伊豆急行  8000系
 
  2005年に営業を開始した伊豆急のローカル輸送を一手に担う8000系です。JR伊東線の運用にも数多く入っていることから、伊豆の奥まで入らなくても熱海駅でノンビリ待っている姿を見ることも多いと思います。
元々東急8000系として東横線で活躍していましたが、ハワイアンブルーを巻いた伊豆急の活躍もだいぶ慣れてきました。様々な形態がありますが、今回は「TB-7」編成を中心に取材しました。熱海方の1両が未更新車、それ以外の2両が更新車…ですが、この「更新」は東急時代のもので、編成によっては全部更新車、またその逆もあり、だいぶややこしいことになっています。それに加え…は後述します。
2ドア→3ドア→4ドアをドア数を増やしてきた伊豆急ローカル、イズノスケのようなサプライズは今後あるのでしょうか?
(取材・撮影 JR伊東線・伊東 他)

 

 

 

 
車内全景です。このコンテンツでは更新車・未更新車の画像を比べながら進めます。この編成の未更新車は熱海方先頭車で右の画像になります。パッと見た感じでは袖仕切りの違いが気になるところでしょうか。クロスシート下のドアコックが入った機器箱の違いも気になりますが、これは更新云々とは関係のない部分になります。この東急の時の雰囲気をそのまま残した車内に西武10000系のリクライニングシートをえいっとくっつける違和感、その違和感の多くがモケットの色が相反するところに起因しますが、何年にもわたり何度も乗って、ようやく慣れたかなぁといったところです。
とはいえ、この車内構成は通勤時の詰め込み需要とデータイムの閑散時の居住性の両立がうまくできている、なかなか良い構成ではないかと思います。海側に元リクライニングシートの固定クロスシート、山側にロングシートです。

 
乗務員室との仕切りです。2編成連結時も貫通路でつながず、ワンマン運転も車内での運賃収受はおこなわないため、基本的には東急時代の仕切りをそのまま活かした格好です。近年中吊り広告の右側に見えている「箱」が増えたたため、見た目少し暗くなったように感じます。左の画像、貫通扉の中に見えるのは恐らく梯子の天板です。この貫通扉の窓がスモークガラスになっています。
風光明媚な海岸線をほんの少し走る伊豆急にしては…と思うところですが、こちらは実用第一の仕切りです。

 
中間車両の熱海寄りには両開きの貫通扉が設置されています。右の画像は反対側から撮影したものです。ロングシートの更新・未更新の違いがよくわかる場所にもなっています。この編成では貫通扉の設置はここ1か所のみでした。両開きとはいっても片側ずつ開くようになっています。都市型ワンマン運転なので、車内の行き来はトイレくらいでしょうか。
 
中間車もう一方の車端部はトイレの部分をステンレスで覆ったため、右の画像のとおり貫通路からはみ出す仕様になっています。中間車の妻窓も一面ステンレスの素敵な仕様…なんか昔のJR103系を見ているような感じですが、編成によっては中間車にトイレが設置されており、貫通扉+トイレ+少しはみ出しという素敵なコンボが炸裂しているものもあります。
そのトイレ、この編成では伊東方先頭車に設置されています。

 
トイレです。通勤形車両によくこのスペースで設置できたものです。トイレのお知らせ灯が低い位置についているのが良心的です。また、大きなポスターが入る広告枠、実は鉄道車両ではあまり見かけません。
車椅子スペースはこの編成では伊東方先頭車に設置されており、ヒーターと握り棒が設置されています。取材時点でベビーカーのマークは貼られていませんでした。
これも編成によっては伊東方先頭車両と中間車に1か所ずつ設置されていることもあり、バリエーションが豊富です。細かいバリエーションの豊富さは100系、200系に続いてこの系列もしっかり受け継いでいます。もう(^^;;

 
天井です。この部分は更新車・未更新車の違いはあまり見られません。分散型クーラーに扇風機がついたちょっと今となってはレトロな天井です。つり革はロングシートとドア周りの設置ですが、吊革は短めのバンドのものが多いのが他の通勤車には無い特徴です。クロスシートの上は握り棒のみです。その握り棒からクロスシートの隙間を塗って床まで伸びる縦方向の握り棒が車内を見渡した時に視界に飛び込んできます。うーん、ちょっと煩いです…。
扇風機は昔の東芝ロゴが楽しめるものです。オン・オフは乗務員室からの操作になります。


床です。ここも更新車・未更新車の違いはありません。ベージュ一色の床です。クロスシートを設置した関係で、伊豆急に移籍する時にしっかり整備したのでしょう。

 
ドア周りです。左の画像は更新車でクロスシート側からの撮影、右の画像は未更新車でロングシート側からの撮影です。ドア上の案内表示装置は千鳥配置で、設置されていない部分には路線図が貼られています。
ドア窓の押さえがスッキリしたタイプのドアで、結構そろーり、そろーりと閉まる印象です。更新車と未更新車、そしてクロスシートの設置とめまぐるしくドア周りの空間の広がりが違うことがこの2枚の画像からも伺えます。特に未更新車の車端部ロングシートはドアギリギリまで設置されています。更新車の車端部のロングシートは左の画像の左側になりますが、この差は一目瞭然です。

 
鴨居部の案内表示器、そして路線図です。案内表示器は次駅案内や行先案内を主に流します。色は見ていた限り緑色の一色のようで、ちょっとチラツキが気になる場面もチラホラと。外観のLED表示機もそうですが、どうもこの手の機械の維持管理にはもうひと頑張り欲しいところです。もう片側、路線図の隣はスピーカーです。


窓周りです。クロスシートの窓割を見ていきますが、ドア〜ドア間中央に相反するロングシートに中央の窓枠を合わせた格好で、ドア側の座席は戸袋部分がコンニチハ…この車両に戸袋窓が付いていれば良かったのですが…。
小さいテーブルがついているのは良心的です。伊東駅の祇園のおいなりさんは近年までレトロな売り場が人気でしたが、現在はお洒落なお店になって絶賛販売中、そして伊豆急下田駅にも駅弁があり、特急に乗らなくても愉しめる環境が整っているのが嬉しいです。あ、これインフォマーシャルではありませんので(^^;;

 
ロングシートです。オレンジ色…というか、金色というか…茶色モケットとの組み合わせを見たかった座席が控えています。更新してもしなくても座席の硬めな座り心地は同じで、座席の上に「のっかっている」印象です。私はこの手の座り心地はちょっと苦手ですが、近年の硬め志向の座席の中では座席幅を意識しないスタイルを貫いているのは嬉しいような、古いだけじゃないか!とお叱りを受けそうな…。
更新車は3人掛けと4人掛けの間にひじ掛けとスタンションポールを挟んでいます。これも種車のままですが、こういう配慮は嬉しいですね。

 
車端部のロングシートです。更新車は3人掛け、未更新車は4人掛けで1人着席人数が異なります。また、優先席はステッカーのみの区別でモケットでは分けていません。モケットの色和えが異なるように見えますが、茶色とそれ以外のモケットという区別で運用しているようです。
4人掛けの座席は妻面にもモケットを貼っています。それでもドア一杯まで座席が広がり、着席跡を見るにつけなかなか4人掛けが定員通り埋まる機会が多くないことが伺えます。

 
お腹いっぱいですが、茶色モケットです。この更新車では座面下のカバーも一新していることも伺えます。袖仕切りも化粧板つきの1990年代前半に流行したスタイルになっています。見た目違えば…を地で行く格好ですが、この2種類が混在する伊豆急8000系、あなただったらどちらに座りたいですか?…私はクロスシートです(^^;;
基本的には茶色モケットはオレンジモケットの反対側に設置されているケースが多いものの、両側ともオレンジモケットの車両も見かけました。統一性がまるでありません。


クロスシートです。ドア〜ドア間海側に2組の設置です。元々西武鉄道10000系で採用されていた座席で、改座とともに秩父鉄道と伊豆急行に移籍しました。背面の処理はテーブルと網ポケットを撤去した様子がそのまま伺えます。固定クロスシートで使うのであればもう少し背面処理をなんとかして欲しかったところですが、この部分を気にするのは少数派なのでしょう。多少のカオスも良いんです、日本のワンダーランド伊豆(By八画文化会館)の入口に堂々と鎮座する車両なんですから…。あ、インフォマーシャルではありません(^^;;


まずは伊東方先頭車のクロスシートです。リクライニング機能は使えないようにされていますが、レバーはそのまま残っています。座席の回転もできません。ひじ掛けは上げた状態が運用上のデフォルトのようですが、画像では下してみました。
ヘッドレストカバーが青系で座面が赤系と床屋も真っ青の相反する2色ですが、ヘッドレストカバーは伊豆急オリジナル、背面は西武時代の物をそのまま、そして座面はアルファリゾート21で用いられたモケットを使用しています。

中間車両のクロスシートです。アルファリゾート21の黄色いモケットを座面に持ってきています。多少リクライニングした状態で固定しているからでしょうか、あまり窮屈さは感じさせず、それなりの座り心地を維持している感じです。中央のひじ掛けにくたびれた感じを受けますが、背面、そして座面はまずまずの座り心地を維持しています。窓側の狭さもあまり感じませんが、定員通り座った時に足元が少し窮屈に感じてしまいそうです。

3兄弟ラストは青の座面です。熱海方先頭車両のクロスシートです。これなら周りの雰囲気としっかりマッチしますね。
それにしても、座面だけアルファリゾート21のモケットを持ってきたのが不思議でなりません。もう使わないことが明白なのはわかりますし、座面の劣化が早いのも頷けますが、背もたれまで貼り替えればもっと美しくなるのに… あまりストックが多くないのか、劣化部分の交換を急いだか、その真相はイズノスケのみぞ知る…

別の車両で撮ったクロスシートです。画像では黒く見えますが、濃紺の座面になります。
長いことこちらが標準、良く見る座席でした。さぁアルファリゾート21の楽しい思い出を令和の時代に引っ張り出した3色モケットが一気に形勢逆転と行くか、まさかの少数派にとどまるか…伊豆急8000系も面白いことになってきました。
 
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