伊予鉄道  モハ50形
 
  伊予鉄道に乗っていると坊っちゃん列車や超低床車に混ざって旧型車両とすれ違うことが結構あります。その旧型車両とすれ違った時のレトロな雰囲気はなかなか魅力的なものがありますが、その正体が伊予鉄道のモハ50形です。今でもまだ主力として活躍しており、古い車両では還暦を既に迎えています。
今回はその中から58号、つまり昭和29年製造のバス窓車を取り上げます。外観はバス窓もそうですが、屋根に乗った冷房装置の存在感がなかなかなもので、この世代の車両がいかに頑丈かがわかります。
特に運用を超低床車と分けているようなことは無さそうで、全ての系統で運用をこなしています。それにしても、この塗装はいつ見ても落ち着きますね。
(取材・撮影 伊予鉄道松山市内線・古町〜松山市駅)

 

 

 


車内全景です。前中扉の2ドア車で座席は全てロングシートです。
通常サイズの鉄道車両ではあまり見なくなったパーツですが、床や窓枠の上の側壁などに木を用いています。デザイナーが選ばないような渋い色ですが、すれ違う時に窓越しに見える車内の様子はこの木の色がだいぶ決め手になります。一方、50形の初期車は窓枠も木ですが…この車両では鋼製ですね…う、また取材に行かなくては…


乗務員室周りです。路面電車らしい開放的な仕切りの手前に運賃箱があります。均一運賃なので運賃表示機などはありません。この乗務員室の周りの壁にも木が使われており、この渋さがまた還暦の味わいを出しています。他の車両と違って前面展望を間近で見られないのがちょっとだけ残念ですが、雰囲気を満喫するだけでお腹一杯になれます。
仕切りの左上には製造年が入った銘板がありますので、生まれ年を確認したい方は是非。


天井です。冷房化とともに蛍光灯を設置しましたといった趣きで、吹き出し口はスポットで周りよりも少し低くなっています。決して車両空間が広くない中でかなりスマートに冷房が設置されているのではないでしょうか。中吊りの広告枠も自然に配置されていますし…あ、でもこれ、それなりの身長の人でも慎重に歩かないと広告に触ってしまいますが…(^^;;;

床です。基本的には乾ききった木ですが、ステップ周りにはゴムシートを設置して滑り止めになっています。超低床車と比べて乗り降りには不便ですが、木から伝わる温もりや加減速時の振動、音はこちらの方が楽しめます。

 
ドア周りです。左の画像は中扉、右の画像は前扉です。この手の車両では珍しくどちらも片開き扉の1枚もので、特に前扉は乗務員室側ではなく客席側に戸袋窓を設けています。いわゆる都電6000形シリーズとの違いはその点で、ドアの駆動部分を簡単にできるのは製造当時から大きな利点だったのではないでしょうか。ただ、戸袋を乗務員室側に設けられなかったため、乗務員室やドア周りが若干狭い点は否めません。
ドア自体はアイボリー色。この色、鉄道線ではなかなか見ませんが木の色にうまく合っています。


バス窓です。下段を上げることによって窓を開けることができます。画像では見難くなってしまいましたが、転落防止を兼ねた鉄の棒が窓の外に設置されています。路面電車ならではの装備です。

 
座席です。ロングシートで、左右両側とも長い・短いの組み合わせ1つずつという構成です。
ソデ体が実用本位な形状ながら木のこすれ具合が実に良いですネ。その一方で座席下のヒーターの網目が細かいものになっており、これは想像の範囲を出ませんが一度交換していても不思議ではないスタイルです。モケットは紺色です。他の松山市内線の車両と同じ青系統の切り立った座席です。
座面のバネがなかなか強く、奥行きは浅めのセッティングです。


長い座席は優先座席も兼ねていますが、モケットには特に変化はありません。
また、座席の脇にはこのように俳句の投函箱があります。だいぶ頑丈な箱で、用紙も脇にセッティングされていますが… その場で書くのも良し、街中に設置されている俳句ポストと同じものなのでそちらに出しても良しということで、無理して揺れる車内で書かなくても大丈夫です。様々な場所に俳句ポストがあって市民や観光客に一句…素敵な事業だなぁとつくづく思います。

さあ今だ 揺れる車内で 見つめ合い

……中二病?と自問自答、お粗末でございます。で、下の句を用意すると本当に下の句になってしまう恐れが…(殴


降車ボタンと非常時に押す通報ボタンです。降車ボタンがわかり難いのは昔ながらのものを使い続けている証でもあります。押すと良い音が鳴りますよ。


この手の車を取材すると本当に毎回のように登場して申し訳ございません。復刻とか、昔ながらの…というくだり、
素材は似せられても、カタチまでは似せられないもどかしさを相変わらず感じてしまいます。
 
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