北陸鉄道  8000系[片開き扉車]
 
  1996年、これまで京王井の頭線で走っていた3000系に新たな人生が訪れます。装いも新たにオレンジ色の顔になり、北陸鉄道へとやってきたのです。3000系の譲渡第1弾となった北陸鉄道では浅野川線に投入され、8000系と名乗るようになります。
スノーブロウや半自動ドアなど雪国ならではの特徴もありますが、中でも片開き扉車2編成が移籍した点は大きな特徴となりました。片開き扉車は先行量産車としての位置づけで京王にも2編成しかいませんでした。その後大量に装備された両開き扉車も北陸鉄道浅野川線に3編成配置されているものの、京王時代よりも片開き扉車に乗れる確率は高くなっています。

(取材・撮影 北陸鉄道浅野川線・北鉄金沢〜内灘)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。3ドアロングシート車の車内はいわゆる「晩年の京王井の頭線3000系」とはだいぶ趣が異なります。裾絞りもなく、片開き扉で、戸袋窓も側窓と同じ装飾… 分散冷房こそ3000系両開き扉車にも多数在籍していましたが、にわか両開き扉車とは別形式、モザイクをかけてしまえば京王5000系あたりに見えてしまいそうです(^^;;

乗務員室との仕切りの様子です。京王3000系を原形とした譲渡車両はいずれも「乗務員室とドアの間のスペース」の処理に工夫を凝らしていますが、移籍第一号の北陸鉄道8000系では運賃箱を中央より右にずらし、両側のシートヒーターを残した上で車椅子スペースを設けました。吊革がなく、日頃は画像のとおり鎖でとざされた空間になっており、まさにデッドスペースそのもの。幸いだったのは両開き扉車と比べてスペースの長さが短かった点でしょうか。


車椅子スペースです。普段は閉ざされたスペースもヒーターを残したことにより居住性は確保しています。尤もヒーターの真上に握り棒があるので握り棒まで熱くなっていそうな気がする今日この頃です(^^;;
側窓の出っ張りは方向幕表示器になります。消化器の赤ほど目立っていませんが何かと出っ張りが目立っています。


車端部の様子です。優先席は編成の前後に設けたため、編成中間にあたる各車両車端部はいずれも蘇芳色の通常モケットを用いています。
側窓の関係で両開き扉車よりも若干座席の長さが短い他は両開き扉車との差はありません。妻窓の2段窓も同じです。ワンマン運転の通り抜けを考慮して貫通扉は設置されていません。
運賃表示器は電光ではなく、紙に書かれた物を貼り付けています。乗務員室仕切りだけでなく車端部にも掲出しています。

 
天井周りです。割と早い時期に譲渡されたこともあって分散冷房という珍しい形態の天井周りになっています。特に一つ一つ独立したスタイルの冷房吹き出し口、そして珍しくなりつつある円形のファンデリアは見物です。乗車時期があいにく春だったので回る姿は見られませんでしたが、次回はぜひ盛夏に乗って稼働している様子を見たいところです。


床はベージュ一色でまとまっています。


この車両最大の特徴がこの片開き扉になります。
鴨居部分に余裕が無い点は両開き扉の車両と全く変わりませんが、幅が明らかに両開き扉よりも狭くなっています。開閉速度はごくごく普通だったので、特に東京の朝ラッシュ時は何かと大変だったのではないでしょうか。
扉そのものは無塗装の銀色。裾絞りが無いので非常に素っ気なく見えます。
 
さて、一番乗務員室寄りのドアは半自動ドアになっています。なぜか「閉」ボタンが塞がっていますが、無人駅などでの降車時に活用できるように整備されています。…取材時は全ての駅で一番前のドアを開け閉めしており、使用例が見当たらなかったので若干推測が入ってしまっています(^^;

半自動ドア化改造工事を施工した京王車両としては富士急向け別形式への実績があるので、恐らく何のためらいもなくつけられたのではないでしょうか。


側窓です。桟の太い窓が戸袋も兼ねています。が、遠目に見ると3連同じ窓が並んでいるようにも見えます。
美しいです。

画像はシルバーシートのステッカーが貼られていますが、他の窓で上半分広告ステッカーを貼ってしまい、景色が下半分しか見えない窓も見受けられます。貴重な収入源とはいえ、景色が見えないのは少々もどかしいです。

 
座席です。まずはドア〜ドア間9人掛けのロングシートになります。右の画像は各車両1ヶ所ずつ設けられている優先席も含んだ座席で、蘇芳色と銀色のほぼハーフ&ハーフになっています。他の区画は全て蘇芳色のモケットで統一されています。
位置は変わっていますがカラーバリエーションは京王時代と変わっていません。また、北陸鉄道の石川線にも用いられている色になります。汎用性の高い色といえるでしょう。
故に、整理券発行機以外は懐かしい京王3000系の座り心地や見た目を楽しむことができます。


車端部の6人掛けです。ここも京王時代との差は整理券発行機の有無程度になります。シートヒーターの丸みを帯びた形状や車端部のモケット貼りも京王時代からそのままになります。この車端部のモケット貼りは京王3000系を譲渡した地方各鉄道会社によって対応が分かれています。こちらは少数派でパッと思い浮かぶのは岳南鉄道の「がくちゃん かぐや富士」くらいでしょうか。勿論モケットが貼ってあった方が冷たい壁に面しない点で嬉しいのですが…



おまけその1。方向幕表示器に小児用運賃の紹介を載せています。
この広告フォントがなかなか昭和っぽくて、簡潔明瞭な雰囲気が好きです(^^;
奥には石川県の神社のお守りもしっかり貼ってあります。


おまけその2。京王3000系譲渡車ということで、ついカッとなって探してしまいます…。

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