伊豆箱根鉄道  5000系[ステンレス・ロングシート車]
 
  昭和59年に製造が始まった大雄山線用の車両5000系。最初の1編成についで製造された3編成は全車ロングシートは同じながら、ステンレス製車体に切り替わり、外観がよりシャープになりました。
画像は西武鉄道…は関係ない「イエローシャイニングトレイン」で、帯などで使用している青色に替わって黄色を採用、幸せのイエロートレインを大雄山線でも提供しています。また、取材時は切り絵での装飾も行っており、今回はその模様も含めての取材になりました。
運用は12分ヘッド、前面でうっすら見える「大雄山」「小田原」の文字が示すように行ったり来たりの運用です。側面の方向幕もありません。
…誰ですか?これ2両にしたら運用は完全に遠鉄電車だね♪と張り切って赤いペンキを用意している人は…!
(取材・撮影 伊豆箱根鉄道大雄山線・小田原 他)

 

 

 


車内全景です。18m車の車内は3ドアロングシート、この第4編成に関してはバケットシートではありません。故に天井周りや袖仕切りに懐かしささえ漂う車内ですが、こちらもモケットはここ15年でマイナーチェンジした車内です。
東急車両製造が作ったからとか、製造年度の関係もありそうですが、座席周りを見ると相鉄の車両を連想しそうな気がします。ドアチャイムも相鉄新7000形のピンポン♪ですし… ただ、相鉄の車両よりもシンプルに、こじんまりとした車内に見えるのは車体長が成せる業でしょうか。暖かく見えるのは切り絵の効果です。

 
車端部です。左の画像は中間車、右の画像は先頭車で優先席を片側に備えています。この分かりやすさが伊豆箱根鉄道の良い所だと思います。この編成は貫通扉を省略していますが、車掌さんの動きや小田原駅のお客さんの動きを見ると納得できるものがあります。妻窓は開閉可能です。
後年製造された編成には妻面にLED表示器があったり、ドア付近に天井直付け(!)のつり革が備わっていますが、この編成ではどちらも設置されていません。車内でチラチラしてしつこいなぁと案内表示器に辟易しているあなた、小田原駅では小田急1000形とともに数少ない「その手の表示機が無い車両」がここにもいますよ〜!

 
乗務員室との仕切りです。左の画像は小田原方、右の画像は大雄山方です。後者には車椅子スペースが備わっていますが、この編成では製造後後付けで設置されています。スリムな仕切り扉は真ん中にドドンと設置されていますが、大雄山方先頭車の扉にみられる「点検蓋の幅と揃えている点」にこの車両の秘めた美しさを感じます。その背後には3人掛けのロングシートで、前面展望も難なく楽しめます。このあたりの構成はどの編成も同じで、どの列車に乗っても車掌さんが忙しく動き回る様子を見ることができます。


車椅子スペースです。非常通報機と手すりを設け、床面には滑り止めの加工を施しています。座席だった頃の痕跡こそほぼほぼ残っていない…と言いたいところですが、化粧板の色が微妙に違ったり、床にもさりげなく蹴込み板の跡がチラリ… 切り絵だけではわからない伊豆箱根鉄道5000系の歴史が垣間見られます。
そそ、立席スペースを兼ねた車椅子スペースであれば小田原方先頭車に設けても良かったと思うのですが、大雄山方に設置した理由とは一体…。


天井です。ファンデリアはなく、吹き出し口を2列並べて蛍光灯を外側に配置した格好です。蛍光灯の本数は若干間隔を開けていますが、蛍光灯を台座から外しているところもあり、夜になるとちょっと暗いのでは…と余計な心配をしてしまいます。
編成中1か所、つり革にハートの形状をぶら下げている区画があります。駿豆線沿線の観光名所で「ハートのつり革」グッズを売るくらい愛に溢れる伊豆箱根鉄道ならではですが、鈍感な私は帰宅後画像を見ながら気が付いた始末…愛が足りません。


床です。ベージュ一色、80年代後半から至るところでみられたベストセラーの床をここでも採用しています。


ドア周りです。切り絵とともに物語を展開していて、思いの外読み応えがありますが(^^;; 装飾を抜かせばステンレスの無塗装ドア。JR東海のようなドアステッカーは引退し、現在はドアの真ん中あたりにオリジナルのステッカーを貼っています。画像では鴨居部が車内に向けてカーブしているように見えますが、実際は上までしっかりまっすぐ伸びています。そして鴨居部に立客がつかまれるような出っ張りがあります。ここは実際の混雑…というよりも製造会社の特徴が出ていそうなポイントです。


あじさいの切り絵が少しだけ顔を出した1段加工窓です。ロールカーテンは当初から装備されています。
余談ですが、切り絵をいっぱい見ていると東京電力の天気予報を思い出します…と書こうとしたら、あちらは影絵でした…(^^;;
袖仕切りの味付けが関西私鉄風に見えそうな画像ですが、袖仕切りと荷棚の間にはちゃんと縦方向の握り棒が備わっています。

 
座席です。ドア〜ドア間は7人掛け、右の画像の乗務員室との仕切り背後は3人掛けです。18m車でドア〜ドア間が7人掛けという点でお気づきかもしれませんが、車端部も7人掛けの座席が待っています。この5000系、2005年に取材した時は1編成だけ6席でバケット化していた編成もあったので、このように模様も区分も無い座席だと果たして何人掛けか…気になってしまいます。とはいえ、この手の座席もすっかり少なくなった感じで、ちょっと懐かしい座面のバウンド、背もたれの柔らかさを味わうことができます。
茶色一色という当たり障りのないモケットの色は昔よりも茶色が鮮やかで、やはり頭の中には相鉄線…(^^;;

 
車端部もご覧の長いロングシートが登場です。優先席は少し紫がかった灰色のものを採用しています。この灰色も伊豆箱根鉄道では見られなかった色で、以前使っていた西武鉄道でよく見たシルバーシートのモケットとは異なります。
この構成では車端部の処理まで気にしていられないと思いますが、妻窓の窪みがせめてもの救いでしょうか。一方、転換クロスシートでは蹴込み板の部分にスピーカーを入れてドアチャイムを鳴らしていましたが、このロングシートではそのスピーカーの存在がわかりにくくなっています。同じような仕組みだとは思うのですが…。

ということで、車端部に書いてあったヒトコトで締めます。
「つづく」

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