一畑電車  3000系
 
  一畑電車というと幼少の頃読んだ本の中に出ていた元西武鉄道の車両、すなわち前面が2枚窓の車両にクリーム色の青帯というなんとも個性を発揮し切れていない車両を思い出すのですが(^^;; 時代が変わっても2枚窓の車両は引き続き走っています。3000系です。
元は南海で「ズームカー」として活躍していた20000系で、静岡県の大井川鉄道と一畑電車にそれぞれ譲渡され、ワンマン化などを行った上で活躍しています。前者が南海時代の塗装を引き継いだのとは対称的に、一畑電車は黄色と白、紺の3色を組み合わせた明るく斬新な塗装へと一新しています。京王からの譲渡車のような2ドア化改造を施す必要は無かったもののパンタグラフが一つ減らされたため、「山道」を行く重々しい姿から湖畔を軽快する姿に「イメチェン」を見事に果たしています。
現在も引き続き一畑電車の全路線で活躍しています。
(取材・撮影 一畑電車大社線・川跡〜出雲大社前)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。やけに夜でも明るい車内は2ドアオールロングシートの構成。かつての南海時代のようなクロスシートの復活はなりませんでした。
南海時代からの継承とはいえ、窓際に蛍光灯がずらっと並んでいるのが圧巻です。関西圏の大手私鉄で活躍している特急列車であればある意味当然の設備ですが、経緯はともあれ通勤電車までこの設備とは…これなら夜の車内で新聞を読んでも目が悪くならない気がします(^^;;;


乗務員室背後の様子です。片側に座席を残しもう一方の座席を撤去。運賃箱をドアのそばまで近づけておくことはなく、乗務員室のすぐ後ろに設置しています。座席を残したかったからという理由がありそうですが、このあたりの対応は鉄道会社や車種によって異なるため、比較してみるのも面白そうです。

もう片側の立席スペースです。かつてJR東日本201系「四季彩」でみられたようなデッドスペースがありますが、恐らく座席下のヒーターを撤去できなかったのでしょう。今後観光地を走る一畑電車として、何か沿線PRできそうな美味しい場所でもあります。
また、デッドスペース上の網棚および蛍光灯が撤去されているため、他の空間と違う景色が広がっています。


この車両の明るさは車端部でも続きます。戸袋窓はもちろん妻窓もしっかり完備で、妻窓に反射する蛍光灯の灯りが夜になると若干ドラマティックに映ります。もっとも照度はもう少し低くして欲しいところですが…(^^;;
ワンマン運転を考慮してでしょうか、貫通扉がありません。両線の始発駅、終着駅どちらも出口が片側に偏っている一畑電車、意外と車内の行き来はあっただけに、種車の都合があえば貫通路を広げても良かったかもしれません。
車内構成の関係上、整理券発行機はドアの動線と被ってしまっています。


フラットな天井はライトワーク共々見ていてゴチャゴチャした雰囲気を全く出していません。何せ1列になった中央の蛍光灯もカバーつきでビシーッと決まっています。また、冷房の吹き出し口もこまめに設定しています。ただ、線路事情もあるかと思われますが、吊革の動きが思った以上に激しいです。


床です。キレイなフットラインを形成しています。南海の標準の床はご多分に漏れず灰色なので譲渡時にでも塗り分けたのでしょうか。いずれにしても、キレイなフットラインです。


ドア周りです。片開き扉は幅が広めで窓も角張っています。京王車とは一線を画したスタイルで、こちらの方がスピード感のある、軽快な扉の動きをしていました。
鴨居部の化粧板が周りと異なる色だったり、ドア脇の手すりがやけに短いなど気になるポイントも数多いのですが、中でも「側窓よりもドア窓の方がガラスの縦の長さが大きい」のはポイントが高いのではないでしょうか。立っている方にも景色を眺めてもらいたい。でも立客が溜まるのは側窓よりもドア窓のそばだから、そこだけ大きな窓にしよう。…これ、国鉄の特急形における側窓と扉窓の関係と同じ発想なのです。荷棚の関係もありますが、南海での位置づけを大いに考えることができそうです。


側窓は一つ一つ独立した形態。蛍光灯の明るさは好き嫌いあるかと思いますが、全く視界を遮らない一段窓は京王車にはない大きな魅力です。


ドア周りです。まずはドア〜ドア間の長いロングシートです。
赤色のロングシートは奥行きの深さと座面のバウンド具合に驚かされます。ゆったりくつろげるロングシートです。全体的にくたびてれている印象が漂う中で、座席下のヒーターがどこまで効くか、特に端の席まで行き届いているかどうかが少し気になります。中間部分は網も大きな物にして効きそうな予感全開ですが…。


車端部です。画像の座席は一応優先座席に指定されていますが、南海時代の表記をそのまま流用したような感じでモケットなどでの差は一切つけていません。故に、車端部はすべてこちらの座席です。
背もたれと座面奥、座面を手前に出すためのスペーサーが一体になっており、継ぎ目無しの美しさが堪能できます。なんだそれ?!と言われればそれまでです(^^;;;


乗務員室の背後はさらに短めの座席を用意しています。違いは座席の長さのみで、座席下ヒーターの網の数にもその様子がうかがえます。


ズームイン!袖仕切りです。この座席の惜しい部分はこの袖仕切りにあります。
乗り降りのしやすさなどを考慮してこの形状にしたものかと思います。しかし、肘掛けとしては斜めに下がっているため機能していません。恐らく高速バスの3列シートなどで通路側の肘掛けを斜めに下ろしたときの感覚に似ているような気がします。また、立客との分離性も斜めに下がっている部分が広いので絶望的です。きっと南海時代からそのまま持ってきていたパーツかとは思いますが、もう少し譲渡の際に何か工夫があっても良かったと思います。

 
最後に表示類を2点。左の画像のプレートはたまに南海電車で見かけます。なかなか年季の入ったプレートはこの車両の雰囲気にぴったりです。そして、車端部では監視カメラがギョロッと覗いています…。

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