窓の大きい物を使い続けています。戸袋窓とのバランスが絶妙です。


灰皿の撤去跡がそそられる窓周りです。戸袋窓程ではないですが、側窓もFRPで囲われて軽快なイメージに仕上がっています。窓のバタツキはあまり感じませんでしたが、単線区間が続く関西線だったからたまたまそう思っただけかもしれません。

 
乗務員室背後のロングシートは2人掛けです。優先席の模様もモケット以外は変更なしといった感じです。2016年の取材当時は灰色のモケットでしたが、何も近鉄に寄せたわけではないと思います。縫い付けが特徴的な座席は幾分か着席区分がわかるような座席で、近郊型ならではの奥行きと、あれ、ちょっと座面の位置が高いかな…という印象が強い座席です。今となっては横幅が若干タイトな2人掛けです。

 
クロスシートの隣の2人掛け、そしてトイレ隣の2人掛けです。クロスシート隣の2人掛けロングシートはクロスシート側にささやかなひじ掛けと窪みを設けて空間の確保に努めています。何かの折に肘掛けの部分を叩くと(んなシチュエーション無かろうに!とは思いますが…)クロスシートの背面に伝わる部分は仕方がないとして、デザインの工夫で空間を確保したのはお見事!以外の何物でもありません。事実、ロングシートであればこの部分を選びたくなります。

 
車椅子スペース設置により、ドア側のロングシートがちょっとお引越ししました。ひじ掛けの形が不思議ですが、窓枠に干渉する部分の握り棒を化粧板上に垂直に落とすデザインだったのを利用し、避難はしごの箱を固定し、袖仕切りと箱が一体になっています。袖仕切りの形を極力利用することで袖仕切りの下の空間が空いていますが、座り心地に何ら寄与するものではありません(^^;; ドア周りよりも若干立席との距離が離れる格好ですが、私はこの車内であれば必死になってゲットする席でもないかなぁと思います。

 
5人掛けのロングシートです。こちらも優先席と通常モケットの2種類です。2人掛け・3人掛けに分かれているのはその後増備されたロングシート車と同じですが、バケットの形状はやはりこちらの方が緩やかです。
この頃のバケットシート車だと割と詰め物がしっかりしている印象が強いのですが、この211系のロングシートも同様の感想で、あまりへたっている印象はありませんでした。ん?稼働時間が…?気にしない気にしない。


クロスシートです。こちらもヘッドレストからFRPの形状、台座に至るまで登場時から変わらないフォルムで迎えてくれます。故にクロスシートどうしの隙間を結ぶFRPのデザインの丁寧さが未だに光ります。このFRPに蘇芳色の落ち着きが同居したスタイルは完璧です。こちらも縫い付けが特徴的で、見た目以上にお、しっかりフィットするなぁという感覚です。ロングシートと比べるとさすがに座面の薄さが気になるところですが、明らかに座り心地を損ねるものではなかったと記憶しています。
さて、令和になってもこの乗り心地は健在か、また乗りに行きたいと思います。
 
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